第1話 少年はなぜ父を? 少女はなぜ母を? 14年間の壮大な愛と絶望の物語

ハサミで父親を刺し殺した傷跡と同様の傷跡から血を吹き出して
倒れる山田孝之のカットから始まるドラマ。

いつも夜のように暗く淀んだ中で生活してきた二人が、互いを
希望の象徴で有る太陽の光として照らし有って生きて行く姿を
描いた作品。

今季のドラマの中で最も期待していたドラマ。

ドラマの雰囲気が良くできていたと思う。
終始一貫して暗い雰囲気を醸し出しているのは、主人公らの
晴れない気持ちを象徴しての事だと思うが、クリスマス
という時期に行き交う人々もまた我関せずと言った無機質な
態度を見せるところなんてなかなか良かった。

また子供である二人の視点から描いた作品と言うだけ有って、
大人の汚さ、狡さ、そして怖さなんかも巧みに表現している。


ドラマは二人の14年前の出会いの回想から始まり、不幸な
家庭環境や生い立ちを描いて、仕舞いには互いの共有する
秘密にまで迫る話であった。

二人の子役の名演もそうなのだが、やはりズバ抜けた存在感を
示したのは武田鉄矢だろう。
彼の眼光の鋭さはどんな言い訳をも見逃さない本物の殺人事件を
追う刑事としての眼力を持っていたし、彼の奥深い目の周りの
皺なんか一度見たら忘れないくらいインパクトの有る顔に見えた。

今後とも彼の顔を見るのと同時に瞬時に事件の事が思い
浮かぶようで、殺人犯人として背負うことになった現実が
心の傷となって蘇ってくるようだ。

脇役の余貴美子なんかもとても良い味を出している。
この前のドラマでもカウンセラーのような役を演じていたが、
本当に聞き上手な役だ。悩んでいる人と同じ目線で語ることが
実に上手い。
表面上、被害者と加害者の子供である二人が仲良くしていた
事実を知っている数少ない人物なだけに、この人の動向にも
見逃せないものがあるのかな。

評価:★★★★☆

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