小日向文世が自閉症の息子と向き合おうとし始めた。
夫婦関係に不穏な空気が流れる香里奈が久しぶりに草なぎ剛と
再会する話し。

幼少の頃の両親の夫婦仲の悪さがトラウマとなり、人間不信
気味の香里奈。誰かを信じて裏切られる事が恐いために、
どんな恋愛に於いても一歩距離を置いた付き合い方をするという
彼女の前に、信頼していた夫が嘘を付いていた事によって最悪
の状況を作ってしまった。

それとは対照的な草なぎ剛の存在。
まるで機械の様な冷たい応対しかできないけれど、その分嘘を
付かず、誰も裏切らず、今の彼女にとって必要な何かを持つ
彼のそんな一面が暖かく映る。

草なぎ剛の中で彼女の存在が大きいことを証明する行動の数々。
彼女がいつ家に来るのかを何度も訪ねてみたり、他人には楽し
そうに見えた香里奈の表情の中から悲しみの部分を的確に指摘
した彼の行動は、とても愛情を持って見守っている行動だと思う。

自閉症の二人の対面はまるで未知との遭遇だ。
どんな行動を取るのか、またどんな表情をするのか、全く読めず
実に興味深かった。
またそれと同時に暫く離れていた草なぎ剛と香里奈が会うことに
よって、どんな心理的影響が及ぶのか、自閉症患者に対する
無責任なまでの興味本位な視線ではあるが、とても興味深かった
と思う。

まさに草なぎ剛を嘘を付くとは思わなかったが、だだっ子の
ような可愛らしいリアクションの前に、二人の関係を暖かく
見守りたくなるような描写の仕方だったと思う。
遠くの方から自転車で彼が現れたときのサプライズな演出は、
近づくにつれ、それが感動へと繋がっていく見事なシーンの一つだ。

guest
浅利陽介(古賀の息子)、那須佐代子(古賀の元妻)
ひがし由貴(都古母)、城戸光晴(自転車屋)

評価：★★★★★★★★☆☆ (8.0)