第6話 恋をする気持ち |
行政や企業を主要クライアントとする法律事務所ゆえに、
学校を訴える事は以ての外。これ以上の調査は珠子にとって
事務所からの解雇を意味するが、彼女は断固として辞める気は
無かった。
公私共にパートナー関係であった直之との関係解消物語。
医療ミスで亡くなった直之の母親と弁護士事務所を開いていた
父親の過去の関係が明らかになり、その決断には衝撃的なものが
有ったが、そんな父親の跡を引き継いだ直之にもそんな一面が
有る事に有る意味驚いた。
このドラマを見ていると歪んだ性格の人間が数多く登場し、
そして捻れた人間関係も幾多の場面で見られるのだが、人間と
いうものを根幹で現している感情というものは実に素直で、
そのギャップに何だか救われる気がする。
最初は固定概念であったり規範が邪魔をしているのだが、後から
わき出てくる感情や思いは、決してウソは付けない。
イジメの問題に於ける明日香の存在もそうだし、今回の二人の
関係性もそうだ。淡々とした中にも、どこかで感情が息づいて
いる事にリアルな人間味溢れるドラマを形成している。
さて今回は、耕平にとって随分耳元で悪魔の声が囁かれた話し
でも有る。秘密に対して追求しない姿勢を取ることが、平和な
教師人生を送れる事が分かってしまった。一見すると副校長の
態度が改変したようにも見え、イジメに対する追及の手も緩めず
引き締めを図っているようにも思える。
アンケートについてどんなカラクリが有ったのかは分からないが
あの三澤由紀子の日記は明らかに作為的に作られたものであり、
耕平の中で正義が何かを揺るがすには、本当によく出来たシナ
リオだと思う。それは同時に見ている方にも正義の所在が何処に
有るのか分からなくなるものなんだけどね。
彼の中に人間の本質が含まれていて、楽な方へと転がり落ちていく
態度と正義への葛藤はドラマとして面白く仕上がっていると思う。
評価:★★★★★★★★☆☆ (8.0)