コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-

脚本:林宏司

http://wwwz.fujitv.co.jp/codeblue/


第7話 告白


藍沢は祖母・絹江の病状を気にしつつも、淡々と自らの仕事
をこなしていく。そんな姿を見た黒田から頚動脈の血行再建手術
に加わるよう言われる。
病院には突然の嘔吐と腹痛を訴え、成田空港から運ばれてくる
患者の対応に負われる。患者は大山恒夫という女性の姿をした
男性。バンコクで性転換手術を受けてきた彼は、絶食の必要が
有ったにもかかわらず食べ物を食べてしまった為に腸閉塞
を引き起こしたためのもの。
一方病院に車椅子の男性・田沢悟史とその母・俊子がやってきて
ナースセンターにいる白石に声を掛ける。二人は冴島を訪ねて
きたというが彼らが来たことを知ると動揺し始める。
更に裁判所で公判中に倒れたという一報を受けDr.ヘリを
出動させる。倒れたのは現在医療裁判に於いて三井を訴える
真壁だった。現場に着くと三井が応急処置をしており、すぐに
病院運ぶことになる。

ドラマは医者と患者の温度差を描いた話しであると共に、
所詮人間は自分の事を優先してしまう事を描いた話しだった。

ドラマとしてとても良くできていると感じるのは、藍沢と冴島
のエピソードは心情的にリンクしていること。全く違った事象
でもあるのに上手く冴島のフォローを藍沢のエピソードに重ねて
上手く処理している辺りは流石だなと思うところである。

藍沢が語る"家族との時間を犠牲にしても患者を救う"という
名目は、結局患者のためではなく、自分の人生を優先したもの
ではないかという問題を提起した格好だ。

医師の存在とは患者にとって一体何なのか。
一つの答えは三井と部長田所良昭の間でそれを導き出している。
自分のため・偽善として治療した事でも、来てくれて良かった
と言ってくれる人の存在があるという事。自分の為に動いている
事が逆に患者のためにもなっているという説である。

優秀な外科医としての条件として患者に必要以上に感情移入
しないという事をこれまでの展開の中で描いているのに対し、
三井と白石のエピソードは、その感情移入が失敗して患者と
対峙してしまうケースである。

白石は優秀性を絵に描いた様に冒頭から教科書を必死になって
読んでいる。しかしそんな教科書の症例ばかりが治療に役立つ
訳ではないこと。
患者の大山恒夫が語っている様に、所詮は医師と患者は別の
人間でもあり、人の痛みは医師でも分からないというものだ。

三井のエピソードはより複雑に、外から見た医師としての態度
と実際当事者として触れあった医師としての顔を対照的に描き、
医療ミスとして訴えている真壁に、当時の治療が決して患者を
ぞんざいに扱ったものではないことを描いた。
医療ミスの当事者でなければ三井は良い医者なんだろうと呟く
真壁の心情が実に複雑で深いものを感じさせてくれる。

冴島のエピソードは複雑だね。
自分の愛する人が難病にかかったとき、果たして自分の人生を
犠牲にしてまでその人の事を献身的に世話することが出来るの
か。決して医師とか看護師という枠で語られるべき話しでは
無いと思うが、彼女がこれまで暗く、陰があるような役を演じて
いた理由が明らかにされたことでスッキリとしたものがある。
5年しか生きていられない相手に対して、距離を置くことの非情
さを訴える展開ではあるが、なかなか一概には語れない問題
ではあるね。

有る意味これまでで一番奥深い話しだったと思う。

藍沢耕作: 山下智久
白石恵:新垣結衣
緋山美帆子:戸田恵梨香
冴島はるか:比嘉愛未 ...フライトナース
藤川一男:浅利陽介
田所良昭:児玉清(特別出演)...救命救急部部長
森本忠士:勝村政信 ...整形外科が専門
梶寿志:寺島進 ...ベテランパイロット
西城章:杉本哲太 ...脳外科部長
三井環奈:りょう ...産婦人科と新生児医療の専門医
黒田脩二:柳葉敏郎 ...専門は胸腹部外科

轟木聖子 : 遊井亮子
安西康行 : 樋渡真司
大原澄子 : 池田貴美子
村田香織 : 金田美香

guest
藍沢絹江 : 島かおり
大山恒夫 : 古本新乃輔
真壁清 : 阿南健治
田沢悟史 : 平山広行
田沢俊子 : 大塚良重

田窪一世、隈部洋平、春木みさよ、大竹浩一、安岡直

評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

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