相棒 シーズン8
(2009年度10月期・テレ朝)

チーフプロデューサー - 松本基弘
プロデューサー - 伊東仁、西平敦郎・土田真通
脚本:輿水泰弘(1)、太田愛(2)(3)、戸田山雅司(4)
徳永富彦(5)(8)、福田健一(6)、櫻井武晴(7)

http://www.tv-asahi.co.jp/aibou/


第8話 消えた乗客

--------------------------------------------------------
熊川団地から拝島駅に向かう途中の路でバスが無造作に停車し
ているのを、たまたま捜査資料を返却に来た神戸と右京が
見つける。停車している路線バスには乗客はおろか運転手も
居ない。中には乗客が置いていったとするメガネやマフラー
そしてまだ暖かいコーヒー缶、更には床からは血痕が見つかる。
すぐに現場検証が行われることになる。

米沢の話では血液はB型のもので、乗客は4人居たという。
未精算の人間が4名居るとのことで、運転手を合わせれば最低
5名は居ただろう事が想像できた。
右京は床からカミジョウマナブと書かれたバスのIC乗車券を見
つける。

拝島南署に捜査本部が設置される。
バスの運転手は中島弘昭だという。取りあえず聞き込みして
行方不明者が居ないかどうか調べよと中園から命令が下る。

しかし犯人の目的は何なのか?右京は複数の客を犯人一人で
掌握するのは難しいのではないかとするが、神戸は犯人が複数
人いるのではないかという。
そんな中角田がやってきて、バス会社に脅迫状が届いたことを
口にする。会社の方にFAXが届き24時間以内に1億円を用意しな
ければ、一人ずつ人質を殺していくという。

IC乗車券のカミジョウマナブとは全国に30人、都内には4名居る
事が判明する。都内に住む3名については確認が取れるが残り
一人・上条学とは連絡が取れなかった。
そんな中バスの乗客で人質だったという一人の女性・君野恵
が高尾北署に保護を求めて駆け込んできた事を知る。怪我を
しているとの事で東京警察病院へと事情を聞きに行く。
恵の話では、自分以外に乗客は三名いて、犯人の上条と運転手の
中島が争いになり刺されたという。上条が指定された場所に
バスを走らせると外にはワゴン車が置いてあり、みんなが乗せ
られるが、徐行していた時に恵はワゴン車から飛び降りて
森の中を彷徨い歩いたとのこと。

右京らはバス会社に運転手の中島について尋ねに行くと対応に
出た森本健二は、彼は二年前に転職してきた事、元々は高校の
化学教師だった事、当時付き合っていた女性が死んだために
学校を辞めたらしい事を聞き出す。
亡くなった女性は佐藤由紀。中島が勤めていた高校の同僚で
英語教師だと分かる。硫化水素を使って自宅で自殺していたこ
と。自殺した動機については前日に中島と言い争いになった
ことが原因ではないかとされていた。当時の現場検証の結果を
調べると、由紀には男の影があり、その男性から紫陽花の花束
が贈られていた跡が有ったという。自殺した方法が硫化水素と
いう事で当時も化学教師の中島が疑われたが結局立証できな
かったという。
しかし部屋の写真には佐藤由紀がダイビングしている姿があった
事で、容疑者・上条との接点が生まれてきた。上条はかつて
ダイビングのインストラクターをしていた事が有ったのだった。
--------------------------------------------------------

バスの運転手を含めて突然乗客が路線バスの中から消え去って
しまう。果たして犯行に隠された動機とは。

容疑者でバスジャックしたとされるフリーターの男性と運転手の
間には一見接点は見られず動機としても不明なモノがある。
過去に起きた事件の真相を嗅ぎつけ、その犯人をあぶり出す為
の犯行は、全ては自作自演のような形で、バスの乗客・被害者
など居ないとする辺りはドラマとして面白く描かれていたところ
だ。

一枚の写真から色んな情報が伝わり、点と点が繋がっていく
楽しみは上手く演出されていたと思う。ダイビングをしていた
とする証拠。紫陽花を贈ったとするもの。そしてその紫陽花に
付いていたメッセージカードのイニシャル"M"。

まさか女性が贈ったものだろうとは予想できず、最後にサプラ
イズが有る形だが、硫化水素で亡くなった女性・佐藤由紀と
君野恵の関係性などは、奇抜さも加わりあまり信憑性を感じる
ことが無かったことや、上条が佐藤由紀を殺すという動機が
弱く、硫化水素を使った点や君島恵の心情を理解する事がやや
難解に感じたことは残念だった。

最近見られなかった右京が容疑者を一喝する姿だったり、
久しぶりに花の里での顛末が見られたことなどは良かったと
思う。しかも花の里でのやりとりは短いながらも、とても重要
なモノで、花言葉の意味を知る事で真相があぶり出される点など
段取りとしては良くできていた。

杉下右京 …… 水谷豊 (警視庁・特命係)
神戸尊 …… 及川光博 (警部補・特命係)
宮部たまき …… 益戸育江 (小料理屋"花の里"。元右京の妻)

伊丹憲一 …… 川原和久 (警視庁刑事部捜査第一課員)
三浦信輔 …… 大谷亮介 (警視庁刑事部捜査第一課員)
米沢守 …… 六角精児 (鑑識課)
角田六郎 …… 山西惇 (組織犯罪対策五課)
内村完爾 …… 片桐竜次 (警視長)
中園照生 …… 小野了 (警視正)
小野田公顕 …… 岸部一徳 (警察庁/警視監)
大河内春樹 …… 神保悟志 (警察庁長官官房室長)
芹沢慶二 …… 山中崇史 (捜査一課。伊丹の後輩)
大木長十郎 …… 志水正義 (組織犯罪対策部)
小松真琴 …… 久保田龍吉 (組織犯罪対策部)

君野恵 …… 中川安奈 (保険外交員)
中島弘昭 …… 松田洋治 (元化学教師、現バス運転手)
上条学 …… 平野貴大 (29歳、フリーター)
佐藤由紀 …… 浜丘麻矢 (英語の教師、元帝都大学生、自殺?)
森本健二 …… 一本気伸吾 (バス会社の上司)

森恵子、吉川勝雄、紺野相龍、今野ひろみ

評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

inserted by FC2 system