第1話

「白い巨塔」の原作者・山崎豊子のドラマ。
一度1974年にドラマ化されているそうで、リメイク作品として
今回製作された。

これだけのオールキャストで描き出された事は、やっぱり
山崎豊子原作というネームバリューが強く影響されての事だろう。
奇しくも現在、韓国では「白い巨塔」のリメイク版が放送されて
いるそうで、日韓共に山崎豊子の世界に酔いしれているのかも
知れない。

ドラマは良くも悪くも「白い巨塔」のイメージそのままに、
大いなる野望を軸に憎しみや復讐劇へと発展していくドラマの
ようだ。

その片鱗を見せた木村拓哉の出生の秘密を臭わす不自然な場面の
数々が今後とも興味の一つとして存在していくのであろう。

初回故に全員の顔出し感が強かったが、やはり北大路欣也を中心
として彼の豪腕経営とそれに巻き込まれていく家族の者達が
描かれている事は様々な場面で予見される。その一つは、
娘・息子たちの閨閥結婚かな。

更にライバル同士の対立の構図が上手い形で披露された。
帝国製鉄と阪神特殊鋼。阪神銀行と資本獲得競争するであろう
他の都市銀行。銀行内でも生え抜きと天下りの存在は、今後何らか
の形で対立関係が表面化していくと思われ、そしてなんと言っても
本妻・原田美枝子と愛人・鈴木京香の関係は、互いの主従関係を
飛び越えて、立場と能力の違いを面白い具合に描き出した対立
関係だと言っても良いと思う。(それにしても原田美枝子は天性の
いじめられっ子キャラだと思うのは気のせいか)

更に肖像画に描かれている祖父の存在も現代の木村拓哉と北大路
欣也の関係を通してその性格の違いが上手く描かれていくのかな。

初回にして一瞬にしてこの世界観に踏み入れるのに十分な程の
映像表現を見せたところも特筆すべき所。
昭和の時代を再現するセットや映像が実に巧みであり、冒頭の街
並みを映し出す映像は圧巻だった。
挿入される神戸の映像は、上海で撮影されたものだそうで、
それに加えて、製鉄所のスパークする映像は単純に目を引きつける
のに十分過ぎるものだったと思うし、この場面で木村拓哉の性格
を上手く描き出したと思う。

加山雄三の曲がこの町並みの中で流れていたが、リメイク前の
作品では、彼が鉄平役だったようだ。

それはそうと製鉄所に勤めているから鉄平。銀行に勤めている
次男は銀平。長女は一子、次女は二子。この安易な名前の付け方
が面白い。これは原作者が名前を簡単に覚えるために意図的に
付けられたそうだが、それだけ登場人物が多い証拠なのかも知れ
ない。

更に笑えるのが、西田敏行の役柄が「白い巨塔」そのまま。
唐沢寿明から木村拓哉に変わっただけで思わず彼の口から"五郎はん"
なんて声が聞こえてきそうな役柄だ。娘婿(キムタク)を可愛がり、
今後とも金銭問題や経営戦略、女性問題で手を貸していくのかな。

ドラマで難を言えば、現代的なイメージの俳優が出演した事に
よって時代錯誤的な臭いがしてしまう点か。キムタクがこれ程
違和感有る役だったというのも珍しいかもしれない。山田優が
次男・山本耕史の嫁として登場するみたいだけど、どうなるか
実に心配だ。

評価:★★★★★★★☆☆☆ (7.0)

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