第10話 開く過去の扉

子供の犯罪は親の責任ではあるものの、大人になった今でも
犯罪に手を染める彼らに同情の余地はない。

余貴美子にだけはこの世の中で唯一彼らを温かく見守る者として
美しい想い出のままでいて欲しいと願ったが、それは叶わなかっ
たようだ。

既に母親と決別しこの世の中から戸籍を無くし、幽霊と同じく
世間から息を潜めて生活をしている山田孝之の深層心理に迫る話で
なかなか興味深い話だった。

不思議なことに犯罪は見つからないように行うものだが、
どんなに犯罪を犯しても気づかれる事のない寂しさが同時に主人公の
心を襲うという難しい心理が存在している。

生きていたことの証しの為に人間は色々と記録を残していくもの
かも知れないが、そんな生きた証しが武田鉄矢のノートの中に
刻まれている事を知ったときの主人公の涙もまた真実だと思う。

彼の中でこれまでの不幸な連鎖に疲れ、全ての過去の関係を清算
しようとしている事への表れなのか、武田鉄矢を単純に殺す事への
拒否感や西田尚美とのHが最後まで達したこと、自害するような
心情を吐露した事など、内容としては濃い流れだった。

今回の犠牲者は麻生祐未だった。
彼女を追い込んだ一人は確実に武田鉄矢だなぁと思うと、相変わ
らず彼には感情移入しづらいのだが、麻生祐未が過去の事件の
真相を知っているとは意外だった。息子が犯罪を犯さないように
あの場所を選んで見守っているとは、なんとなく出来過ぎな展開
のようにも感じる。

次週は最終回。
山田孝之はヤクザな的場浩司に殺されると思っていたのだが、
もう忘れられた存在なのか。
武田鉄矢との対面はどのように切り抜けるのだろうか。

評価:★★★☆☆

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