相棒 シーズン8
(2009年度10月期・テレ朝)

チーフプロデューサー - 松本基弘
プロデューサー - 伊東仁、西平敦郎・土田真通
脚本:輿水泰弘(1)、太田愛(2)(3)(11)(14)、戸田山雅司(4)(10)(15)
徳永富彦(5)(8)、福田健一(6)、櫻井武晴(7)(12)、玉田義正(16)
ハセベバクシンオー(9)、ブラジリィー・アン・山田(13)

http://www.tv-asahi.co.jp/aibou/


第16話 隠されていた顔

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恵稜大学ではイェール大学の教授・グレッグ・バーナードを
招聘し心理学に関する講義が行われていた。

一方特命係は恵稜大学で起こった生徒達の大麻事件の報告書を
受け取る。生徒の大麻事件に分厚いほどの報告書を作成して
来たところを見ると誠意有る対応を示したい表れではないかと
いう。

右京と神戸はそんな報告書を受け取り恵稜大学を後にしようと
した所で爆発事件が起こる。しかも中からは曽田敬助という准
教授の焼死体が見つかる。
すぐに鑑識が入るが米沢によると現在の所事件性は無いという。
現場は農学部の肥料倉庫で、そこにはLPガス(液体石油ガス)が
置いてありそのボンベのバルブが緩んでいた所に、タバコを吸う
為に中に入ったことで爆発したのではないかとの事。しかし
臭いがするだろう事は明らかで何故それに気がつかなかったの
か?そして心理学部の教授が何故農学部の倉庫の中でタバコを
吸おうとしていたのか。

彼が所属している鶴見ゼミに話しを聞きに行く。
あの日は午後1時から定例会が有り心理学の講演があったという。
そして終わったのは3時頃。何故農学部の倉庫で喫煙していた
のか尋ねると、恐らく喫煙ルームがあるA号棟に行くのが面倒
だったのではないかと生徒の一人・大原が告げる。この学校
では喫煙場所以外での喫煙は禁止されているという。被害者は
かなりのヘビースモーカーで、教授は大嫌煙家だったことで、
彼の前では吸えなかった事を聞かされる。

教授の鶴見秀雄に話しを聞きに行く。すると被害者・曽田は
教授を目指していたという。鶴見が学部長になった際には
曽田か小笠原が教授になるだろう事だという。キャリアならば
曽田だが、人間性に少々問題があり、生徒からの人望も足りな
いという。小笠原は優秀だが少し教授としては若すぎるという
ものだった。

農学部で話しを聞くと、LPガスが運ばれたのは先月の10日。
生徒の一人野口が喫煙家だと気がついた右京は、喫煙状況を
聞く。すると普段あの倉庫では喫煙が常習家されており、普段
はプランターの下に鍵が隠され誰でも喫煙家が入れるようにな
っていたという。昨日の夕方にあの倉庫内で一服したと聞いて
犯人がバルブを開いたのは、土曜日の夕方から日曜日の午後3時
までの間だと分かる。
更に話しを聞いていくと、定例会は普段は金曜日であるが、
小笠原の要望で日曜日に変更されたこと。10人なのに何故大
視聴覚室で講義したのかと尋ねると、鶴見ゼミの岡本がその
部屋を押さえたことを聞かされる。

ゼミ室で小笠原に話しを聞いた右京と神戸は一緒に校門まで
帰る。しかしそこで小笠原はPCの電源を切り忘れたかも知れない
事を口にする。右京が確認したことを告げると、これは典型的
な確認行為の見本ねと語る。

曽田の部屋を調べると、そこから大量のレンタカーの領収書と
望遠レンズのケースが見つかる。誰かを監視していたのか。
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生徒の不祥事が発覚した大学で今度は准教授がガス爆発事故に
巻き込まれて死亡する事件が起こる。果たしてこれは殺人事件
なのか?

結論から書くと、犯人の癖を利用して犯行の着眼点とする所
は面白い物だが、正直靴の下に付着していた特殊肥料だけでは
事件の立証にはならない。
最後のツメで必要なのは、容疑者があの現場に足を運んだ事と
同時に、何時あの現場に足を踏み入れたのかが必要になって
くる。
容疑者がごねれば前日にあの倉庫に足を踏み入れたという証言
をするかもしれないし、問い詰めるにしては少々弱いネタだと
思わせた。

さて今回は殺人事件の中に心理学をふんだんに盛り込んだ内容
だった。
面白いのは心理学者が自分の精神をコントロール出来無かった
とするオチにあるが、心理学を使って誘導した殺人事件の立証
が果たして可能なのかどうかという点がドラマとして興味深く
映る。

今回は随分神戸の活躍で、終盤までの道筋を全て彼が一人で
解いていくものだった。シーズン8に入って神戸の存在感を
如何に際立たせるのかが課題の一つだと思うが、ここに来て
右京と良い勝負を魅せる所などなかなか面白い点。
最後に右京がランチに彼を誘ったのも、ある意味彼の実力を
認めたからではないかと思わせる所は、実に興味深い。

犯行動機にしても教授争いだけでなく、万引きの事実があった
とするところは、より説得力が増すような仕掛けでは無かろうか。


杉下右京 …… 水谷豊 (警視庁・特命係)
神戸尊 …… 及川光博 (警部補・特命係)
宮部たまき …… 益戸育江 (小料理屋"花の里"。元右京の妻)

伊丹憲一 …… 川原和久 (警視庁刑事部捜査第一課員)
三浦信輔 …… 大谷亮介 (警視庁刑事部捜査第一課員)
米沢守 …… 六角精児 (鑑識課)
角田六郎 …… 山西惇 (組織犯罪対策五課)
内村完爾 …… 片桐竜次 (警視長)
中園照生 …… 小野了 (警視正)
小野田公顕 …… 岸部一徳 (警察庁/警視監)
大河内春樹 …… 神保悟志 (警察庁長官官房室長)
芹沢慶二 …… 山中崇史 (捜査一課。伊丹の後輩)
大木長十郎 …… 志水正義 (組織犯罪対策部)
小松真琴 …… 久保田龍吉 (組織犯罪対策部)

小笠原槙子 …… 鳥居かほり (鶴見ゼミ・准教授)
曽田敬助 …… ふるごおり雅浩 (鶴見ゼミ・准教授)
鶴見秀雄 …… 森下哲夫 (鶴見ゼミ・教授)
室井由香 …… 河野由佳 (鶴見ゼミ・助手)
岡本賢治 …… 柄本時生 (鶴見ゼミ・生徒)

木村圭作、小谷幸弘、杉浦文紀、佐藤智幸、西田奈津美
山田登是、八代真吾、栗村和輝、滝澤晴幸、ロバート・
レッド・ベア


評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

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