上海タイフーン

脚本/福田靖

http://www.nhk.or.jp/dodra/typhoon/index.html


第6話 ありがとう上海


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明日から上海中のデパートを回って売り込みだ。
美鈴は曹飛の前でそう意気込む。そんな彼女の姿を目の前にし
て、随分彼女が最初会った時とは違ってきたと感じていた。
最初は自信家で独りよがりだった彼女。上海に来て弱気になり
素直になって、そして強くなったという。二人は見つめ合い
キスする。

ブランド"チェリー・ドラゴン"の発信。
しかし売り込みは難航を極める。売り込みにいったデパート
ではどれも反応が同じで、全部のデパートを回ったが知らない
ブランドであり値段が高いとして跳ね返された。手にとって
さえくれれば売れるのに・・・落ち込む美鈴。曹飛との関係
も含めて微妙な立場・心情を味わう。
香がこれ以上人に頼って売るのではなく、自分たちで店舗を
持って売らないかと提案する。出資者である曹飛に頼んでみれ
ばどうかというが、美鈴は微妙な返事。しかし彼女は曹飛に
会いに行きビドネスパートナーとして助けて欲しい事を告げる。
男女の関係以前に、私は人間として認めて欲しいという美鈴。
そうしてから貴方と向き合いたいと告げる。

出資者からOKサインが出て早速今の事務所兼倉庫を改装する。
そしてブティックとして完成する。
すぐに町中で広告を出し、ホームページで宣伝活動。
そうしている間にも曹飛のアパートが荒らされ、金が盗まれる
事件が発生する。曹飛には心当たりがありすぐに取り戻しに
いくが、逆にボコボコにされ、裏で手を引いていた陳からは
上海から出て行けと脅される事になる。
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ドラマとしては上海に来て美鈴の成功記を描いた形だが、
主に内面的な成長を描いた話になった。

上海という土地を舞台にして、人との出会いだったり再会だっ
たりが面白いよう描かれたドラマだった。

日本に居ても短期間でこれだけ信頼できる人間に出会うのは
難しいかも知れない。冒頭では上海人は信用できない人が多い
という展開だったが、気がつくと周りは信頼できる人の山。
そういう意味で上海の土地の魅惑的な一面を上手く引き出して
いるし、信頼出来ない人たちが沢山居るからこそ、逆に信用
出来る人を見極める力を持てたのではないかと思わせた。

最終回は再会を主として描いている。
曹飛との両親との対面話、黄琳や美鈴の両親の再会話。
本筋である商売の話が忙しいのによくぞこれだけ色んな要素を
盛り込んだなという気がする。

美鈴達の商売は何をやっても上手く行かない。
曹飛と美鈴との関係が近づく中で、恋仲に陥った途端に彼に
頼りっきりになる自分が嫌で、成功するまでは一定の距離感を
保とうとする美鈴。しかも心で繋がっていても、色々と知ら
ない現実も多く、恋愛としても一歩踏み出すのが難しい関係
になっている。

流石にそれぞれの要素に関しては扱いがやや雑になった面も
否めない。特に二人が結婚にまで発展してしまうのは、時期
尚早で、コレクションでの曹飛の語りは不自然そのもの。
曹飛があの場面で美鈴の事を周りに語りかけたって、その話
の主旨が伝わる人なんて極一部の人だ。

また陳にやられた曹飛が彼に仕返しをするシーンなんて
全く説得力はなかった。

しかし互いに支え合う人々の繋がりはとても良くできていた
と思う。美鈴が落ち込んでいるときに父親を登場させて
初めての客にするところとか、コレクションに主要人物を
総集めにするところなども上海という土地が外国に思えない
程に上手く彼らばかりの世界観を築き上げた感じがした。

野村美鈴 ……… 木村多江
曹飛 ……… ピーター・ホー
遠野麻里 ……… MEGUMI
黄琳 ……… 林丹丹
野村君江 ……… 原日出子
三井香 ……… 松下由樹
野村雅彦 ……… 古谷一行

guest
周玉城 ……… 張春祥
張正芸 ……… ポーロン
孫決濤 ……… 魏来
工場長 ……… 韓宋麟

曹の父 ……… 徐材根
曹の母 ……… 華棟
陳社長 ……… 劉金全

薄宏、候偉、遠藤孝夫、益田愛子、小山かつひろ、リコウジ
岩原明生、莫西、耿宇、金国萍、石井ひな、高珂[雨ヘンに文]
朱紹東、辻口由奈、盧令洲、ポタオリタ、エリックアンダーソン
エディサイトウ、セナヴァファ、周東海、マーコフダニエル
小宝、高原、陳銘、楊子、駱磊、李志華、李燕、王佩佩

評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

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