相棒 シーズン8
(2009年度10月期・テレ朝)

チーフプロデューサー - 松本基弘
プロデューサー - 伊東仁、西平敦郎・土田真通
脚本:輿水泰弘(1)、太田愛(2)(3)、戸田山雅司(4)、徳永富彦(5)
福田健一(6)、櫻井武晴(7)

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第7話 鶏と牛刀

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福祉厚生省の鷲永学人、川井健次郎、増沢保は警視庁の小野田
公顕と面会し、藤石正輝の逮捕は待ってくれと懇願する。
消えた年金事件やら不祥事の数々の年金事務所が今更そんな事で
たじろぐのもヘンだとするが、福祉厚生省では現在FAデータの
回収・消去が命題となっており、残すところ藤石のデータを
回収するだけとなっていた。
そんな中、新宿イーストホテルの窓から藤石正輝が落下して
亡くなる。捜査二課は藤石正輝の横領の事実を追って逮捕間近
の状態だったが肩透かしに合わさせれる。しかし亡くなった
藤石のサイフの中から捜査二課の名刺が出てきた。
死亡推定時刻は9時半から11時半。
窓からは血液指紋が見つかり血液は本人のものであることから
窓を開けるときに傷つけたのかと思われた。窓には彼以外の
指紋が無く、自殺であると判断される。捜査一課に引き継ぎが
行われそうだったが、自殺だとした事で中園は捜査の中止を
命令する。
しかし米沢はシャツの中にガラス片が見つかった事を疑問に
思い右京に相談する。更に頭部の外傷の中にもガラスの破片が
見つかっており、それが果たして窓ガラスの破片なのかが疑わ
れる。
伊丹らは二課に事情を聞きに行くが、中園に口止めされている
として何も聞くことは出来なかった。

右京と神戸は藤石が所属していた新宿第2社会年金事務所を
訪れると窓口で一人の女性・栗田亜由美が職員に訴えていた。
亜由美に話しを聞くと、藤石は不正を告発すると行っていた
ことや急に仕事を辞めると言い出したことで、この職場の誰か
に殺害されたのだと訴える。対応に出たのは、柴田真、鈴木郁夫
滝美恵子だった。彼らはまだ藤石の訃報を知らずにいて、亜由
美が何を言っていたのか理解できなかったが、右京がそれを
告げるとようやく事情が飲み込めたようだった。

柴田らに話しを聞くと、この事務所でも5年前に企業の納付率
を上げるために違法な脱退届が行われていたという。更に
藤石が無くなったホテルには職員は誰も泊まったことがない事
を聞く。

ホテルの監視映像を見ると亜由美が死亡推定時刻前にホテルを
訪れている事を知る。事情を聞くと誕生日でも無いのにプレゼ
ントをもらったこと。しかしケンカになってホテルを飛び出し
た事を聞く。

右京らは二課の刑事達に話しを聞くと、藤石は横領事件の被疑
者だったこと。死んだ人に払われていた年金を着服していた事
を知る。しかし中園や上層部が逮捕に消極的であることを知り
右京は小野田から話しを聞く。
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小野田絡みの事件と言うことで、省庁・官僚が絡む壮大なスケ
ールの話となった。
小野田が社会保険庁からの要求を飲むという一面と、最後に
突き放すようにする冷徹な一面を見せるところがこの話の肝で、
年金絡みの時事性を感じる事件から派生して、5年前に発覚した
保険庁の違法な脱退届による指導が今尚現場に息づいているのか
という興味深いものだった。

事件の内容は複雑な印象も受けるが、解決に向けた右京の着眼
点は至ってシンプルで、最初に事情を聞くときに犯人しか
知り得ない情報を語ったことが全てだった。

監視映像と現場に残されていた指紋という決定的な証拠がある
中、暴力団と関係していた柴田真が観念したかのように
全ての事情を語り出すところがなかなかリアルだったと思うが
逆に説明っぽくなりすぎた印象もある。
保身のためだけに藤石を殺したことに呆れていたが、その話の
元凶はやはり保険庁に有ること。それらを問い詰めて行きたい
ところだが、上手い形で幕引きを迫られた所など、面白く
演出された。
右京が重要なデータの復元を一ヶ月で解読できるかも知れない
とした事からも、お正月SPには省庁を巻き込んで再び波乱の
ドラマが用意されているだろうことが期待できるものである。

普段は滅多に出てこない捜査二課が出てきたことや、一課や
五課まで巻き込んだ捕り物劇であり、色んなキャラクターを
フル稼働した内容だった。大木&小松が久しぶりにドラマに
絡んでくる所なども良かったし、最後一課の芹沢たちが美味しい
ところを持って行ったことで、バランスの良い話しだった。
でもオチの全ては神戸が持って行ったけどね。

杉下右京 …… 水谷豊 (警視庁・特命係)
神戸尊 …… 及川光博 (警部補・特命係)
宮部たまき …… 益戸育江 (小料理屋"花の里"。元右京の妻)

伊丹憲一 …… 川原和久 (警視庁刑事部捜査第一課員)
三浦信輔 …… 大谷亮介 (警視庁刑事部捜査第一課員)
米沢守 …… 六角精児 (鑑識課)
角田六郎 …… 山西惇 (組織犯罪対策五課)
内村完爾 …… 片桐竜次 (警視長)
中園照生 …… 小野了 (警視正)
小野田公顕 …… 岸部一徳 (警察庁/警視監)
大河内春樹 …… 神保悟志 (警察庁長官官房室長)
芹沢慶二 …… 山中崇史 (捜査一課。伊丹の後輩)
大木長十郎 …… 志水正義 (組織犯罪対策部)
小松真琴 …… 久保田龍吉 (組織犯罪対策部)

藤石正輝 …… 江藤大我 (35歳、新宿第2社会年金事務所・係長)
柴田真 …… 三井善忠 (新宿第2社会年金事務所・課長)
鈴木郁夫 …… 桜井聖 (新宿第2社会年金事務所)
滝美恵子 …… 松下恵 (新宿第2社会年金事務所)
栗田亜由美 …… 久遠さやか (藤石の彼女)
六原修司 …… さくまひろし (40歳、暴力団・二見組)
橘義郎 …… 河野洋一郎 (捜査2課)
水木信二 …… 白井圭太 (捜査2課)
増沢保 …… 大門正明 (福祉厚生省)
鷲永学人 …… 森富士夫 (福祉厚生省)
川井健次郎 …… 矢嶋俊作 (福祉厚生省)
一ツ木康雄 …… 平田康之 (暴力団)

八巻博史

評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

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