相棒 シーズン6
(2007年度10月期・テレ朝)

脚本:櫻井武晴(1)(9)(14)(19)、戸田山雅司(2)(3)(10)(16)
西村康昭(4)、吉本昌弘(5)(15)、入江信吾(6)
岩下悠子(7)(8)(13)(18)、古沢良太(11)(12)、輿水泰弘(17)

http://www.tv-asahi.co.jp/aibou_06/


第1話 複眼の法廷

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新宿南交番に勤める巡査部長・速水雄一が警邏中に銃で撃たれ
て殺害される。拳銃は32口径ブローニング。速水の過去を調べ
ていくと2年前に銃の密売容疑で捕まえた男性・塚原功が容疑者
として浮上する。彼は恋人の森静香のアパートに居たために
事情を聞きに訪れる。窓から逃げようとしていた彼を捕まえて
署に連行する。部屋には多数の銃が見つかり、今でも銃の密売
をしている事が伺えた。

速水は殺される日の昼間に押収した銃について閲覧申請を行っ
て居たことを知る。
連日の激しい取り調べ。特に速水に世話になった刑事・有動正
は執拗に塚原を尋問する。その間押収した銃を調べるが巡査を
殺害した銃とは不一致であり、銃を撃った形跡もなかった。
そんな中ついに塚原は自分が殺害したことを自白する。殺害に
使われた銃も塚原の供述した用水路から見つかったことで、
検察は送検する事になる。

世間では裁判員制度を間近に控えていたが、この一件を制度
適用の第一号法廷にしようと前倒しして裁判員制度が行われる
事になる。裁判長には弱い者の味方として名高い三雲法男が
担当することになった。

二ヶ月後、いよいよ第一回公判が行われる。
しかし検察が呼んだ控訴事実を塚原は否認する。全ては強要さ
れて自白した事。しかしそれを傍聴していた塚原の女・森静香
は塚原は殺害していないことを発言する。彼らは人を殺すだけ
の勇気は無いというのである。速水を逆恨みして殺したいと
口にしていたことは事実だが、いざ交番に行ったときには口も
聞けずに帰ってきたというのである。

そんな中新たな殺人事件が起こる。
なんと殺害されたのは裁判員の一人・赤川良平(55歳)だった。
検死の結果頭蓋内出血により死亡。池の岩に頭をぶつけた事
が死因であるという。現場に争った跡があり、相手は女性の
靴跡が残されていた。死亡推定時刻は18時から20時の間で
あるという。赤川は公判の中で被疑者に対して厳しい追及を
行っていた人だった。警察は塚原の周囲の人間、特に森静香
の事を疑うことになる。
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裁判員制度が始まる前の時期に放映されたもの。
ドラマとしては裁判員制度の導入には時期尚早的なメッセージ
が含まれていたけど、制度の導入を目の前にして裁判員が殺害
されるというショッキングな内容も含まれていた。

ドラマとしては2時間スペシャルだけ有って二件の殺人が起こる。
全ての視線は一度は自白した容疑者・塚原が罪を犯したことが
既成事実のように描かれ、ドラマの大半は罪の量定を考えさせる
ものだった。

少しの話の矛盾点が即事件の核心的な人物へと繋がってしまう
所とか、数十万人も居るハズの裁判員候補の中から繋がりのある
人物が選ばれてしまう確率ってどれ程奇跡的なことなのかと
違和感を感じる部分もあるのだが、意図的に犯罪の量定を重くし
ようとして世論を誘導に導こうとする辺りはとても興味深く出来て
いた。
特に制度に参加する裁判員の持つ守秘義務がマスコミなどに流出
することでどの程度の影響力が有るのか、それを世間に分からせ
るという意味ではとても良くできていたものだと思う。

殺人事件の全ては動機だと思う。
一件目の巡査を殺す事件に関しては確かに逆恨みによる犯行は
有り得るものだが、二件目の事件に関しては、塚原のために
殺人しようとする人物が果たして居るのかどうかという点。
裁判員を殺害したところで状況が何一つ変わるはずもないところ
を見ると確かに右京が塚原周り以外の人物に目を向けたところは
とても鋭い。

警視総監賞をもらう事になっていた巡査。
その事実は極一部の人しか知らないという点から、新たな犯人を
探しだしていく。
裁判員の倉品は有働から教えて貰い、有働は辰巳から教えて貰っ
た。この事実を知る事がイコール、本人と接触していた事実として
描かれ、上手いこと容疑を辰巳に向けていく。しかし辰巳が不正
を行い、銃の再押収の証拠を見つけるのは相当難しそうだな。

ドラマは巡査の事件、そして赤川の事件が解決した後にも、
三雲法男の裁判員制度に対する見解を述べさせる為に、上手い
こと一つの疑惑を挿入したなと思う。まさか裁判官自身が情報
を流出させているとは考えつかないだろうしね。
しかし確かにその証拠は無く、全ては右京の頭の中で作り上げた
ものなのかもしれない。
スペシャルで描かれる事件って全てが解決に向かうとは限らない
事もあるんだよね。過去のスペシャルでも未解決のままって事が
確かあったな。

それと大木と小松が刑事としての仕事をしている所、初めて見た
ぞ。クレジットにもフルネームで登場。

杉下右京 …… 水谷豊
亀山薫 …… 寺脇康文 (警視庁の運転免許試験場)
奥寺美和子 …… 鈴木砂羽 (帝都新聞社会部記者)
宮部たまき …… 高樹沙耶 (小料理屋"花の里"。元右京の妻)

伊丹憲一 …… 川原和久 (警視庁刑事部捜査第一課員)
三浦 信輔 …… 大谷亮介 (警視庁刑事部捜査第一課員)
米沢 守 …… 六角精児 (鑑識課)
角田 六郎 …… 山西惇 (組織犯罪対策部)
内村 完爾 …… 片桐竜次 (警視長)
中園照生 …… 小野了 (警視正)
小野田 公顕 …… 岸部一徳 (警察庁/警視監)
西肇 …… 六角慎司 (捜査第二課員)
芹沢慶二 …… 山中崇史 (捜査一課。伊丹の後輩)

大木長十郎 …… 志水正義
小松真琴 …… 久保田龍吉

塚原功 …… 小沢和義 (銃刀法違反、被疑者)
森静香 …… 有沢妃呂子 (塚原の彼女、33歳)
田部井裕子 …… 宝生舞 (帝都新聞記者)
牧志乃武 …… 菊池均也 (帝都新聞記者)
三雲法男 …… 石橋凌 (裁判官)
赤川良平 …… 藤田宗久 (裁判員、被害者)
倉品翔子 …… 田中美奈子 (裁判員、赤川の元部下)
速水雄一 …… 三浦誠己 (巡査部長、被害者)
有動正 …… 松澤一之 (新宿南署刑事)
辰巳隆一郎 …… 堀部圭亮 (新宿南署刑事)

阿久津真 …… 菅原大吉 (裁判員、信用金庫職員)
本村美千代 …… 和泉ちぬ (裁判員、主婦)
田上海斗 …… 大西耕 (裁判員、フリーター)
相馬哲夫 …… 崎山凛 (裁判員、警備保障)
関 …… 園田裕久 (裁判員)

加藤治、築山万有美、筒井巧、山田明郷、伏見哲夫

真田あゆみ、阿南健治、野元学二、藤田清二、井上浩、北見誠
岡崎宏、北村隆幸、三原伊織奈、笠木泉、真田あゆみ、八巻博史
相坂美香、佐々木優

評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

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