監査法人 作者／矢島正雄 脚本／矢島正雄、小林雄次 http://www.nhk.or.jp/dodra/kansahoujin/

第3話 粉飾の連鎖
〜巨大銀行対会計士・存亡をかけた戦い

800億の債務隠しを行っていた飛鳥屋グループ。
潰れて困るのはメインバンクである東都銀行だ。彼が主導し
在庫隠しを行った筈。不良債権処理を行う銀行と監査法人の
間に亀裂が生じていた。
吉野はそれを知りながら飛鳥屋の件は承認してしまう。
監査に必要なのは厳格だけでなくバランスが必要だという。
2002年5月。コンピュータシステム開発企業、ウィンドルメル
の監査の仕事。吉野がチーフだとモチベーションがあがらない
と語るのは若杉。根本的に監査としての自覚が足りず、ただ
クライアントに媚びを売っているだけだとする茜も若杉の意見
に同調する。貸し渋りにあっている筈なのに、売り上げが落ちて
いない事を不思議に思う若杉。特に"マクガフィンシステム"の
売り上げが異常に高かった。そのことを吉野に問いただし、
粉飾のおそれがあることを告げる。そして吉野の査定が甘い
事を告げると、厳格さだけが重要ではないことを改めていわれた。
しかし若杉は一歩も引かず、厳格だけに拘っているのではなく
自分の仕事に誇りを持ちたいだけだと語る。吉野に対して
誇りとは何かを問うと彼は、企業のために自分の信じる監査を
全うすることだと答えた。しかし裏帳簿を隠すことが企業の為
になるのかを問われると言葉を濁した。
そんな中、飛鳥屋の粉飾の件がマスコミにも取り上げられるように
なる。その報道を見ていた東都銀行では、近いうちに銀行も監査
を受けることになっており、中間監査では誰が監査の主査になる
のか東都側も焦りの色を見せていた。特に近年財政監督庁の締め
付けが厳しくなり自己資本比率が4%に満たない所は、有無をいわ
せず公的資金が投入され国有化される事になる。真実が明らかに
されると共倒れの可能性があるとして、篠原理事長に次の監査では
多少目を瞑って欲しいと頼むのだった。

「なれあい監査」vs「厳格監査」
なれあい監査は篠原を筆頭に吉野がその流れを汲んでいる。
そんな彼らにもまかりなりにも監査法人としてプライドがある
ことを描き、国の経済の為にどの方法が一番よいことなのかを
見比べた話でもある。

ドラマを見ていると篠原の破綻した考えの下での行動なんて、
すぐに明るみになり今の時代生きられないと思うのだが、
それだけ企業の会計監査とは他人から分かりづらいって事なの
だろうか。

今回は単純な架空循環取引を例に挙げ、吉野に再考を促す機会を
与えた。吉野がまじめな人物である事を見抜いた小野寺は、
彼に東都銀行の件では注意するよう促す点など、なれあい監査組
の吉野を尊重し、キャラクターをうまく引き出すようなドラマ
だった。

メガバンクが潰れると日本の経済が揺らぐのか。
延命措置を続けて、生きる屍を作り続けるのが得策なのか。

数値上破綻している企業にも戦略次第で生き残れる可能性だって
あると考えるのが吉野の考えだ。

しかし時代はなれあい監査を容認しない方向に向かっている。
小野寺が語っていたが、財政監督庁が公認会計士法の改定を考えて
おり、監査責任者が継続して同一企業を担当できる期間に制限を
設けて癒着の構図を断ち切ろうとしている事。
結局今回明るみらされなくても、次の担当者がそれを告発して
甘い審査だったことが明らかになる時がくるのだと思うと、
ここでの葛藤も限定的なモノになるのかも知れない。

今回ドラマとして面白かったのは、篠原の思惑を打ち砕く様な
展開だった点だ。なれ合い監査というけれど、初めて担当する企業
ならば人間関係も信頼関係も生まれていない。その点で吉野が
東都銀行のことを信じなかった理由は納得がいくし、取りあえず
現場ですべてを判断せずに審査会に一任したことは、自らの感情や
主観的な事情を排除するための措置でもあり、彼の信念に沿う
展開だと思う。
しかし審査会に任せる時点で吉野は決断を決めていたのかも
しれないね。

若杉健司 - 塚本高史 (入社4年目。公認会計士)
山中茜 - 松下奈緒 (入社6年目。)
小野寺直人 - 豊原功補 (健司の上司。)
吉野晴喜 - 勝村政信 (小野寺と同期。)
宮島局長 - 利重剛 (財政監督庁検査局長。)
マスター（桑原）- 清水章吾 (バーのマスター)
井上涼 - 阿部サダヲ (企業家を目指す夢想家。)
篠原勇蔵 - 橋爪功 (ジャパン監査法人理事長。)
国友豊 - 竜雷太 (大手都市銀行・東都銀行頭取。)
中村英夫 - 綿引勝彦 (大手食品メーカー飛鳥屋社長。)
五味栄太郎 - 長門裕之 (北陸建設社長。)

guest
佐藤謙人 - 田中幸太郎
吉田かすみ - 大谷允保
桑原美子 - 立石涼子
向島秀則 - 酒向芳
若杉知香 - 広田思帆

北山潤 - 今井朋彦
須賀明弘 - 岩松了
秘書 - 石橋奈美
- 立川三貴

小久保丈二、桑原和生、山口太郎、多田木亮佑、玉腰佳弘
こじまけいこ、宮本浩二

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