上海タイフーン

脚本/福田靖

http://www.nhk.or.jp/dodra/typhoon/index.html


第2話 女ひとりの戦い


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いずれ起業することを目的に再び上海に降り立つ美鈴は、初日
から散々な目に合う。
アパートの上の階から水漏れ。すぐに不動産屋の麻里に連絡を
いれる。上の階で工事していた男達は全く自分たちの非を認め
ず、管理人の女性も嫌なら出て行けという。麻里によると
よくあるトラブルだと言うが住む家の無くなった美鈴は麻里に
元々は貴方が紹介した物件なのだから責任を取って部屋に泊め
てくれと言う。仕方なく麻里は自分の住処に連れて行くことに
なる。彼女が住んでいたのはリーロンと呼ばれる場所。
ここに住む日本人は私だけだという。生活が安定するまで
無料で宿を提供する変わりに食事当番と掃除は美鈴に任せる
とのこと。実家がうどん屋である美鈴の料理の腕は確かだった。
麻里の身の上話を聞く。上海に来て3年になるという彼女。
実家は箱根の老舗ホテルを経営し姉がそこを継ぐという。
気軽な身分であり海外に住みたいと思っていた彼女は、用意
出来た金が100万だったために上海に住むことに決めたとの事。
将来に関しては全く考えていないという。
窓から外を眺める美鈴は隣人の母子が喧嘩している姿を目撃
する。

美鈴は翌日から中国語を習いながら就職先を探す。面接を
繰り返すが全く採用されず、営業ならば誰にも負けないという
信念を持って挑むと、ようやく一件社長との面談にこぎ着けた。
会食しながらの面接との事で食事をすると、今までの苦労から
か酒のペーズが上がり要らないことまで語り始めてしまう。
気がつくと町のベンチで寝ていた彼女。そんな時、雑誌で見か
けた三井の姿を目撃し、美鈴は酔ったまま彼女の元へと歩み
寄る。そして何処にもチャンスなど無いじゃないと不躾に
彼女に当たり散らした。それを聞いた三井は逃げるが、思い出
して見ると先日ホテルで花をあげた人であることを思い出した。

翌日美鈴は改めて三井が働く花屋を訪れ文句を言いに行く。
貴方の雑誌での発言はきれいごとばかりであるという。
雑誌が都合の良い発言だけを取り上げたことを説明する三井。
そしてこの町には4万人以上の日本人がおり成功を収めている
人も居れば失敗して帰国する人はその100倍は居ることを告げる。
花束ひとつでビジネスが成功すると考える人には甘過ぎ事を
指摘し、私を責めるのは見当違いであることを告げる。
美鈴は冷静になり、改めて自分をこの店で雇って欲しいと
不躾な願いをする。給料は要らないので、役に立つと思った
時に払ってくれれば良いという条件を出す。チャンスが欲しい
事を告げると、翌日からその条件で雇うことを決めるのだった。
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いよいよ上海での生活が始まる。
中国人の特徴、そして上海の土地柄の紹介、そして上海で
生きるための心得を紹介するような内容だった。

ドラマでは冒頭から日本人と中国人の対応の違いが出ていて
面白い。アパートでの水漏れのやりとりなんて、その典型
だよね。

特に偽札が多いとか、値引きは当たり前という初歩的なもの
から始まり、中国社会の考え方として、成績の一番悪い者は
クビになるという教えだったり、中国では盗まれる人が悪い
という考え方だったり、中国で事業を展開するには役人との
コネクションの有る現地人は必要不可欠といった教えは、
中国を理解する上でも必要なことなのかなと。

さてドラマでは美鈴の認識の甘さが顕著に表れたが、それでも
少しずつ中国語を習い、中国人と接していくウチに少しずつ
彼らの考え方を身に染みて分かってくるといった流れでは無か
ろうか。

1円でも多くお金を取ろうとしたり、隙あらば他人のお金を
横取りしようとする。ライバルである美鈴を蹴落とそうとした
り、時には偽札で相手を誤魔化したりする。

美鈴は曹飛と会うと中国人に対する不満を口に出すシーンが
有る。意地悪で冷たくて、お金に汚いという。しかし逆に
彼は、中国人は日本人よりもお金の有り難みが分かっていると
いう。その辺の金銭感覚のシビアさみたいなのが、どのシーン
に於いてもよく現れているなという感じ。冒頭の水漏れの
シーンでも自分の非を認めると、こちらに請求が来ることが
分かって居るんだろうね。

ただこのドラマを見ていると一つだけ疑問が残る。
野村美鈴は人の気持ちが分からないというけど、そうは見えない
んだよな。寧ろ謙虚さ以上に一歩も譲らない彼女の根性の方が
逆に魅力的に映ってしまう。あの中国人に一歩も引かずに
"中国なんて嫌い"って言わしめたところ。逆にスッキリする様な
シーンだった。
それだけ中国って相手から信用されるのが難しい社会なんだろう
し、決して信じない様なところが有るのだろけど、あれだけ
冷たい態度を取られたらこっちだって反発心は抱くよなぁと。

唯一中国に来て親切にされたリンちゃんはとても癒しの
存在だね。似たような境遇にあるところがとても興味深い。

野村美鈴 ……… 木村多江
曹飛 ……… ピーター・ホー
遠野麻里 ……… MEGUMI
黄琳 ……… 林丹丹
野村君江 ……… 原日出子
三井香 ……… 松下由樹
野村雅彦 ……… 古谷一行

guest
趙恵珍 ……… 一青妙
黄[土申] ……… 候偉
周玉成 ……… 張春祥
張正芸 ……… ポーロン
孫決濤 ……… 魏来
呉小梅 ……… シャドウ・リュウ

翁華栄、井上佳子、松尾諭、坂本真、佐藤真弓、久下恵美
なすび、京一郎、遠藤孝夫、益田愛子、小山かつひろ
リュウジ、岩原明生、莫西、耿宇、金国萍

商社の社長 ……… 王国慶
社長秘書 ……… 李郷雲
花市場 ……… 高敏
花市場 ……… 李敏
面接官 ……… 万勝利
魚屋 ……… 趙文明

張立秋、張儒云、曹渊、鄒燕平、王万舟、張沫、曹小冬
潘琳

評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

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