Tommorrow 〜陽はまたのぼる〜

脚本/篠崎絵里子、八津弘幸

http://www.tbs.co.jp/Tomorrow2008/


第8話 看護師長、倒れる


入院患者にベッド料金の改定が言い渡される。
脳外科専門病院になった際の入院料金との差額の支払いを
求めるもの。しかしあまりの高さに患者は看護師達にその怒り
をぶつける。
一方森山と仙道は、病院の再建には外科医集めと患者と医師
との相互理解が必要だとして、医師集めに必死になっていた。
しかし今度来るはずになっていた医師がキャンセルのメール
を送ってきた事によって、難航する事は必至だと思わせた。
そんな中、看護師の一人・滝沢希美が院長から退職を求めら
れる。希美は気が動転し愛子に相談すると、愛子は自ら院長
の元へと足を運ぶ。すると院長の机の上には退職勧告者名簿
が有る事に気がつく。人手不足の時に何を考えているのかと
訴えるが、院長の柿沼はこの名簿通りにしないと院長を辞め
させると脅してきたという。
森山はベッドで療養しつつも仕事をしている遠藤の元を
訪れ、なんとか協力し合うことは出来ないかを問うが一切
耳を貸そうとはしなかった。
看護師長にもリストラの件で遠藤に言って貰おうとするが、
師長は自分のことで手一杯だという。何かと思えばプロポーズ
を受けているという噂が有るのだと。愛子は師長に対して
看護師達が動揺している現状を訴え、みんな師長のように強く
無いと告げるが、その位で仕事が手に付かないのならば帰り
なさいと冷たくあしらった。
そんな時マコトが逃げてくる。児童福祉局の職員が迎えに
来たのだという。全ては遠藤が当局に知らせたためのもの
だった。
そんな中師長の容体が悪くなる。下腹部を押さえてうずくまる
姿を森山は目撃していた。声を掛けると疲れただけだとして
その場は何もないかのように見える。
更にマコトもまた不調を訴えナースステーションを訪れるが、
看護師達は自らの進退を気にしており、その時はぞんざいに
扱ってしまう。マコトの容体が急変したのを知ると、師長は
全く患者のことを見ていない看護師達に失格だと叱りつける
のだった。

今回は空中分解しそうな病院職員の現状を描いた話しだった。

リストラで揺れ動く状況の中で、看護師としての難儀な一面
を見せると同時に、強くないと看護師としてはやっていけない
のかどうかを描いた話しでもある。

ドラマとしては患者から目を逸らさない事の必要性を訴える
展開だ。

何と言っても今回は壁に開けられた穴の存在がドラマとして
象徴的に映る。これまで助けることが出来なかった患者や家族
の無念の数々が壁の中に刻まれている現実。
その傷を見れば、否が応でも看護師としての姿勢を正さざるを
得ない感じだが、今回はそんな現場や運命から逃げる道がある
ことも示した内容ではないか。

原田和子は決して自分のことだけを考えているわけではない。
もの凄く強く見えた彼女の中にも弱い一面が存在し、そんな
彼女を支え続けてきた恩師の言葉が存在する。

ドラマとして複雑に映るのは、そんな彼女自身もこの現場から
立ち去ろうとしている職員に対して、どう声を掛けて良いのか
分からない現状ではないか。
滝沢希美が退職届を出したときに冷たくあしらうかのように
止めようともしなかった行動の中に、複雑な葛藤が有るという
所に、看護師の難儀な一面が存在する。

原田和子に求婚する男性患者の存在は、彼女自身をより人間的に
描く一つの要素として存在した感じだ。正直、どちらの道を
選択しようともドラマ的にはそれ程の違いはないと思う。
子宮筋腫に関して温存できてしまったところは、ドラマ
らしくやや出来すぎた展開か。

森山航平 … 竹野内 豊 (市役所職員)
田中愛子 … 菅野美穂 (看護師)
遠藤紗綾 … 緒川たまき (脳外科医)
田中七海 … 黒川智花 (愛子の妹)
原田和子 … エド・はるみ (看護師長)
加藤圭太 … 永田 彬 (看護師)
杉山麻衣 … 橋本真実 (看護師)
滝沢希美 … 有村実樹 (看護師)
三島千夏 … 秋田真琴 (看護師)
マコト … 沢木ルカ (ぜんそく持ち患者)
橋元聡子 … 氏家恵 (看護師)
金子 歩 … 村松利史 (患者)
薮内二郎 … 六角慎司 (外科医)
片岡庸一 … 田中 実 (医師)
柿沼高太郎 … 志賀廣太郎 (院長)
田中好美 … 永島暎子 (愛子と七海の母)
蓮見洋治 … 陣内孝則 (特別出演) (副市長)
仙道郁夫 … 岸部一徳 (病院・事務長)

九十九一、石本武士

guest
松永泰三 … 品川徹
小倉雅夫 … 光石研

神尾佑、早川絵美、吉田祐健、櫻庭博道、勝倉けい子

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