相棒 シーズン8
(2009年度10月期・テレ朝)

チーフプロデューサー - 松本基弘
プロデューサー - 伊東仁、西平敦郎・土田真通
脚本:輿水泰弘(1)、太田愛(2)(3)(11)(14)、戸田山雅司(4)(10)(15)
徳永富彦(5)(8)、福田健一(6)、櫻井武晴(7)(12)
ハセベバクシンオー(9)、ブラジリィー・アン・山田(13)

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第15話 狙われた刑事

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三浦は伊丹達に食堂に行こうと誘うが、芹沢は既に昼食を購入
しており、伊丹は一課の行きつけのラーメン店"翔"へと足を
運ぶ。人気店で外にまで人が並んでいるが、順番を待って席に
つく。チャーシュー麺の大盛りを頼んだ伊丹はカウンターに
備え付けられているニンニクを入れようとするも、隣の客・
中村豊喜が先にニンニクを入れて食べ始める。伊丹も入れて
食べようとすると突然中村が倒れてしまう。すぐに病院に運ば
れると、患者は食中毒ではなくヒ素中毒であることを知る。
下手したら伊丹が被害者になっていたかも知れない事を知る。
同じくラーメン店で食事を取っていた大木、小松は、不審者を
見なかったのか中園たちに問われ、知らない事を告げると大目
玉を喰らう。
現場検証をした米沢から他のカウンターのニンニクからは亜ヒ
酸は検出されなかった事を聞き、伊丹を狙った可能性が益々
強くなる。右京はそれを知り、伊丹の前に椅子に座っていた
人物の事を聞く。もしも犯人が特定の人を狙っていたのならば
直前に座っていた人がタイミングを見計らっていたのではないか
という。
しかし全く覚えていない伊丹は車で署に戻ろうとする。
その際ダッシュボードに置いておいたペットボトルに口を付け
ようとするが右京はそれを止める。案の定その中にも亜ヒ酸は
検出され、伊丹を狙っていることが確実になった。

伊丹は捜査から外され、警護として"穀潰し"の特命係が付けら
れる事になる。店員の一人が紺のブレザーを着ていた人物を
覚えており、それを元に商店街の防犯カメラを調べると、類似
する人物が特定される。服には独特のエンブレムが付けられて
いた。それを見て伊丹は10年前に起こった、城南大学サークル
会計責任者殺人事件を思い出す。

それは城南大学の生徒がサークルでローンシステム研究会を
発足し、ヤミ金の真似事をしていたという。発足したのは川北
幸也で、広瀬峻一、坂本剛、平林政人、吉武和真らが幹部と
して携わっていたという。やがて規模が大きくなり出資法違反
で捜査をするが、その時会計だった広瀬は東京湾で遺体で見つ
かったとの事。自殺かと思われたがサークル内でリンチが行わ
れていたという。伊丹はその頃、自供させるためにかなり際どい
手を使って取り調べを行ったという。しかし何故10年間経った
今伊丹を狙うのか?
この事件で主犯格の川北は15年の懲役、その他の幹部は懲役
10年の刑だという。法務省によると4名が現在出所していると
いう。小幡悦郎だけは8年前に刑務所内で自殺したとのこと。

当時サークルには100人くらい所属しており、ブレザーは準幹部
以上の人に配られたという。準幹部のものは殺人に関わっている
証拠が見つからずに不起訴処分になったとの事だった。

伊丹は心当たりのある当時の準幹部の下を訪れる。
坂元はみのわ証券に勤めており、中里裕介は中里美容外科に
勤めていた。吉武はクラブ経営をしており、いずれもアリバイ
は成立していた。中里からは先日昔の仲間がベルプラザホテル
で同窓会が有ったことを告げる。
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伊丹殺害を狙った犯人は、10年前の大学サークル内で起きた
殺人事件の関係者なのか。
当時自供頼みの展開だったために、伊丹が犯した強引な手法に
よる取り調べが明らかになっていく。

普段は特命係を意地悪して邪魔扱いしている伊丹。邪魔扱いさ
れている右京が、伊丹を狙う犯罪者を捕まえようとしているの
だから、面白くない訳がない。

こういう過去のエピソードを絡ませる辺りは、長いスパンで
描かれている相棒ならではの楽しみの一つ。その分設定には
色々と気を使う所なんかも有るのかも知れないが、最後は右京
が伊丹の人間性を語るという所にこのドラマの全てが詰まって
いる様な感じだ。

何故10年後になって突然殺害を計画したのか。
元々復讐したくても出来無い事情が有ったのか、それとも復讐心
が再燃するような出来事があったのか。

有名な大学で有っても怪しげなサークルは多く、インターネット
なんかでもヤクザ顔負けにゲームのコピーを売ったり、裏ビデオ
などを販売してサークルの資金源にしている所なんかは有るので、
こういう事件も有るんだろうなと思わせる。

必要以上に多くの登場人物が出たことで、容疑者を絞るのは
難しいと思わせるが、最近ドラマ界では流行の殺人教唆ものの
ドラマで、実行犯以外に裏で手を引いていた人物が居るところは
良くできていた。実行犯を神戸と伊丹が捕まえさせて、その裏
に有る本当の意味を右京が探り当てるという辺りの二段オチで
ドラマとしては面白く出来ていたと思う。

ドラマのポイントとなるのは、10年後になって突然殺人を
犯そうとするに至るきっかけだった。
そのきっかけに面白い過去との接点が描かれており、事件全容
解明の為の全てが詰まっている所に旨味が詰まっている。

神戸が伊丹に過去を語らせるために咄嗟に作った物語というの
も良くできていたと思う。

杉下右京 …… 水谷豊 (警視庁・特命係)
神戸尊 …… 及川光博 (警部補・特命係)
宮部たまき …… 益戸育江 (小料理屋"花の里"。元右京の妻)

伊丹憲一 …… 川原和久 (警視庁刑事部捜査第一課員)
三浦信輔 …… 大谷亮介 (警視庁刑事部捜査第一課員)
米沢守 …… 六角精児 (鑑識課)
角田六郎 …… 山西惇 (組織犯罪対策五課)
内村完爾 …… 片桐竜次 (警視長)
中園照生 …… 小野了 (警視正)
小野田公顕 …… 岸部一徳 (警察庁/警視監)
大河内春樹 …… 神保悟志 (警察庁長官官房室長)
芹沢慶二 …… 山中崇史 (捜査一課。伊丹の後輩)
大木長十郎 …… 志水正義 (組織犯罪対策部)
小松真琴 …… 久保田龍吉 (組織犯罪対策部)

浜野久信 …… 加藤虎ノ介
吉武和真 …… 村田充

高田賢一、永田良輔、小磯勝弘、堀本能礼、新南かおり
大和屋ソセキ、邱太郎、西島未智、森下サトシ、中村哲也
岡田啓壱、古川龍太


評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

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