33分探偵 

脚本/福田雄一

http://wwwz.fujitv.co.jp/33tantei/index.html


第1話 花嫁殺人をもたせる!!


茂木刑事の結婚式に出席していた大田原警部。
そこで殺人事件が起こる。すぐに大田原は鞍馬六郎の探偵事務所
に向かうがあいにく置き手紙を残して六郎は居らず、仕方なく
助手の武藤リカコと共に現場に向かう。すると何処からか臭い
を嗅ぎつけてきた六郎は既に彼らより早く現場にいた。
殺されたのは茂木刑事たちの結婚式の隣で行っていた新婦の
吉沢京子。衣装替えの控え室でナイフに刺され殺される。
鍵がないと外からは入れない構造の部屋で限りなく密室に近い
状況。着付け係の双子の女性たちが犯人を目撃しており、
更には返り血を浴びて凶器のナイフを持つ犯人が連行されて
来たのである。一件落着かに思えたが、六郎は果たしてそうだ
ろうかと疑問の声をあげ、一から捜査のやり直しを求める。

簡単に結論の出た事件を別角度から捉えてみて、改めてその
結論が正しいものだと導き出す。まさに初心を顧みる為の
ドラマが始まった感じだ。

特定のドラマに対するものではないのだろうが、ドラマは
これまでのドラマのセオリーを皮肉った内容となっている為、
ドラマや映画好きには、より楽しめる内容ではなかろうか。

殺人事件を扱うドラマに於いて、アリバイや犯人の動機、物証
などが上手く絡み合い、犯人を特定していくわけだが、敢えて
目の前にいる犯人を犯人として捕らえず、既成事実からは目を
逸らして、あらゆる可能性を探っていく。

ドラマとして面白いのは、そんな回りくどい事をしている内に
今まで知る由もなかったサイドストーリーが見えてくるという
点だと思う。

凶器、返り血を浴びたという物証、そして自白。
いきなり全てが揃ってしまい犯人は断定された訳だが、
回りくどい捜査を行わない限り、被害者が何故殺されたのか、
そして犯人は何故殺害したのかは見えてこない。そういう犯行
とは直接関係のないところをあぶり出すという意味で、ドラマ
はより濃厚さを増してくるものだと思う。

今回のドラマの中でも、結局犯人は山口だった訳だが、
この結婚式に参列した元彼、元彼女という複雑な人物関係が
何故発生しているのかを面白く説明している。

鞍馬六郎が証拠を集めるために車などに乗る場面も完全なる
合成として製作されているわけだが、昔のヒッチコック映画な
んかの車のシーンは、みんなこんな感じに合成で製作されていた。
馬鹿らしいとして切り捨ててしまえばそれまでなのだが、
なんとなくそこにはセンスというものが存在し、脚本家は
ドラマや映画なんかをよく知る人だなと思わせるシーンが
幾つもの場面で見られる所が、このドラマの良さであるのかも
知れない。

人間は知らないうちに可能性のない事には目も向けずに、
バッサリと頭の中で切り捨ててしまうことだと思う。その可能性
のない所にもドラマではツッコミを入れて、可能性のない事を
証明するために奔走する。少し面倒な話しだが、可能性の無い
ところにもどうやって面白さを発揮していくのか。

こういうネタドラマに佐藤二朗有りって所を証明している感じ
がとても良かった。

鞍馬六郎 ……… 堂本剛
武藤リカコ ……… 水川あさみ
アイ ……… 野波麻帆
茂木刑事 ……… 戸次重幸
情報屋 ……… 小島よしお
鑑識官 ……… 佐藤二朗
大田原警部 ……… 高橋克実

guest
吉沢京子 ……… 井上佳子 (被害者の新婦)
山口 ……… 山本雅幸 (犯人)
藤田博史 ……… 長谷川朝晴 (新郎)
芝崎エリ ……… 上野なつひ (新郎藤田の元彼女)

松岡璃奈子、松岡恵望子、小林大介、米村亮太朗、太田恭輔
萩美香、角谷将視、櫻井理菜、櫻井理彩、高黄??、塚本雪絵
志賀廣太郎(ナレ)

評価:★★★★★☆☆☆☆☆ (5.0)

inserted by FC2 system