第9話 あなたが二人いればいいのに

美和子は毎晩メリーの店で太郎を待ち続ける。
彼女はコミュニケーションを取る内に昔を思い出させる自信が
有ったのだが、肝心の相手が来ないことに寂しさを覚える。
思い切って映画館に行き、彼女は太郎の前で向き合う義務が
有るので今日こそは来て欲しいと懇願する。

誰もが太郎の昔のことについて知りたくない。
太郎が昔を知ることによって今の平穏な生活が崩れてしまうの
ではないか不安なのだ。

家族はどうすることが太郎にとって幸せなのか悩んでいる。
母親が語っていたとおり、太郎がこの10年間苦しんでいた姿に
素直に向き合うことが出来ず、見て見ぬ振りをしてきた。
太郎にとっても同じ事で、毎晩のように通っていたメリーの
店にも美和子が居るだけで全く近寄ることも出来なくなった。

これまで過ごした太郎との思い出の日々が清算されるのでは
ないかと怯えて過ごす家族の者たちの様子を色濃く描いた
話しだった。

しかし嫌だと言っても太郎の記憶が蘇り始めている。
岸田家にとってのハルマゲドンが近づいている事は、ドラマ
の至る所で見られ始めた。
その足音が具現化した時の家族の間に走る緊張の瞬間がこの
ドラマを象徴しているシーンの一つで見応え十分。

鈴とのキスシーンによって太郎を巡る争いは鈴側に有利に
働いていたけど、子供というカードが有った事は、一挙に
美和子に軍配が上がるワイルドカードでもある。
果たして本当に太郎と美和子の間に出来た子供なのだろうか?

評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

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