相棒 シーズン6
(2007年度10月期・テレ朝)

脚本:櫻井武晴(1)(9)(14)(19)、戸田山雅司(2)(3)(10)(16)
西村康昭(4)、吉本昌弘(5)(15)、入江信吾(6)
岩下悠子(7)(8)(13)(18)、古沢良太(11)(12)、輿水泰弘(17)

http://www.tv-asahi.co.jp/aibou_06/


第10話 寝台特急カシオペア殺人事件!
上野〜札幌1200kmを走る豪華密室!犯人はこの中にいる!!

(開局50周年記念 元日スペシャル)
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2007年12月28日。所轄の警察官から人が死んでいると通報が
有り一課の伊丹たちや米沢はすぐに現場にやってくる。しかし
検死の結果事件性はなく凍死だと分かり拍子抜け。遅れてやっ
てきた右京らに伊丹は嫌みっぽく、難事件なので後はよろしく
と告げて退散する。
そんな中、帰宅途中の伊丹達は街中で指名手配犯の一人・新井
田政彦の姿を目撃。これを捕まえれば総監賞ものの事件だとし
て彼の姿を追い掛ける。新井田は懐から現金の入った封筒を
取り出し指定された場所に置く。清掃員がそれを受け取ろうと
したときその取引現場を見ていた一人の男性・根元尚吾がそれ
を奪い取り逃げ去る。根元を取り押さえる伊丹ら。しかしこの
取引現場を公安部もずっと尾行しており、現場は公安と捜査
一課の面々でごった返す。その間にも新井田には逃げられて
しまう。
新井田は取引しようとしていた塚原肇と接触し、荷物を渡せと
要求するが金の受け取りに失敗したので渡さないとする二人の
間でもみ合いになり、荷物は突然爆発してしまう。

2008年元旦。
塚原の家は爆弾工場のようになっており、密売していたものと
発覚。伊丹らは許可無く捜査に動いていたことや公安の邪魔を
したことで元旦から大河内監視の下でデータ処理の雑務を言い
渡される。
右京らは刑事部長に呼ばれ、先日取引現場で金を奪って逃げよ
うとしていた男の事情徴収に立ち会う。根元は妻子を置いて
北海道から出てきた男で、公判中の重要証人であることを知る。
札幌地検の要請によって、右京と薫は「寝台特急カシオペア」
にのって証人を安全に輸送するよう告げられる。
正月からピンク色の料理"美和子SPお雑煮ver."でお祝いしよう
としていた美和子とたまきは不満顔。

上野発16:20、いよいよカシオペア号は発車する。札幌まで約
16時間の旅。右京達は2号車4の部屋に泊まることになっていた。
重い荷物を運び込もうとする女性・堂上公江に荷物の搬入を
手伝う薫。
食堂室にいく右京達は、駅弁だと思っていただけにこの豪勢な
食事にサプライズを受ける。20:30、食事を終えて部屋へと戻
る。すると近くの車両から女性の悲鳴声が聞こえる。
2号室1の部屋で男性・津島悟が左胸をナイフで一突きされて
亡くなっていたのである。第一発見者は2号室2の乗客・三樹ラ
イナだった。右京は自宅で録画された紅白を見ようとしていた
米沢に電話を入れて死亡推定時刻のはかり方を教わった結果、
死亡推定時刻は30分から時間前の23:30から24:00だと判明する。
盛岡には23:17分頃到着しているので次の函館までは停車する
ことが無い為、容疑者はこの車両に潜んでいる事は明白。
しかもその時間に別の車両に移る人物が居なかったことから、
容疑者は1号室と2号室の合計9人の中に居る事が判明する。
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さてドラマでは、冒頭からの爆弾事件と今回連行する公判の
証言人・根元尚吾が関わる銃密売事件が背後でうごめく中での
列車内で起こる殺人事件を暴くもの。

居合わせた乗客の人数を絞ったことや、容疑者として9人を
捜査線上に登らせる中で、それぞれのキャラクターの中に他人
には知られたくない事情を存在させたところがドラマとして
面白くなった。

ドラマとしては不完全ながらも列車という閉鎖的な空間全体
を使って面白い形で密室という状況を作り上げたのが、この
ドラマの良さにも繋がった。

冒頭から美和子とたまきが話し合いの中で、仲瀬や羽鳥について
語り合う事で、事件とはどういう繋がりが有るのか想像させる
だけの前振りが有った。洞爺湖のいうキーワードを早い内から
提示させた事はドラマでも上手いネタフリの仕方。

途中列車内で捜査していく内に、分かりやすい形のアイテム、
手帳やビデオカメラ、そしてメモの存在など誰がそれらを盗ん
だり仕掛けたりしたのか視聴者でも予想するだけの要素を与えた
部分が上手いと思う。

また鉄道という特殊性を活かした作りで、時刻表には載って
いない青森での機関車の連結の為の停車情報を盛り込む辺りは
とても興味深い作りだった。
これ本州から出る寝台列車は東北だけでなく、九州に向かう
列車でも必ずトンネルをくぐり抜ける為に機関車を交換するよね。
学生時代ブルートレイン「さくら」に乗ったときに関門海峡で
機関車を付け替えるために停車したのを覚えている。でもその
時は早朝だったけれど列車の客車のドアは開いたな。

さて事件は青森で食堂車のゴミが排出される事を知ったことで
急展開を見せる。
その中に麻薬と手帳が残っていた事。
手帳に血痕が付着していたが、鑑識が有ればすぐにでも解決
しそうな所を敢えて、近代的な捜査を使わずに解決していくと
いう辺りが今回の見どころだ。
ドラマとしてのポイントは列車に乗車した後すぐに訪れるディ
ナー時の食堂に有ったという点が面白いね。
普通は聞き逃すような話でも右京は全てを覚えているからなぁ。

事件が解決した後の顛末は、やや都合良く出来すぎていた感じも
する。ドラマとしての興味は根元尚吾がどんな証言をする為に
召喚されたのか。そして根元が東京に居た理由なども気になる
点。その辺でドラマとしての求心力を保ちつつ、更に事件は
爆弾事件へと繋げてしまうのだから欲張りな展開。
右京以外に北海道県警は捜査に一切動いていない点や、東京で
処理されるべき爆弾事件を強引に出張中の右京に絡ませすぎた
感じ。携帯電話で動画を見る辺り息苦しい展開に感じたし、
問題解決に向けてまるで右京達がターミネーターの如く正確な
足取りしか見せない点は不可解だが、最後に来てまどろっこしい
展開になるのも面倒くさいからね。

爆弾を購入した人物までもが列車に乗っているのはちょっと
考えづらいし、根元の件が仲瀬に繋がってしまうミラクルさ
で締めくくる辺りも随分事件を一挙に片付けたなという気はする。

しかし洞爺湖のホテルは窓から島が見えたりとても綺麗
だったな。

SP版らしく、大河内と小野田の絡みも有ったが、今回は警察
上層部は比較的大人しかった。大河内主導で新しい組織を
作りたいとする辺りは今後のネタふりなのか、スピンオフと
しての企画を考えていたりするのかな。

杉下右京 …… 水谷豊
亀山薫 …… 寺脇康文 (警視庁の運転免許試験場)
奥寺美和子 …… 鈴木砂羽 (帝都新聞社会部記者)
宮部たまき …… 高樹沙耶 (小料理屋"花の里"。元右京の妻)

伊丹憲一 …… 川原和久 (警視庁刑事部捜査第一課員)
三浦信輔 …… 大谷亮介 (警視庁刑事部捜査第一課員)
米沢守 …… 六角精児 (鑑識課)
角田六郎 …… 山西惇 (組織犯罪対策部)
内村完爾 …… 片桐竜次 (警視長)
中園照生 …… 小野了 (警視正)
小野田公顕 …… 岸部一徳 (警察庁/警視監)
大河内春樹 …… 神保悟志 (警察庁長官官房室長)
芹沢慶二 …… 山中崇史 (捜査一課。伊丹の後輩)

大木長十郎 …… 志水正義
小松真琴 …… 久保田龍吉

根元尚吾 …… 柏原収史 (裁判の証言人)
仲瀬親洋 …… 黒部進 (元通産官僚、仲瀬開発社長、ホテル王)
新井田政彦 …… 川本淳市 (暴力団、赤いカナリア)
塚原肇 …… 崔哲浩 (爆弾製造)
藤北寛 …… 阿部薫

堂上公江 …… 長山藍子 (2号室3 元翻訳家)
三樹ライナ …… 松永京子 (2号室2 人気モデル)
折原国子 …… 平岩紙 (2号室2 マネージャー)
安藤礼治 …… 永島敏行 (1号室1 大学教授)
安藤仁奈子 …… 山本みどり (1号室1 妻)
安藤博貴 …… 浅利陽介 (1号室1 素行不良で高校中退)
増田悦郎 …… 木下政治 (1号室4 マネージャー)
羽鳥亮矢 …… 森本亮治 (1号室4 人気俳優・25歳)
津島悟 …… 江原修 (2号室1 クラブ経営、麻薬密売、被害者)
藤井(保坂有三) …… 平賀雅臣 (1号室3 鉄道マニア、実は警察)

小久保丈二、松下恵、坂西良太、川本亮治、映美くらら
田口寛子、大口兼悟、加門良、野口雅弘、宮崎稲穂
尾根真樹、平田康之、所博昭、藤岡麻美、八巻博史
[木舛]田徳寿、武田晋、中山恭誉、野副隼、大橋千絵
松下芽萌里

評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

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