第11話 白夜の果て

ドラマとして残されていたのは子供の頃からの因縁めいた悪事・
悪夢からの解放だった。

愛する人の夢に振り回される男性の悲劇ばかりが強く印象に残って
いるが、ここに来て逆にそんな男性に尽くされる事への苦しみを
描いた話だった。

尽くされる方としては尽くす方の意図をくみ取り、必ず幸せに
成らねばならないという複雑な心理が働いており、真実を
告白する事よりも辛い嘘を突き通すことの苦しさを味わうことに
よって、その事がより鮮明に描き出されていた。

また自殺した彼を目の前にしても手を差し伸べることの出来ない
苦しみは彼女の複雑な心を表したと思う。

時効の時を一緒に迎えようとした相手、自分が苦しいときには
ダクトを伝って助けに来てくれた男はもう居らず、それでもなお
その人の事を思って生きていかねばならない彼女の宿命の悲しさ
と同時に、助けに来るはずもないダクトを何度も見上げる
綾瀬はるかの姿がとても寂しげだった。

ちょっと意図が分かりづらかったのが、ここの来て急に2号店
を出店した事実と、最後まで彼女に拘り続けた柏原崇の心理。
この辺がもう少しフォローされると良かったかな。

山田孝之と武田鉄矢が最後に鉄橋で話を交わすシーン。
前回犯罪歴ノートを見つけたときの話と内容としてはかぶって
しまった感じがするのが残念だが、最後にこれだけの罪を重ねて
きた事に対する残虐性と同時に、その大きさは相手を一途に思う
が故の愛情の大きさにも比例する事で、なんだか感慨深いものも
感じた。

なんだかんだ言ってこれまでにあまり味わったことのない心境を
体験したようでドラマとしては面白かったと思う。

評価:★★★☆☆

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