おせん

脚本/大石静(1)、神ひとえ(2)(3)(9)、高橋麻紀(4)(6)(7)(8)
白金カナ(5)

http://www.ntv.co.jp/osen/


第10話 女将廃業!?一升庵最後のもてなし


本枯節を残すために、矢田守の舌の記憶に訴えてみようと
言うことになり、彼のことを色々とリサーチする。彼は
土佐の出身。祖父が鰹の一本釣りの漁師でもあった事から
本日出す料理を決めていくおせん。
浅井シズはおせんから託された招待状を持って矢田守の元を
訪れる。本日の正午、契約は一升庵で会食しながら行うこと
を提案。初めは難色を示すが、横で聞いていた金池社長は
無料で料理が食べられるとして、一升庵に赴く事を約束する。
カツオ丼に土佐醤油で味付け、本枯節のだし汁の茶漬けで
締めくくる。その味を見て矢田守は父親の味を思い出していた。
その瞬間を見計らい、西岡保男は年に500本で良いので本枯節
を継続して作らせてくれるよう直訴する。
矢田守も納得の味に心討たれて金池社長に提案するが、
意外にも社長はあっさりとこの契約からは降りる事を示唆する。
更に一升庵に銀行員がやってきて、店舗への新規融資のお断り
を申し出る。現在8000万円の借金があり、一度全額返済すれば
考慮すると言われるが、それはとても無理な相談だった。
しかし次のタイミングにエンプールの社長・金池がやってくる
のを見て、すぐにこの一件は社長が絡んでいる事に気がつく。

エンプール金池と一升庵おせんのやりとりはとても面白い
ものだった。
この店の存在価値を問われて色々と語るが、最高級の素材と
時間を掛けて料理を作れば美味しいのは当たり前だと一蹴
されたり、担当者の情につけ込んで事業を潰そうとするのは
卑怯ではないのかと反撃されたり。

多額の借金をしてまでも一升庵というブランドを守る価値と
必要が何処にあるのか。

伝統とはどういうものなのかを端的に描いた話しであり、
子供を使ってそれを分からせるというシナリオは見事。

一升庵そのものに拘らずに、伝えるべき大事なものの存在を
抽出して、最後にそれを分からせる展開だった。

ドラマで意外に映るのは最後まで引っ張り倒すと思っていた
本枯節の件は矢田守に丸投げしてしまったこと。
本枯節が無くなっていくのは時代の流れである事を強調した
上で、伝統を潰すことは誰にでも出来るが、この伝統を守れる
のは貴方しか居ないという事を矢田守に分からせ、奥底に眠る
気持ちの喚起を促した。

子供は大根の味さえ知らない人間に成長している。
知らない間に子供の楽しみを奪う行為であり、親の責務であり
人生の先輩として、下の世代に伝えるべきものを怠った結果
ということで、責任感に訴える所はとても良くできたところだと
思う。下町の文化そのものを脅かそうとするエンプールの
非常識な行動は、知らないうちに次の世代の楽しみを奪う行為
であるかも知れないと言われると流石に伝統を安易に潰しては
いけなくなるね。

最後にきっちりと伝統とは何かを描いた作りでとても良くできた
ドラマだったと思う。

半田仙 - 蒼井優 ......女将
江崎ヨシ夫 - 内博貴 ......料理人
藤城清二 - 杉本哲太 ......板長
竹田留吉 - 向井理 ......二番板
鈴木テル子 - 鈴木蘭々 ......仲居
久保田冬子 - 工藤里紗 ......仲居
脇坂玉子 - 森田彩華 ......仲居
長谷川健太 - 奥村知史 ......追いまわし
林隆史 - 宅間孝行 .......レストラン
珍品堂さん - 渡辺いっけい ......骨董店
浅井シズ - 余貴美子 ......仲居頭
半田千代 - 由紀さおり .......仙の母親
木下秀雄 - 松方弘樹 ......料理スクール

guest
西岡保男 ......夏八木勲
矢田守 ......加藤雅也
女将 ......李麗仙
金池社長 ......内藤剛志
金池亮 ......小林廉
美濃八豆富 ......半海一晃

市川勇、大河内浩、市川勉、飯田基祐、寺田千穂、中村良平
土田アシモ、ト字たかお、椎名泰三、菊間秋彦、渡部一翔
マーカス・ピットマン

評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

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