第9話 こぼれ落ちた過去

素性を知られた者はこの世から生かしておかない。
育ての親・八千草薫にさえ彼らの信念は貫かれようとしているのか。

このドラマの憎い所は、不幸の連鎖を断ち切ることが出来そうな
立ち直りの機会を幾つもの場面で与えている事か。
日の光の当たる場所に引き戻してくれそうな西田尚美や八千草薫
の存在は、過去の不幸な事件と因縁めいた運命の巡り合わせとの
間で絶妙な感じで綱引きが行われて、結局同じ所に行き着いて
しまう事を演出している。

綾瀬はるかが八千草薫に対して心を開き始めた事は、そんな連鎖
を断ち切ろうとしている事へのシグナルとさえ思ってしまうが、
そんな行動とは逆に物語は進行してしまうからなんとも皮肉だ。

真実に近づくのは八千草薫の望みではあるものの、まさかここまで
壮絶な物語が隠されているとは思わないだろう。
そんな過去の物語を一瞬にして描いてしまうことの出来るアイテム
が庭先のサボテンの植えられた土の中に埋まっている。
一体そのアイテムとは何だろう。

今回武田鉄矢も真相解明に向けて一歩一歩着実な歩みを見せていた。
彼の行動の先にはバラバラのピースを組み合わせて完成させて
いくような面白さが有るのだが、被害者にとって触れられたくない
過去にも触れている訳で、やや解せない感じも受けた。

図書館のホームページの掲示板には、二人の心の中をさらけ出す
ような書き込みがつづられている。図書館は彼らにとって安らぎ
を覚える場所なのか。この世の中で唯一、山田孝之と綾瀬はるか
の関係を微笑ましく見守っている余貴美子にだけは、良い人のまま
で終わって欲しいと思う。それだけ過去のあの場所のあの時間は
特別な何かがあった。

評価:★★★☆☆

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