相棒 シーズン7
(2008年度10月期・テレ朝)

チーフプロデューサー - 松本基弘
プロデューサー - 伊東仁、西平敦郎・土田真通
脚本:輿水泰弘(1)(2)(8)(9)(19)、徳永富彦(3)(10)(16)、岩下悠子(4)
渡辺雄介(5)、櫻井武晴(6)(7)(12)(13)(18)、ハセベバクシンオー(11)
佐伯俊道(14)、古沢良太(15)、波多野都(17)

http://www.tv-asahi.co.jp/aibou_07/


第16話 髪を切られた女

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三村奈津子が自宅のマンションの浴槽で溺死して亡くなる。
事件性はなく事故だと処理された。奈津子は秋山孝之の恋人
であり、文光印刷に勤める同僚でもあった。
この日捜査一課の芹沢慶二は高校時代の同級生・秋山の彼女の
葬式に来ていた。出棺前のお棺に収まる奈津子の亡骸を見て
芹沢は違和感を覚える。一年前、埼玉県で連続発生したかみ切
り事件の手口と同じように、奈津子の髪の毛が不自然に切り取
られているのである。
芹沢はこの件を密かに右京にコンタクトを取り、内密に捜査
協力を求める。

捜査資料を見ると亡くなったのは2月15日の午後6時から9時の
間。手指に霜焼けが出来ていたという。すぐに彼女が住んでい
たアパート"セントラルハイム杉並"へと足を運ぶ。
壁には映画監督・川島敏夫のファンを思わせるポスターが飾ら
れていた。浴槽を調べると争った形跡は一切無く整然としてい
る。洗面所には霜焼けクリームが有り、洗濯機の中を調べると
洗ったままになっている洗濯物を発見。しかし右京は下着が
洗濯用のネットに入っていないことに疑問を持つ。
彼女が履いていた革靴に油脂が浮かび上がっていた。
すぐにマンションの入り口に設置してある防犯カメラの映像を
調べる。すると20時45分と21時30分に不自然な光が向けられて
いて映像がよく見えない部分があった。それと同時に奈津子
が帰宅した様な映像がない。
三つの可能性が有り、最も有力な仮説として外で殺害され運ば
れたのではないかと推察する。取りあえず奈津子の当日の足取
りを調べることになる。

彼女が勤める文光印刷にいくと、彼女は映画の脚本を書くのが
夢でこの会社に入社したのを知る。当日共映撮影所に更正した
脚本を届けに行った事を知る。
右京らが撮影所に行くと、現在川島監督の映画"微睡"が撮影
中だった。しかし川島監督の様子が変で、撮影中に眠っており
指示を出していたのは助監督の中川香織だった。カメラマンの
長澤浩一、美術の浅井至、プロデューサーの多田信也に話しを
聞く。その中でも監督の部屋から出てきたプロデューサーの
多田は、もう川島監督は、監督としてのキャリアは終わりだと
告げる。いつも撮影中に抜けだして一杯飲みに行くという。
監督が文化庁の助成金を得て自ら脚本を持ち込んできたからこ
そ撮影するに至ったが、前回の撮影から6年近く田舎で何もせず
に暮らしていたという。15日も途中で帰宅している事を知る。
川島監督は一度撮影中の事故を起こしていることを知る。
海辺の撮影に於いてエキストラが一人帰らぬ人となっており、
それ以来撮影をしていない事が判明。
右京はその時の撮影が"微睡"である事を知り、今回リベンジだ
として挑んだ撮影にそんな事情が有ることが分かる。

右京は過去のシナリオと現在のシナリオを見比べてみると、
同一人物が書いたモノではないことに気がつく。
更に芹沢は監督の田舎が埼玉である事を知り、過去に起こった
かみ切り事件との関連を疑う。
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三村奈津子が浴槽で溺死した。果たして他殺なのか、単なる
事故なのか。

今回の相棒は伊丹刑事の部下・芹沢刑事だった。
薫無き後、いつかは芹沢の出番だと思っていたが今回実現された。

事件性を臭わす幾つもの物証が存在したという点で、とても
見やすく面白く構成された話だった。

奈津子の部屋のポスターが一枚だけ壁から剥がされている点。
洗濯機の中の下着の件。
雨が降った事実がないにもかかわらず靴にはそれを示す形跡が
残されている点。
そして奈津子の髪の毛が不自然に切られている点。

ドラマとしては監督の不自然な挙動によって完全に容疑の視線
は監督へと向けられる訳だが、それが最後の最後まで上手く
ミスリードを誘っていた。

ただ正直刑事物を多く見ている視聴者にとっては違和感の感じる
展開でも有ったのではないか。
死亡した現場をすり替えるというのはとても難しい作業で、
検視レベルで見ればうつ伏せで亡くなっていた被害者の死紋の
状態とか、冷蔵庫に入れたり風呂に入れたりしたことで死亡推定
時刻も容易には判明しないだろうし、水の中に残されていた
靴底の跡とかちょっと強引だった。
また監督が何故か助監督たちより先に自分が遺体を運んだとして
いるが、監督はスタッフたちがこれら一連の遺体現場の工作を
知らされていたのだろうか?
常識的に考えるとスタッフも監督には証さないと思うので、庇う
必要性もない。

バーボンの件を上手く処理した辺りの洞察力は流石だなと思った。

映画の撮影スタッフが関わっていると言うことで、その技術を
現場工作のために使うという着眼点も面白いモノだと思う。

杉下右京 …… 水谷豊 (警視庁・特命係)
亀山薫 …… 寺脇康文 (警視庁・特命係)
奥寺美和子 …… 鈴木砂羽 (帝都新聞社会部記者)
宮部たまき …… 益戸育江 (小料理屋"花の里"。元右京の妻)

伊丹憲一 …… 川原和久 (警視庁刑事部捜査第一課員)
三浦信輔 …… 大谷亮介 (警視庁刑事部捜査第一課員)
米沢守 …… 六角精児 (鑑識課)
角田六郎 …… 山西惇 (組織犯罪対策五課)
内村完爾 …… 片桐竜次 (警視長)
中園照生 …… 小野了 (警視正)
小野田公顕 …… 岸部一徳 (警察庁/警視監)
大河内春樹 …… 神保悟志 (警察庁長官官房室長)
芹沢慶二 …… 山中崇史 (捜査一課。伊丹の後輩)

大木長十郎 …… 志水正義 (組織犯罪対策部)
小松真琴 …… 久保田龍吉 (組織犯罪対策部)

川島敏夫 …… 秋野太作 (映画監督、監督歴50年。末期癌
中川香織 …… 渡辺真起子 (助監督)
長澤浩一 …… 有福正志 (カメラマン)
浅井至 …… 諏訪太朗 (美術)
多田信也 …… 米山善吉 (プロデューサー)
三村奈津子 …… 岡野真那美 (被害者、文光印刷)
秋山孝之 …… 石母田史朗 (芹沢慶二の高校時代友人、奈津子の彼)

芝崎昇、松田章、大槻修治、犬飼若博、松井宗但、八巻博史
松本朋子

評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

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