魔王

脚本/前川洋一(1)(2)(3)(4)、西田征史(5)(6)(7)(8)(9)

http://www.tbs.co.jp/maou2008/


第9話 真犯人は俺だ知りすぎた男の悲劇


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真中友雄が亡くなる前に一緒に補導されている者の姿が有った。
それは成瀬領。友雄は生きていたのだ。親友と入れ替わって..
直人は急いで成瀬の元を訪れる。

一方宗田は大隅に空き倉庫へと連れてこられる。
大隅の後には葛西もいた。複数人の男は宗田を暴行する。
しかしその姿を見ていられない葛西は暴行を止めるよう告げる。
大隅はここで辞めると面倒なことになると言うが、葛西は
最後は自分でケリをつけるとして、他の人たちを帰らせる。
その間にも許してくれ、助けてくれと懇願する宗田。
もう迷惑はかけない、俺達は友達だろうと情に訴える。
葛西は殴るフリをして、これで宗田という人物は居なくなった
として二度と俺達の前には現れないよう告げその場から立ち去る。

しかしそんな宗田に近づく男が居た。
九州に出張したはずの典良だった。宗田は典良に事実を告げよう
としただけで悪いのは葛西であると弁明する。典良は知らない
ままだと恥をかいたとして宗田の行動に理解を示す。そして
懐からタバコを取り出し宗田に一服させる。しかし次の瞬間
宗田は苦しみだし亡くなるのだった。典良は立ち去る瞬間、
葛西が普段使っているペンを現場に落としていくのだった。

その頃葛西は麻里と最後の密会をしていた。
逢えなくなることなんて考えたこともなかったという葛西。
麻里もあの家の中で押しつぶされそうになるところを葛西の
存在によって助けられたという。一年間有難うと告げ、関係
の清算を告げその場から立ち去っていく。

直人は成瀬の居場所が分からず、葛西に電話し居所を聞き出そ
うとした後、どうにも出来ず右往左往していた。そんな彼の携帯
に宗田からの着信がある。しかし電話口に宗田は一切出ず、
何者かの足音だけが聞こえる。直人は直感で宗田が殺された事
を悟る。警察に連絡を入れ、宗田の携帯電話の発信エリアを
探知し現場に向かうと宗田が亡くなっていた。改めて雨野に
対する憎しみを募らせるのだった。

直人の電話がようやく成瀬へ繋がる。本当の姿が分かったと
告げる直人は直接会うことにする。直人は成瀬が来たのが分か
ると彼を殴り飛ばし、これまでの事を正直に話すよう告げる。

"私は真犯人の雨野真実です"
一瞬の静寂の後、そういえば満足なのですか?と淡々とした調子
で答える成瀬。お前がみんなを殺したのだろうと告げると
人殺しは私ではなく貴方であると返答。私が犯人だというのな
らば確実な証拠を見せて欲しいという成瀬。あんたを必ず捕まえ
ると告げる直人に対して、無念さは分かるので早く私を捕まえて
欲しいと告げるのだった。

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今回は雨野真実を主柱に描き、次なる被害者・宗田の事を
描いた話しだった。
雨野真実の正体がついに明らかになる中で、正体が分かった
からと言って即逮捕に繋がらないもどかしさがドラマ全体
を包みこむ。

何と言っても設定上上手いのは、成瀬が法曹界の注目株である
という点だ。容易に彼を尋問できない状況をこの一文だけで
作り上げた気がする。

長男・典良が妻の麻里と葛西が浮気している現実を知っても
冷静で居られたのは今回のような展開を用意していたからねと
改めて感心させられる。

相変わらず成瀬が全ての物事を見通して動きすぎている感じ
がするのだが、宗田の携帯電話から直人の電話へ掛けた際、
足音をさせて去るところなど、とても上手い演出だと思う。

親友の葛西が逮捕されようとしている。
それを彼が敵対視している成瀬にどうすれば良いのか聞かなけ
ればならない屈辱。容赦なく成瀬の口から私を捕まえてみろと
侮蔑するように直人に語りかけてくる憎たらしさ。
全ては成瀬側に主導権が握られ、この関係が逆転するのが難しい
と思わせる状況の中で、唯一中立であるしおりがタイミングよく
登場してくる所など、上手くできている。

ただここまで主導権を握られると成瀬を出し抜くチャンスが
無く有る意味では面白味が無いんだよね。池畑や真紀子が居た
ときはこの辺の緊迫感に溢れていた。

見ている方としては葛西か犯人でも典良が犯人でもそう感じる
思いに違いは無さそうだ。
しかも葛西は男を貫いて麻里の存在を隠し通している様だが、
彼女の存在が明らかになってもアリバイが解消できる気がし
ないのは気のせいか?寧ろ山野圭太が持っている典良のアリバイ
崩しのための写真こそが大切。まぁこの写真も何時撮った物
が証明できなければならないわけだが・・

成瀬領 ……… 大野智 (弁護士)
芹沢直人 ……… 生田斗真 (刑事)
咲田しおり ……… 小林涼子 (図書館勤務)
葛西 均 ……… 田中圭 (典良の秘書)
宗田 充………忍成修吾 (直人の中学の同級生)
石本 陽介………脇 知弘 (取り立て屋)
高塚 薫………上原美佐 (刑事)
仁科 江里………篠原 真衣 (しおりの先輩)カフェ「ガランサス」
山野 圭太………清水 優 (雑誌編集者・直人の中学時代の同級生)
石原管理官………飯田 基祐 (渋谷東署・管理官)
倉田 隆………東根作寿英 (刑事)
成瀬領(中学生時代) ………河野弘樹
芹沢直人(中学生時代) ………木村遼希
葛西均(中学生時代) ………上村祐翔
宗田充(中学生時代) ………本間春男
石本陽介(中学生時代) ………中村竜之慎
芹沢 麻里………吉瀬美智子 (典良の妻)
芹沢 典良………劇団ひとり (直人の兄)
中西 弘道………三宅裕司 (刑事・係長)
芹沢 栄作………石坂浩二 (直人の父) リゾート会長・国会議員
堂島………松澤一之 (事務長)
真中英雄………竹内寿
真中好美………朝加真由美

guest
大隈和真 ………嶋田久作

榊英雄、増山加弥乃、水谷悟、山村賢、森永竜矢、角田明彦

評価:★★★★★★★☆☆☆ (7.0)

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