相棒 シーズン7
(2008年度10月期・テレ朝)

チーフプロデューサー - 松本基弘
プロデューサー - 伊東仁、西平敦郎・土田真通
脚本:輿水泰弘(1)(2)(8)(9)(19)、徳永富彦(3)(10)(16)、岩下悠子(4)
渡辺雄介(5)、櫻井武晴(6)(7)(12)(13)(18)、ハセベバクシンオー(11)
佐伯俊道(14)、古沢良太(15)、波多野都(17)

http://www.tv-asahi.co.jp/aibou_07/


第3話 沈黙のカナリア

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衆議院議員会館の一室で突然爆発事件が起こる。
爆発したのは厚生労働省の大臣政務官であり、若者から絶大な
支持を得ている後藤新次の部屋。ここでは政策秘書の中村忠是
と公設秘書の松岡京介が働いていた。
爆発によって中村が亡くなり奥の部屋にいた後藤新次は傷を
負うだけでなんとか助かる。

すぐに警察が調査に乗り出す。公安部長の木戸は捜査一課の前
で我々は既に犯人の目星を付けているという。左翼系過激派
集団による仕業だという。

現地に行く右京達は爆発物が運び込まれた敬意を調べる為に
入り口を入念に調べる。入り口では感度の高い金属探知機が
設置してあり、警備員によって入念に調べられる事から爆発
物を持ち込むのは不可能に思えた。鑑識のために訪れている
米沢に尋ねると、二つの物質を混合させる事で爆発させる
バイナリ式の爆弾だという。右京は現場に胡蝶蘭の花びらが
落ちているのを見かける。胡蝶蘭の鉢植えが何故か土が盛ら
れている事に引っかかる。普通胡蝶蘭は水苔などを使って植え
るハズだという。土の中に栄養剤を入れることで爆発させる
仕組みになってたのではないかと推察する。

右京らはすぐに警備室に行き、10時50分頃にやってきた人物
を調べる。しかし監視カメラに映る胡蝶蘭を持った宅配業者
種田正は栄養剤は持っていなかった。推察が外れたかに思え
たが、来訪者リストを調べていくと同じような時間帯に複数
のメンテナンス業者が屋内に居たのを知る。
右京達は管内の植木鉢を調べて回ると、栄養剤が刺さっている
鉢と刺さっていない土が有ることを発見。メンテナンス業者
の高本信嘉と中井雅人はこの一連の爆破事件に関わっている
ものだと推察する。

一課に二人を取り調べさせると、彼らは日雇いで指示役の人
から栄養剤と詳細にやるべき事を書かれた紙を手渡されたと
いう。しかし爆破するとは知らなかったと告げる。
全てインターネットの派遣サイトを見て応募してきた人。
調べていくとニセサイトである事が分かり、ネットカフェから
アップロードされている事が分かる。種田の過去を調べると
彼には窃盗罪の逮捕歴があり、ワーキングプアの人種である
事が判明。それを裏付けるように後日、ネットカフェで彼が
残していったものとされる荷物の中から、数々の犯行を臭わせ
る資料などが見つかる。
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誰が誰を狙っていたのか。
ドラマとしては見どころは沢山あり、そういった動機の解明や
爆弾をどう屋内に運んできたのか、どんな方法で殺害に及んだ
のかなど興味深いものだった。
ただ多くの要素を盛り込んだ分、随分窮屈なシナリオにも感じ
た。

ワーキングプアの問題、そして脅迫事件などがどのように絡み
有っているのか。
この二つが単純に殺害に於いて絡み合っているとはドラマの流れ
からして考えづらいものだった。

ドラマでは私設秘書はとても紳士的な人物であり、政治家には
汚点が有り欠点も存在すると言うことで、容疑の視線は自然に
政治家へと向けられる。ただ注目を浴びている議員がその様な
行動を見せられるのかという面では、容疑者選定としてはやや
弱いものがある。

バイナリ式爆弾の怪しさを感じさせるものだったし、胡蝶蘭に
目をつける辺りはちょっと鋭すぎるものを感じた。

ドラマとして面白くできていたのは、右京が容疑者を追い込む
為に何度も連続して面会に言った流れだ。
この流れから上手く犯人の焦りを引き出す事に繋がっていくし、
犯人しか知り得ないような遺体の現場へと誘導する。
ただ正直遺体が爆発で亡くなっているのならば、爆発した時点
で遺体は発見されているだろうね。

議員会館の見取り図で全室共用という文字が気になったり、
プリンターのインクに於いてレーザープリンタでは水滴では
文字が滲まない点など細かい犯人への道しるべも盛り込んでいる。

結局犯行はかつて炭坑で亡くなった父親と自殺した母親に掛け
られた汚名に対する復讐だった。父親が亡くなったのは仕方が
ないにしても、母親が自殺したのは明らかに会社の隠蔽を容認
してまで炭坑を守ろうとしたものだからね。
しかしこの母親も発火したのは会社のミスで有ることをよく
知っていたね。

議員・後藤新次が悪さをしていた過去が上手い感じにミスリード
を引き起こしていたと思う。

しかし今回沈黙のカナリアというサブタイトルがついていたので、
相棒シリーズの中で出てくる暴力団の"赤いカナリア"絡みの話かと
思った。長年シリーズを見ている人はそういう人物の犯行だと思い
浮かんだかも知れませんね。

そして大河内の使い方がちょっといい加減すぎかも。
単なる顔見せ登場か?

杉下右京 …… 水谷豊 (警視庁・特命係)
亀山薫 …… 寺脇康文 (警視庁・特命係)
奥寺美和子 …… 鈴木砂羽 (帝都新聞社会部記者)
宮部たまき …… 高樹沙耶 (小料理屋"花の里"。元右京の妻)

伊丹憲一 …… 川原和久 (警視庁刑事部捜査第一課員)
三浦信輔 …… 大谷亮介 (警視庁刑事部捜査第一課員)
米沢守 …… 六角精児 (鑑識課)
角田六郎 …… 山西惇 (組織犯罪対策五課)
内村完爾 …… 片桐竜次 (警視長)
中園照生 …… 小野了 (警視正)
小野田公顕 …… 岸部一徳 (警察庁/警視監)
大河内春樹 …… 神保悟志 (警察庁長官官房室長)
芹沢慶二 …… 山中崇史 (捜査一課。伊丹の後輩)

大木長十郎 …… 志水正義 (組織犯罪対策部)
小松真琴 …… 久保田龍吉 (組織犯罪対策部)

松岡京介 …… 眞島秀和 (公設秘書、北海道の炭坑町出身)
後藤新次 …… 大沢健 (元通産大臣・後藤真一の二世議員)
中村忠是 …… 磯辺勉 (先代からの政策秘書)
小谷妙子 …… 立原麻衣 (松岡の母、夫小谷)
種田正 …… 犬飼淳治 (宅配業者、ワーキングプア)
高本信嘉 …… 顔田顔彦 (日雇いのバイト)
中井雅人 …… 大治幸雄 (メンテナンス)
木戸 …… 仲恭司 (公安部長、捜査一課と対立)

神恭司、吉見幸洋、田野良樹、菊地真之、飛田光里

評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

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