ゴンゾウ 〜伝説の刑事

脚本/古沢良太

http://www.tv-asahi.co.jp/gonzo/


第7話 3年前の真実


2005年。柔道で稽古を付ける黒木と佐久間は第7係の刑事。
いざ事件が起きるとすぐに服を着替えて現場へと向かう。
殺人事件が起こる。被害者の工藤和幸は喉をかっ切られて
殺された。怨恨の線で捜査を行うことになり、工藤の身辺調査
を行うと、売春婦であり彼に借金で縛られていた女性・佐伯杏子
という女性が浮かび上がる。
事情を聞くために任意同行するが何も口を割らない彼女。
黒木が上司に呼ばれ、彼が昇進する可能性が有ることを言われ
更には黒木の主導で捜査一課13係を設立すると言われている
間に、佐久間は彼女を家に帰してしまう。理由などどうでも
良いからしょっ引けと言われ、明日からではなく今から杏子
に張り付いていろと佐久間の不甲斐なさに激怒する黒木。
車中で佐久間から杏子の事を聞いていると、彼女は黒木が
巡査時代時代一家心中し、助けた少女の一人だという事が
分かる。両親は死亡し、彼女は施設に預けられるが、黒木は
彼女に人形を贈り、困ったときにはいつでも助けると約束する。
杏子が客に殴られているのを見ると黒木は居ても立ってもいら
れず助けに入る。すると杏子は熱と疲労のために倒れてしまう。
介抱する黒木は佐久間を帰して、自分は杏子の汚れた部屋を
掃除する。気がついた杏子はお礼をするといって黒木の服を
脱がそうとするがそれを制する。食事を作り看病をする黒木は
捜査会議にも出ず付きってきりで彼女の傍にいることにする。

黒木が捜査一課のエースとして活躍しており、彼が自殺し
備品係へと転落していく様子を描いた話しだった。

人形の少女が誰なのか気になっていたが、その全容が描かれた
のでとてもスッキリした。

既にこれまでの会話の内容や態度を見て分かっていた事では
あるが、黒木と佐々木の立場が現在とは真逆で有ることに
驚きであると共に、彼が黒木に執着する理由を描いた。

ドラマとして面白いのは黒木の捜査一課での活躍の更に前の
時代である巡査時代のエピソードを絡めたこと。
彼が助けた佐伯杏子との年齢差を考えると多少の違和感は存在
するが、何と言っても良くできているのは、男性の父性を引き
出すような佐伯杏子役の池脇千鶴の存在感だと思う。
この手の役は彼女にとって映画「ジョゼと虎と魚たち」の中でも
披露しているが、男性を骨抜きにするには十分な妖艶さと
同時に、何処か幼い頃の面影を持つという意味で、彼女ほどの
適役は居ないと思う。

黒木と杏子の間で交わしていた約束が面白いように現代で
蘇り、愛情を知らない不幸な少女を幸せに導こうとする黒木
の純粋な一面がとても面白く描かれた。

佐久間との絡みは少々強引な気もする。
優しい言葉を掛けてあげられなかったことが悪いのか、それ
とも彼の要求を応えてあげられなかったことが悪いのか。
恨むならば黒木というよりも刑事という職業であり犯罪者
であり、筋違いとまでは言わないが、黒木は自分の職務に
忠実な態度で接していたと思う。
ただ杏子とのエピソードを挟むことで、自分は自分の幸せを
掴むために動いていたのに対して、佐久間にはそれを許さな
かったという意味では、恨む筋合いが有るのかも知れない。

現代の岡村和馬とのエピソードへの繋ぎも良くできており、
上手い形で彼があの緊迫した状況の中で、精神的に追い込ま
れる状況へと繋げたと思う。

黒木俊英 : 内野聖陽(39) 井の頭署会計課備品係係長
佐久間誠一 : 筒井道隆(36) 本庁捜査一課殺人捜査13係係長
遠藤鶴 : 本仮屋ユイカ(23) 井の頭署の新人刑事
松尾理沙 : 大塚寧々(34) 精神科医、黒木の担当医
日比野勇司 : 高橋一生(27) 井の頭署 巡査
寺田順平 : 綿引勝彦(59) 井の頭署 巡査部長
天野もなみ : 前田亜季(24) バイオリニスト
氏家隆 : 矢島健一 警視庁
岸章太郎 : 菅原大吉 警視庁
田端ルミ子 : 吉本菜穂子 井の頭署会計課備品係

guest
岡村和馬 : 白井晃 (日本青空クラブ・会長)
佐久間絹江 : 有馬稲子 (誠一の母。要介護)
小倉 : 青山勝 警察官
森岡 : 小林正寛 警察官
川渕 : 戸井田稔 警察官・所長
佐伯杏子 : 池脇千鶴
杏子の幼少期 : 小野花梨

工藤和幸
八重樫信夫 : 中村玄悟

大堀こういち、鈴木弘秋、林田一高、清水圭吾
松山ケメ子、吉見純麿、佐倉徹、海浩気
井殿雅和、加藤照男、五味良介、今國雅彦、井上象策
津村雅之、柴田正貴、冨永敬、難波和宏

評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

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