監査法人 作者／矢島正雄 脚本／矢島正雄、小林雄次 http://www.nhk.or.jp/dodra/kansahoujin/

第2話 800億円の裏帳簿
巨額の粉飾一番悪い奴は誰か?

監査法人は企業から報酬を受けて依頼される為に癒着の構図
が生まれる。なれあい監査vs厳格監査。最大のジレンマ。

2002年、名古屋の倉庫で火災が起こる。
倉庫は飛鳥屋の"ふかひれ"、"王様クッキー"の在庫。
飛鳥屋の東京本社では対応に追われる。
そんな飛鳥屋本社に会計監査の手が入る事になる。
主査は若杉だった。早速調査に入るが、すぐに倉庫の火事の
件が帳簿に反映されていない事に気がつく。普通固定資産も
減るはずにその形跡が全くない。経理の資料を要求する若杉。
しかし担当のものから倉庫は全く別の会社"あおなみ興産"が
管理しており、飛鳥屋とは資本関係も無いという。
決算事に財務諸表は取り寄せるがそれ以上の関係はないとの
事。帳簿に書かなかったのも連結決算には影響が無いと思った
という。しかし若杉は別会社であるのに、飛鳥屋の社長自ら
が謝罪会見に応じるのは変だと感じる。一応社会的道義だと
言われるが、どこか納得がいかない。
しかも財務関係を調べていくウチに、管理費を高く払いすぎて
いる事にも目に付く。
その事を上司の吉野晴喜に報告すると、あおなみ興産には、
鈴本会計事務所という篠原の恩師がついており、面会したこと
があるがしっかりとしていると会社だと諭される。法的にも
我々はあくまで飛鳥屋のクライアントであり、あおなみ興産
に関しては調べることも出来ないと告げられる。
しかしそんな時、飛鳥屋の東京本社で経理部で働く魚住絵里
が若杉に面会を求める。経営が厳しくなると火事になるという
のが社内でも噂されていることを告げ、彼女は社外への持ち
出しの禁止されている"諸勘定明細"を渡した。そこには別会社
を使って300億という巨額の融資を行っており、少なくとも
ただ取引関係ではないことが伺えた。早速山中茜は倉庫の件
で調べ、若杉はあおなみ興産の資産を調べると共に、会計事務所
についても調べることにする。
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なれあい監査vs厳格監査の構図は既に初回から描かれている
訳だが、企業がここまで堕落した経営を続けている理由が
何処にあるのかを描いた。

手の込んだ企業の赤字隠しに対して、身内の社員には脇が
甘く、不正をしている資料を簡単に持ち出されてしまう所が
実に皮肉な感じに映る。まぁ大抵こういうのが明るみにされる
のは内部告発に依るところが多いのだろうけど。

未だかつてこれ程までに政府の一官庁である財政監督庁や
官僚が有能に描かれ、銀行が悪者として描かれたドラマが有った
だろうか。

厳格監査が外圧によるものなのかどうか分からないが、
変革を求めている時代性に対して、社員の雇用や生活を武器に
して必死に不適切な財務監査を正当化しようとしている所が
なんとも痛い。

ドラマとして面白いのは、戦後経済を支えてきたという名目
を武器にして、世間的には団塊の世代の優秀性を謳う風潮に
有る現実に対して、逆に古い慣習が足枷となっている現実を
鋭く描いている点だ。

一連の不幸な連鎖は銀行の利益のために傷口を広げさせられて
いるのか。諸悪の根源は銀行にあるのか。その証拠が少しずつ
明らかにされていく展開で、複雑な展開の中にも善と悪が
分かりやすい形で存在しているので、とても見やすい展開に
なっている。

最後に若杉と篠原との間で精神論や真理を戦わせるような
シーンがまた面白い。幸福は心の問題で、成功は金と権力の問題。
敗者の中で幸せを手にしている人を否定できないが、成功者
の中で理想を全うして掴んだモノなど居ないという事。
厳格さを求めることが理想なのかどうかは分からないが、
最後に成功を収めるのは果たしてどちらなのか。

今回の一件で銀行や企業を訴えると同時に若杉らが働く監査法人
の立場も危ないとするところが問題を複雑化させている感じだね。

若杉健司 - 塚本高史 (入社4年目。公認会計士)
山中茜 - 松下奈緒 (入社6年目。)
小野寺直人 - 豊原功補 (健司の上司。)
吉野晴喜 - 勝村政信 (小野寺と同期。)
宮島局長 - 利重剛 (財政監督庁検査局長。)
マスター（桑原）- 清水章吾 (バーのマスター)
井上涼 - 阿部サダヲ (企業家を目指す夢想家。)
篠原勇蔵 - 橋爪功 (ジャパン監査法人理事長。)
国友豊 - 竜雷太 (大手都市銀行・東都銀行頭取。)
中村英夫 - 綿引勝彦 (大手食品メーカー飛鳥屋社長。)
五味栄太郎 - 長門裕之 (北陸建設社長。)

guest
魚住絵里 - 西原亜希
佐藤謙人 - 田中幸太郎
吉田かすみ - 大谷允保
桑原美子 - 立石涼子
サプライズマート社長 - 四方堂亘
向島秀則 - 酒向芳
若杉知香 - 広田思帆
鈴木吾郎 - 加藤武
井上課長 - 河西健司

デビット伊東、寺門由香里、水野綾子、内田藍子

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