監査法人

作者/矢島正雄
脚本/矢島正雄、小林雄次

http://www.nhk.or.jp/dodra/kansahoujin/


第4話 崩壊の序曲

〜巨大銀行が消滅、ジャパンに強制捜査

2002年10月、吉野は手紙を残し皆の前から姿を消す。
俺達の仕事は時に人の運命を左右する。これからもっと大変な
事が起きるだろうと告げるのは小野寺。
須賀の葬式に参列しようとする若杉と山中。しかし受付で
参列を断られる。落ち込む山中に、俺達は正しい監査を貫いた
のだと励ましの声を掛ける若杉。
篠原は料亭で国友と中村と面会し、先日の監査の件で責められ
ていた。吉野は完全な人選のミスだったという篠原は、決算書
を作り直して承認する事を約束する。監査法人には守秘義務が
有るために、口外しなければ大丈夫だと言い聞かせる。
篠原は小野寺を呼び出し、君のシナリオ通りそう簡単には物事
を運ばせないとプレッシャーをかけた。
その頃、マスコミが東都銀行の件で取材する姿が目立ち始める。
出社する若杉にもマイクが向けられる。守秘義務を盾に応答
を断ると、その傲慢な姿勢がクライアントを死に追いやった
のではないかと告げられる。
雑誌で東都銀行の破綻の件が取り上げられると、篠原の元にも
マスコミが殺到する。誰が東都の件で情報を流出したのか。
篠原は真っ先に若杉と山中を疑い、彼らを呼び出した。
吉野を追いつめたのは君たちではないのかと言われ、山中は
居ても立っても居られなくなる。若杉も自分のしていることに
疑問を持ち始めるが、毅然とした態度で居れば良いと小野寺は
声を掛ける。マスコミに情報がリークされた事で、自分たち
意外にも篠原の監査方針に疑問を持つ人が居ることが分かった
事も収穫だとする。
小野寺は若杉を連れて、宮島局長に会わせる。将来の金融界
を担う方だと告げた。更に日本の監査法人と提携を図る
アメリカの監査法人のスティーブとの面会にも立ち会わせた。
これまでの日本は銀行の影響力が大きく、市場や株主よりも
債権者を重視してきた。しかし銀行は膨大な不良債権を抱えて
存在価値を失いつつあるという。我々が目指すべきは海外市場
で有ることを告げるのだった。

旧体質にあった「なれあい監査」組・最後の悪あがきが展開
されると共に、時代の流れに押しつぶされる篠原の姿を描いた
話しだった。

まだまだ確固とした信念を持ちきれていない若杉や山中の心情
が揺れ動く話しでも有るが、1話や2話の中で見た自分の信じる
正義に向かって邁進している姿を見てしまうと、どうしても
この二人の態度が急に腰が砕けた気がして成らない感じ。

こうなる事は予期できたことで、ここで自分たちの信じる正義
に懐疑的になるというのはやや腑に落ちない。

ジャパン監査法人の経営が傾き始め、改革委員を設置する事に
なる。小野寺が篠原から直々に指名されたと言うことは、
この時点でこれまでの監査では成り立たないことを悟ったの
だろうか。

最後に篠原の会計士に対する見解が語られた。
会計士は計算器ではなく人間。そこに感情がなければ人が
監査をする意味がない。監査法人はクライアントとの絶妙な
人間関係が不可欠であると。

確かに倒産ラインギリギリにある会社を選定するのは難しい
作業だが、東都銀行や飛鳥屋などの場合、明らかに経営が
立ちゆけなくなっている事は明らかなので、やや説得力に
欠ける気がするが、全く分からない感情ではない事が、今回
多少なりとも描かれているのではないだろうか。

若杉健司 - 塚本高史 (入社4年目。公認会計士)
山中茜 - 松下奈緒 (入社6年目。)
小野寺直人 - 豊原功補 (健司の上司。)
吉野晴喜 - 勝村政信 (小野寺と同期。)
宮島局長 - 利重剛 (財政監督庁検査局長。)
マスター(桑原)- 清水章吾 (バーのマスター)
井上涼 - 阿部サダヲ (企業家を目指す夢想家。)
篠原勇蔵 - 橋爪功 (ジャパン監査法人理事長。)
国友豊 - 竜雷太 (大手都市銀行・東都銀行頭取。)
中村英夫 - 綿引勝彦 (大手食品メーカー飛鳥屋社長。)
五味栄太郎 - 長門裕之 (北陸建設社長。)

guest
佐藤謙人 - 田中幸太郎 (財政監督庁)
吉田かすみ - 大谷允保 (財政監督庁)
桑原美子 - 立石涼子
向島秀則 - 酒向芳
若杉知香 - 広田思帆
田代淳吾 - 光石研

須賀明弘 - 岩松了
- 立川三貴 (東都副頭取)
羽鳥実 - 小松和重
森本勝成 - 堀部圭亮 (東京地検特捜部)
山岸弘文 - 山本龍二

久保恵子、マークチネリー、矢崎文也、小久保丈二、山口太郎
多田木亮佑、伊沢勉、荒川大三郎、岩崎正寛、白樺真澄
堀口たかよし、鬼頭卓見、山本仁、北村ふみ、藤元英樹
古川聖二

評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

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