相棒 シーズン8
(2009年度10月期・テレ朝)

チーフプロデューサー - 松本基弘
プロデューサー - 伊東仁、西平敦郎・土田真通
脚本:輿水泰弘(1)、太田愛(2)(3)、戸田山雅司(4)(10)
徳永富彦(5)(8)、福田健一(6)、櫻井武晴(7)
ハセベバクシンオー(9)

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第10話 特命係、西へ!死体が握っていた数字と、消えた、
幻の茶器の謎東京〜京都・連続殺人と420年前の千利休の死の
秘密が繋がる!?

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2009年晩秋の京都。呉服屋を営む高村朋治(50歳)は、幻の茶器
を巡って、陶芸家・田中長次郎の子孫である田中富貴子の元を
訪れ昔の蔵を調べさせて貰う。その部屋にあった一つの骨董品
に目を付ける彼は大事そうに蓋を開ける。

一週間後、第一ビル公園の歩道橋から男が墜落して亡くなる。
免許証から被害者は高村朋治だと判明。上着の背中にこすりつ
けた跡が見つかった事から他殺の線が疑われる。
死亡推定時刻はPM8時。被害者の手の中には一枚のメモ紙の
切れ端が見つかる。4桁の数字が書かれているが、その意味まで
は分からなかった。しかし大事そうに強く握っていたこと、
犯人はその紙を奪って逃げている事から、殺害されるに至る
大事な証拠である事は間違いなさそうだった。

朋治は近くの旅館に宿泊していた事が分かる。
旅館の女中によると、彼は荷物一つでやってきたという。
彼は旅館が用意した桐の部屋が気に入らずに梅の部屋に変えた
という。
部屋の中から被害者のものと思われる荷物は発見されなかった。
現場にカバンが見つからなかったこと、そして財布や携帯電話
も盗まれていることから物取りによる犯行が疑われる。
最近この公園では3件の窃盗事件が発生していた事も分かる。

米沢によると被害者の通話の最後はPM7:33、目黒のプリンセス
ガーデンホテルに電話していることが分かる。すぐにホテルに
赴き問い合わせると代表番号なので電話の詳細までは分からない
との事だった。帰ろうとした時に、偶然神戸の知人である細野
唯子という女性と出会う。神戸は右京に大学時代の知り合いだと
告げる。唯子は結局卒業後に父と同じ職場に就職した事を聞く。
唯子には体の大きいボティガードが付いていた事から右京は
彼女に視線を向ける。彼女がフロントから高橋雅子という名前で
部屋を取っている事を知り、すぐにフロントに問い詰める。
すると従業員の一人が、細野唯子という人物がホテルに宿泊
していないかという電話が有ったことを知る。

すぐに526号室に向かった彼女に話を聞こうとすると、526号室
の部屋は扉が開いていた。中にはいると誰もおらず、既にもぬ
けのカラになっていた。
右京は神戸に彼女のことを尋ねると、京都の旧家の出で人で
父親は生化学の教授。卒業前に別れたとだけ答えた。

翌日、朋治の遺体を確認するために妻・高村千恵が警察を訪れ
る。京都から来たという女性に、朋治は何のために東京に来た
のか尋ねるが、夫はいつも自分に店を任せてフラフラとしていた
事を知る。右京は彼女に朋治が歴史や戦国時代、千利休に興味を
持っていなかったか尋ねると、確かにそのような集まりに出て
いたようだったと答える。

神戸は何故右京がこれまでの過程でその事を知ったのか尋ねる
と、彼が宿泊していた宿に関係しており、部屋の名前の上には
利休に関する家紋が書かれており、桐の部屋の上には太閤桐
と呼ばれる秀吉の家紋が有ったことを語る。恐らく被害者が手
にしていたメモは歴史の年号であり、安土桃山時代のもので、
秀吉によって利休は切腹を命じられた事もあり、秀吉の家紋の
部屋に泊まることを被害者は許さなかったのだろうと告げる。

中園から呼び出される右京たち。突然設備の老朽化を理由に
二週間の休暇を言い渡されてしまう。しかもその間には特命係
を閉鎖するとも告げられる。

たまきの店に行った右京はその事実を告げると、彼女から旅行
でも行ってくればどうかと提案される。そこで右京はたまきを
誘って紅葉狩りの為に京都に行くことにする。しかしたまきは
密かに神戸に電話する。

京都に行くと神戸と合流する。たまきとは別れて二人は京都
理科大の資料室に行く。そこで唯子の父・細野多久郎について
調べる。彼は20年前に新設された独立行政法人の生体組織研究所
の所長になっていること。5年前にそこを辞めて2004年に亡くな
っている事を知る。彼が勤めていた会社は後に生体組織工学
研究センターという名前に変わり今でも現存している事を知る。

早速センターに足を運ぶと、事務長の三好から話しを聞く。
しかしセンターはガードが堅く、何一つ有用な情報は教えて
もらえなかった。図書館で借りてきた本の一つに"七哲庵"という
同人誌が有り、多久郎だけでなく東京での被害者・朋治も
ここに所属していたことを知る。

翌日京都府経済振興会の所長で、七哲庵の代表でもある古屋
茂吉の元を訪れる。すると現在朋治を悼む集まりが催されて
いるという。早速集まりへと足を運ぶと、そこには会のメンバー
である牧瀬妙子、茂木美都代、蒲田玄洋、前川博義が集まって
いた。
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東京、そして京都で殺人事件が起こる。
果たして一連の事件は利休を信奉しているものたちが関わって
いるのか。

ドラマとしては7話の中で思わせぶりな描写をしていたことも
有って福祉厚生省絡みの話になるのかなと思っていたけど、
厚労省絡みの話だった。

ドラマとしてはもの凄く好みが分かれそうな内容で、千利休を
中心として、豊臣秀吉、織田信長など関わった人物に対する
歴史的な史実の考証を行おうとする試みを描いたもの。

事実を知ってみれば意外とシンプルな内容だが、とにかく400年
前の歴史の事実を照らし合わせた事もあり、かなり遠回りになる
話だった。

正直あまりの回りくどい展開に辟易するような感じにも思えたり、
犯人の計画と歴史の真実を解き明かす展開があまりのギャップが
有り、変な意味で驚かされる。

開かずの金庫の番号=研究所のセキュリティの番号とするのは
かなりの強引さが有るし、京都への捜査のためとはいえ内村&
中園が強引に特命係の閉鎖を唱える辺りは何の正当性もなく、
かなりの強引さが存在している。

神戸と唯子の別れた理由さえも一連の事件の一部として取り込み
深みを与えようとする展開ではあるものの、やや取って付けた
ようなエピソードに思える。しかしたまきや右京が別れた理由
を聞く際に、逆に同様の質問で切り替えされた辺りのやりとりは
面白かったな。

一つ一つの右京の洞察力を見ていると納得できる部分も多く
、歴史のどの部分がミステリーとして語り継がれているのか
分かりやすいように構成されていた。

相変わらず役人達の隠蔽体質が描かれたり、小野田を絡めて
警視庁の優位性を誇示するための行動が小狡くも有り、スペシ
ャルらしさは感じるが、大河内を登場させる辺りは正直あまり
必要性を感じない部分かも。

ちょっと謎が多すぎて、ドラマに集中できない気難しさを感じる
内容だった。

杉下右京 …… 水谷豊 (警視庁・特命係)
神戸尊 …… 及川光博 (警部補・特命係)
宮部たまき …… 益戸育江 (小料理屋"花の里"。元右京の妻)

伊丹憲一 …… 川原和久 (警視庁刑事部捜査第一課員)
三浦信輔 …… 大谷亮介 (警視庁刑事部捜査第一課員)
米沢守 …… 六角精児 (鑑識課)
角田六郎 …… 山西惇 (組織犯罪対策五課)
内村完爾 …… 片桐竜次 (警視長)
中園照生 …… 小野了 (警視正)
小野田公顕 …… 岸部一徳 (警察庁/警視監)
大河内春樹 …… 神保悟志 (警察庁長官官房室長)
芹沢慶二 …… 山中崇史 (捜査一課。伊丹の後輩)
大木長十郎 …… 志水正義 (組織犯罪対策部)
小松真琴 …… 久保田龍吉 (組織犯罪対策部)

細野唯子 …… 壇れい (生体組織工学研究センター・主任研究員)
古屋茂吉 …… 石田太郎 (不動産屋)
牧瀬妙子 …… 山口美也子 (占術士)
茂木美都代 …… いしのようこ (祇園でスナックママ、元芸子)
蒲田玄洋 …… 山路和弘 (茶道家)
前川博義 …… 橋爪淳 (生体組織工学研究センター)
高村朋治 …… 山中敦史 (第一ビル公園で亡くなる)
浅井牧彦 …… 木下隆行 (強盗犯)
津田誠 …… 松田優 (厚労省の役人、唯子を監視)

野口貴史、富永佳代子、峰蘭太郎、石倉英彦
浅田裕二、西村[]生、中平良夫、山崎画大、平井真軌
築山万有美、斎籐弘勝、田井克幸、前川恵美子、園岡新太郎
白井滋郎、天野勝弘、園英子、土屋美穂子、河井青葉
滝川英治、大竹奈緒子、恵有一、潮見諭、竹内和彦、小森郁子

評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

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