Tommorrow 〜陽はまたのぼる〜

脚本/篠崎絵里子

http://www.tbs.co.jp/Tomorrow2008/


第5話 涙の告白〜医療ミスに封印された笑顔


先日亡くなった患者・川原の葬式に出席した航平や仙道。
手厚く葬る事が出来たのできっと感謝しているだろうと話し
有っているところに、愛子が入ってくる。航平を見た瞬間に
怪訝な表情を見せる彼女。航平は愛子に説明するための時間
をもらおうと声を掛ける。
病院に新しい外科医がやってくる。遠藤紗綾自らが連れて来た
医師は航平と同じ病院で働いていた安達裕也だった。遠藤から
外科部長のポストを与えられる安達。航平と同じ病院に居た
という事実に対して愛子は複雑なものを感じる。
航平が今でも医師をして働いていた事に驚く安達。航平が縫合
の練習をしているのに気がつき、かつて縫合の勝負をした時の
思い出話に花を咲かせる。勝負するかと持ちかける航平に対して、
安達は俺とお前はもう同じ土俵には居ないと告げる。
潰れかけの病院ならばお前であっても喜んで受け入れてくれる
だろうと嫌みを言う安達。この病院にやってきた目的を語る
安達に対して、地域医療に必要なのは専門病院では無く市民に
必要な総合病院だと告げる航平だった。

今回は8年前に愛子の母が亡くなった時の状況が全て語られる
展開だった。

8年前の医療ミスに関わっていた二人が同じ病院に来る事への
不自然さは感じるし、遠藤が何故彼を連れてきたのかもイマイチ
説得力が無いわけだが、その辺はドラマと言うことで目を瞑る
しか無いか。

医療ミスを起こし、大学病院から去る者と留まる者の違いを
描いた話しでもあるが、安達裕也の登場の仕方から見ると、
彼が医療ミスを冒して、それを何らかの形で航平が責任を
被っているものだと思わせた。

ドラマとしての面白さは、航平の過去が明らかにされた事に
より、今まで見てきた航平と医療ミスを冒した頃の航平の
どちらが本物の彼の姿なのか、それを見守る愛子の複雑な心境
が全てを物語っている。

それは同時に患者の信頼を得る事に全力を傾けている医師の
姿なのか、それとも利益や名声のために患者と向き合う医師
なのか。

航平というキャラクターの中に、母親を殺した冷酷さを見出し
たい愛子だが、これまで見てきた航平はそれを否定するもの
で有ることに、彼女は完全に迷走してしまう。

8年前の航平がどんな医師だったのか。

愛子が論理的に導き出した答えは、過去には悪魔のような医師
の姿があり、ミスを冒したことにより罪を償う為に改心し、
今の様な患者と向き合う航平の姿が有るというものだ。

人づてに語られる過去と言うのは必ず、語る人の思いこみや心情
が加味され、正確に伝わらない事がある。そんなジレンマを払拭
するために、上手く患者の笑顔によって、過去の人物像を描く
という心憎い演出だった。
愛子さえ思い出せなかった母親の笑顔の瞬間。
心を許していないと決して見せることのない満面の笑顔。
有る意味では航平という人物に嫉妬しそうな場面ではないか。


森山航平 … 竹野内 豊 (市役所職員)
田中愛子 … 菅野美穂 (看護師)
遠藤紗綾 … 緒川たまき (脳外科医)
田中七海 … 黒川智花 (愛子の妹)
原田和子 … エド・はるみ (看護師長)
加藤圭太 … 永田 彬 (看護師)
杉山麻衣 … 橋本真実 (看護師)
滝沢希美 … 有村実樹 (看護師)
三島千夏 … 秋田真琴 (看護師)
マコト … 沢木ルカ (ぜんそく持ち患者)
橋元聡子 … 氏家恵 (看護師)
金子 歩 … 村松利史 (患者)
薮内二郎 … 六角慎司 (外科医)
片岡庸一 … 田中 実 (医師)
柿沼高太郎 … 志賀廣太郎 (院長)
安田涼子 … 大沢あかね (妊婦・早苗の娘)
安田早苗 … 松田美由紀 (西室山市婦人会の書記長)
田中好美 … 永島暎子 (愛子と七海の母)
蓮見洋治 … 陣内孝則 (特別出演) (副市長)
仙道郁夫 … 岸部一徳 (病院・事務長)

九十九一、石本武士

guest
安達裕也 … 袴田吉彦
蓮見唯 … 稲垣鈴夏

阿部六郎、荒井葉依音

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