太陽と海の教室

脚本/坂元裕二

http://wwwz.fujitv.co.jp/sun-ocean/index.html


第9話 さよなら


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灯里はいつまでも夜の海を見つめていた。
そんな彼女に朔太郎は話しかける。灯里は白い鳥が飛んで
いた事を口にし、八朗に有難うをいわないといけないという。
八朗は亡くなった事を告げるが、ハチが死ぬわけなく、帰って
くると約束したという。彼は約束を破ったことが無く、絶対に
死なないという。

他の仲間も八朗の死に対して悲しみに暮れていた。
英二は教師・若葉に何故八朗が死んだのか問うが、若葉も
答えに戸惑い困惑していた。羽菜と大和も彼の死と向き合い
二人で手を取り合う。洋貴は波打ち際でハチの死を悼み、
茂市と共に叫んでいる。当事者である雪乃は警察から事情徴収
を受けていた。彼は彼女の行動を止めるために自分から舟に
乗ったのだという。事件ではなく事故扱いになることが分かり
すぐに釈放される。

ハチの遺体を両親が見守る。そして息子の遺体に向かって母は
格好付けたのか?誉められたいと思ったのか?馬鹿な子だと泣き
崩れる彼女。その姿を若葉や朔太郎も静かに見守る中、灯里も
やってくる。母は灯里に気がつき八朗と会ってあげてと語り
かけるが、彼女は耐えられずに外に飛び出した。

朔太郎はその足で凛久の店にやってくる。卒業写真としてみんな
で撮った写真の話をする。凛久は卒業式や受験などしたくは
なかったと告げる。ずっとみんなと居られれば良いのに、それ
以外は何も要らないという。朔太郎はそんな彼女を見て、出来る
だけ八朗のことを思い出してあけろと声を掛けた。

理事長からクラスメイトの前で話がある。彼の分も勉強に励め
という理事長は、葬儀場には委員長も含めてクラスから二人だけ
しか出席を許さないという。マスコミも多数来ているので、
静かにしていろとのこと。羽菜は心が痛いので休んでくると
言って教室を後にする。若葉はクラスメイトに葬儀場に行く
許可をくれと直訴するが断られる。

朔太郎は雪乃を八朗のお通夜に連れて行きたいと本人と両親の
前で告げる。君自身のためにも君がどんなことをしたのか
見ておかねばならないという。すると雪乃は当時のことを
振り返る。海の上で流される間とても恐かったという。死に
たくないと思ったと。八朗は何故私にライフジャケットを
してくれたのかと。

田幡家に雪乃を連れて行く朔太郎。
母親が対応に出るが、雪乃を見ても取り乱すこともなく、すん
なり八朗の部屋に通される。部屋は汚れており、辺り一面
釣りが趣味だと思われる道具が飾られていた。彼が読んでいた
本にはチョコレートを食べていたと思われる汚れと指紋。
とても生活感に満ちあふれていた。八朗が二度とこの部屋に
戻ってこられない事は分かるなと朔太郎は雪乃に告げ、その本
も二度と続きが読めないという。どうして母親が部屋に通した
のか。一番悔しい人が責めないのか。雪乃は八朗が救った命
で、八朗が生きていた証しなのだという。鼓動は一つしか聞こ
えないが、胸で鳴っているのは二人分の命であり、八朗の分も
生きなければならないことを告げた。
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八朗は亡くなった。悲しみに暮れる生徒、そして当事者である
雪乃の心をどのように支えていくのか。

ドラマとしては多少地味な展開ではあるのだが、とても複雑な
感情を込めた難しいシーンなだけに、その殆どが織田裕二と
吉高由里子で構成されたような展開だった。その分安定的した
ドラマの流れで安心して見ることが出来た。

相変わらず説教クサイ朔太郎だが、こういう時は頼もしい限り。
若葉は冒頭の掛け合いの中で、何故八朗が亡くなったのかなど
生徒からの質問にも答えられない姿があったけど、その点
朔太郎のキャラクターは安定している。

特に気難しい場面の一つは、カッターナイフを手にした灯里が
雪乃に詰め寄るシーンだ。
このシーンで若葉だけが現場に言わせたら確実に切り刻んで
いるのではないかと思わせたが、朔太郎の言葉で彼女に対する
殺意を無効化させた。

そして何と言っても精神的に不安定な状態にある雪乃にどのよう
にして今後自害させない様に誘導するのか。
死から逃げるよりも向き合わせる事を選択した朔太郎。
そして八朗の死を無駄にしないよう、自分の心の中に八朗が
生きている事を説き、上手いこと誘導できたと思う。

それにしても最後のサイモン&ガーファンクルの曲の流れは
ちょっと反則臭いな。この曲の持つイメージが強すぎて、
なんだか無理矢理それらしい雰囲気を作り上げている。
今週はこの曲は流れない方が良かった気がする。

櫻井朔太郎 … 織田 裕二 (3-1の担任)
榎戸 若葉 … 北川 景子 (3-1の副担任。校長の娘)
根岸 洋貴 … 岡田 将生 (水泳部のエース)
白崎 凛久 … 北乃 きい (洋貴の幼馴染み)
田幡 八朗 … 濱田 岳 (灯里のパシリ)
屋嶋 灯里 … 吉高由里子 (7人と同時に付き合う)
楠木 大和 … 冨浦 智嗣 (勉強以外に能がない?)
日垣茂市 … 鍵本 輝(Lead)(筋肉自慢のサーファー少年)
澤水 羽菜 … 谷村 美月 (優等生。大和のライバル)
川辺 英二 … 山本 裕典 (学校を自主退学)
貴林 優奈 … 黒瀬真奈美 (学級委員長)
三崎 雅行 … 中村 優一 (D-BOYS)(ピアノ特待生)
次原 雪乃 … 大政 絢 (ティーン雑誌の人気モデル)
伴野 圭吾 … 賀来 賢人 (学級委員長)
船木 真由 … 前田敦子 (AKB48)(UFOと交信する不思議少女)
藤沢理紗 … 忽那汐里 (水泳部所属のスポーツ少女)
赤木 保則 … 池田 鉄洋 (音楽教師)
真山 春佳 … 吉瀬美智子 (英語教師)
与田 典人 … 今井ゆうぞう (体育教師)
槇村 肇 … 小林すすむ (副校長)

柴草 修平 … 八嶋 智人 (教育指導)
長谷部杏花 … 戸田恵子 (校長)
神谷龍之介 … 小日向文世 (理事長)

3-1
夏生さち、彩木里紗、伊藤未希、大川雅大、大和田健介
源崎トモエ、後藤和雄、小松原明紀、齋藤遼、柊子、戸叶恵梨佳
中川翔太、松永一哉、和香奈、木ノ本嶺浩

guest
秋本奈緒美、梅沢昌代、白木隆史、竹本和正、堤匡孝

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