相棒 シーズン8
(2009年度10月期・テレ朝)

チーフプロデューサー - 松本基弘
プロデューサー - 伊東仁、西平敦郎・土田真通
脚本:輿水泰弘(1)、太田愛(2)(3)(11)(14)、戸田山雅司(4)(10)
徳永富彦(5)(8)、福田健一(6)、櫻井武晴(7)(12)
ハセベバクシンオー(9)、ブラジリィー・アン・山田(13)

http://www.tv-asahi.co.jp/aibou/


第14話 堕ちた偶像

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女の子の山口七海は手袋をした男性から声を掛けられて逃げる
が、高山町八幡通りの交差点で自転車と衝突し病院に運ばれる。

たまきの店"花の里"が暫く休むという張り紙を見た右京は、
彼女が入院した恵安総合病院へと向かう。たまきは盲腸で手術
していた。右京よりも早く神戸が来ていることに驚く。
隣のベッドには山口七海という女の子が腕を怪我して入院して
いた。話しを聞くと、土曜日に知らない人に声を掛けられて
自転車とぶつかったのだという。
あの日、彼女の母親・順子が勤める会社リフォームシルクローブ
に彼女が来ていたが、外は寒いので母親が駐車場まで自動車を
取りに行くまでの間に起こった出来事であるという。
そんな中、テレビに写る公民党議員の江嶋充が美戸川病患者
救済法でマスコミから脚光を浴びているのを知り、七海はこの
人が声を掛けてきた事を告げる。
一同は見間違いではないかという。相手は国会議員である事。
しかし右京は七海が衝突した現場を見に行く。

現場に行くと近くでは何故か米沢たちが捜査していた。
昨晩多摩川の河川敷で硬派なジャーナリストとして知られる
安田紘一が遺体で見つかったという。彼の事務所が第一下川
ビルディングの3階に有ると言うことで調べてきたことを知る。
死亡推定時刻は2日前のPM8:00からPM11:00の間で、ひも状のもの
で絞殺されたという。第一下川ビルディングの5階は、七海の
母親が勤める会社が有る場所であった。

安田の事務所は一課のものたちが捜索していた。安田のポケット
から見つかるメモ書きには"ヨハンコルピ カワラ8、レンガ5、
ブロック1"と書かれていた。右京はそれを見てコルピは北欧の
画家の名前であり、その後の数字は隠語であり金の単位を
示すモノだという。
神戸は現場に置いてあった雑誌"フロンティア"を見ると、安田
と議員の江嶋が知り合いで有ったことを知る。

フロンティアを出版している講英社を訪れると編集者の中原
が対応に出てくれる。安田は近々スクープをあげると言っていた
事。内容は教えてもらえなかったが、身の危険を感じていたと
いう。半年前に事務所が荒らされ、中には灯油がまかれていた
との事。これ以上調査をすれば火を付けるという警告だったの
ではないかと告げる。
江嶋と安田は長年の盟友だという。震災の被災地支援活動で
出会って以来の仲。安田は大事なモノはいちも身に付けていた
という。
神戸は警視庁時代、江嶋とは面識があるという。彼は福祉衛生
省の出身で清廉な理想を掲げており、とても人を殺すような人物
では無いとの事だった。
右京は神戸に頼み、江嶋と面会することになる。
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ドラマでは目的を達成するために期待の若手議員が贈収賄に
手を染めてしまうという話だった。

信念としてはとても立派なモノがあるし、政治家としては90%は
間違えていないのだけど、残りの10%の中には、彼の政治家と
してのプレッシャーを感じるものだったり、自己保身のための
行動が垣間見えるなど、とても人間らしい行動を見せられた
感じがする。

面白いことに話としては冒頭から怪しいと臭わせていた人が
そのまま犯人だったという展開だったことだ。しかも単なる
幼児に対する奇怪な行動を意図するだけでなく、それが殺人犯
に繋がり、更には贈収賄の問題へと繋がっていく所などとても
興味深いシナリオだった。

なんといっても官僚の縦社会の問題性をつねた話で、若手官僚
と旧体質の永田町の対立の構図、天下りを禁止する若手に反発
していて闘っている若手の議員のタイムリーなネタという事で
時代性も上手く反映して構成している点ではとても良くできた
内容だと思う。

事件を知るきっかけも偶然性から発生するもので面白いモノだ
ったし、江嶋が病院にまで来た理由が上手く描かれ、ある種の
スリラーな展開になった。一連のキーマンが、事件に何の関わ
りもなく偶然居合わせた七海だったという点が面白い作りだ。

相棒では度々、容疑者の犯罪が複雑に写るときがある。
右京が最後にビシッとどんな事でも犯罪は犯罪だと告げて引き
締めを図るが、今回は過去の自分の信念が上手くその役目を
果たした。正しい方法で解決しなければ、いずれ腐敗を招くと。

最近たまきの出番が少なかっただけに上手く使いましたね。

そして八木小緒里さんの姿を久しぶりに見たな。

杉下右京 …… 水谷豊 (警視庁・特命係)
神戸尊 …… 及川光博 (警部補・特命係)
宮部たまき …… 益戸育江 (小料理屋"花の里"。元右京の妻)

伊丹憲一 …… 川原和久 (警視庁刑事部捜査第一課員)
三浦信輔 …… 大谷亮介 (警視庁刑事部捜査第一課員)
米沢守 …… 六角精児 (鑑識課)
角田六郎 …… 山西惇 (組織犯罪対策五課)
内村完爾 …… 片桐竜次 (警視長)
中園照生 …… 小野了 (警視正)
小野田公顕 …… 岸部一徳 (警察庁/警視監)
大河内春樹 …… 神保悟志 (警察庁長官官房室長)
芹沢慶二 …… 山中崇史 (捜査一課。伊丹の後輩)
大木長十郎 …… 志水正義 (組織犯罪対策部)
小松真琴 …… 久保田龍吉 (組織犯罪対策部)

江嶋充 …… 田中哲司 (公民党議員)
山口七海 …… 石井萌々果 (江嶋に声を掛けられ自転車に・・)
山口順子 …… 八木小緒里 (七海の母親)
安田紘一 …… 竹本孝之 (ジャーナリスト)
中原 …… 塩野谷正幸 (講英社・編集者)

中原裕也、渡会良、西沢智治、辻しのぶ、大塚英淳
今村均、浅野康之

評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

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