監査法人

作者/矢島正雄
脚本/矢島正雄、小林雄次

http://www.nhk.or.jp/dodra/kansahoujin/


第1話 会社、つぶせますか?

腐敗企業に正義のメスを!

現在の日本は4000社を上回る上場企業が有る。
その企業の決算書をチェックするのが監査法人である公認
会計士たち。
2001年10月、大手スーパーマーケット・サブプライズマーケット
社にジャパン監査法人の監査の手が入る。責任者は厳格監査
で有名な小野寺直人。次々と資料が調べられる中、ついに
結論が下される。指摘してきた事項に対して何ら改善の意思が
見られない。財務諸表を承認することは出来ないとされる。
売り上げの水増し、子会社の連結外しにより5年間で441億円
の粉飾。マスコミもその事実を取り上げ、マーケット社は
上場から廃止され、株価は暴落。ついには倒産に追い込まれる。
企業経営者は事実を受け止めきれず自殺する。

2002年4月、若手の公認会計士の若杉健司が初めて主査となり、
北陸建設工業の監査を担当する。彼の上司・小野寺直人は
経営管理室に異動になり、彼の上司には田代淳吾がそのポスト
に就く。若杉と同僚の山中茜は田代の監査方針に納得できる
ものがなく、彼の下では働きたくないという。
北陸建設工業が有る石川県に向かうとき、若杉に一本の電話
が鳴る。北陸建設工業は今季の半分以上売り上げは架空であり
計上しているために調べて欲しいという。いい加減な監査を
しようものなら、告訴するとまで言ってくる。

現地に着き、上司の田代は接待を受けるが、若杉と山中は
早速仕事に取りかかる。資料を調べている最中に残高確認書
は偽物だとしてFAXが送られてくる。会社が用意した書類と
比較するとその差は10億円以上だった。工事完了報告書も
偽装していることが分かり、二人は現場へ赴き直接調べる
事にする。もしも工事中の物件が売り上げとして計上されて
いようものならば、粉飾されたものであるとして厳格な体制
で臨むことになる。それを見た社員一同は、これまでの監査
と違う事に戸惑いを隠せないで居た。
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時代の流れとはいえ、監査を厳格化していくことで明るみに
なる企業の粉飾体質を描いた話しだった。

かつては多少の粉飾を公認会計士が見逃すことは当たり前の
事であり、監査法人が企業決算にNOを突きつけることなど
無かったという。

しかし国際化、グローバルスタンダード的感覚を持ち合わせる
小野寺直人の登場によって、現場の雰囲気は一変する。

時代の移り変わりというのはとても難しいことで、その流れ
についてこれないものたちは、必ずスピンアウトしてしまう
ものだと思う。今回そんな時代の狭間に揺れ動く企業と
監査法人と銀行の関係を描いた。

責任の所在が何処にあるのかが、このドラマの最大の見どころ。

公認会計士の仕事は至極真っ当なもので、企業から責められる
ものではないということ。しかし企業側は、その責任をこれ
までの風潮のせいにしている。

会社が倒産し、人が亡くなる可能性が有るという状況でも
公認会計士は企業の財務諸表に対してNOと言えるのか。

ドラマでは銀行に全ての責任を転嫁しているような印象も
受けるが、人の命と厳格化を秤に掛けて、その決断を迫る
という展開である。

全ての企業のように捉えられるが、粉飾している企業が悪い
のであって、銀行の要求が高いという言い訳は通用しない。
現場の人間も公認会計士に怒りをぶつけるというのは
ちょっと無理が有りすぎないだろうか。

新しく上司に就任した田代淳吾はクライアントである企業
に対して良い顔ばかり見せている。銀行も不良債権を処理
したいにも関わらず、いい顔をするために全ての責任を
現場の公認会計士に丸投げする。

とても心の強い人ではないと勤まらない仕事だと思う。

若杉健司は興味深いことを言う。
小野寺の下で働いているときは、充足感が有ったという。
それって責任の全ての非が自分に向けられないことでの
安堵感なのではないか。

若杉健司の妻が家を出て行った事と会計士としての厳格な
仕事っぷりが関係しているのかも気になるところだね。

若杉健司 - 塚本高史 (入社4年目。公認会計士)
山中茜 - 松下奈緒 (入社6年目。)
小野寺直人 - 豊原功補 (健司の上司。)
吉野晴喜 - 勝村政信 (小野寺と同期。)
宮島局長 - 利重剛 (財政監督庁検査局長。)
マスター(桑原)- 清水章吾 (バーのマスター)
井上涼 - 阿部サダヲ (企業家を目指す夢想家。)
篠原勇蔵 - 橋爪功 (ジャパン監査法人理事長。)
国友豊 - 竜雷太 (大手都市銀行・東都銀行頭取。)
中村英夫 - 綿引勝彦 (大手食品メーカー飛鳥屋社長。)
五味栄太郎 - 長門裕之 (北陸建設社長。)

guest
佐藤謙人 - 田中幸太郎
吉田かすみ - 大谷允保
田代淳吾 - 光石研
桑原美子 - 立石涼子
サプライズマート社長 - 四方堂亘
石田 - 中西良太
向島秀則 - 酒向芳
若杉知香 - 広田思帆
久山 - 石田太郎
能勢敦之 - 河原崎健三
親方 - 黒沢年雄

池崎美監、宮本浩二、山上賢治、天田将行、井村隆雄
本田大輔、岡けんじ、佐藤博秋、永井裕久、大島守人
稲葉達博、多田木亮佑

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