ありふれた奇跡

脚本/山田太一
演出/田島大輔、谷村政樹

http://wwwz.fujitv.co.jp/arifureta-kiseki/index.html


第2話


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自殺を止めた藤本誠から、二人には自殺をしたいと思ったこと
が有るのではないかと言われ言葉に詰まる。
後日、加奈と翔太は喫茶店で会うことになるが、言葉の行き違
いから加奈は気分を害して途中で退出してしまう。
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互いに死のうとしていた過去がある。
しかしそれを乗り越えた二人は、何か通じるものが有り、互い
に心情を吐露して、影響し合える関係になれるのではない
かと模索する。

同じ心情を味わったものでも、互いに考えていることは違うと
いう事が面白く現れた話だった。特に女性は男女を越えた関係
を築けるのではないかと真っ先に考えたのに対して、男性側は
多少なりとも男女の関係を意識する様な意図が有ったのでは
無いかと思わせる。勿論そんな意図は無かったとしても、
無意識に女性の容姿に言及したところは、本能的直感的に
その事を思ったのかも知れない。

やや出会いというものが作為的な感じだった。
祖母・静江と翔太の繋がりは特にそんな感じがする。
勿論ドラマとしてこの二人が出会うことで、より翔太と加奈の
繋がりが太くなり、逢う理由も拘る理由もより深くなった感じ
はする。ただ作為的な意図を感じたのでサプライズ感は起こら
なかったのが残念か。

きめ細やかな神経を持つ中城加奈と自分の心情を言葉に出すの
が苦手そうな田崎翔太の凸凹さは面白い物がある。
気の付く加奈が二人の関係に於けるイニシアチブを持って行く
だろうが、藤本誠という人物を加えたことで、単純なようで
実に複雑化したドラマになっている気がする。

現代に於ける人間描写を突き詰めた結果、このようなドラマが
生まれたのだろうか。
三人が団結することで互いに影響し合えれば良いが、心の傷を
背負うものたちの中で一人でも欠けるものなど出てきたりする
と途端に不安な所に転げ落ちそうで、心細いドラマな感じだ。

中城加奈(29) - 仲間由紀恵 (娘:業務用厨房機器販売)
中城桂(50) - 戸田恵子 (母:人形教室)
中城朋也(54) - 岸部一徳 (父:サラリーマン)
中城静江(76) - 八千草薫 (祖母)
田崎翔太(31) - 加瀬亮 (息子:左官)
田崎重夫(54) - 風間杜夫 (父:水道局勤務)
田崎四郎(77) - 井川比佐志 (祖父:左官)

藤本誠(50) - 陣内孝則 (妻・娘を火事で亡くす)
安藤律子(48)- キムラ緑子 (翔太の母。離婚)
神戸幸作(42) - 松重豊 (左官)
権藤(53) - 塩見三省 (警察官)
時枝春美(25) - 黒坂真美 (加奈の同僚)
妙 - 宮田早苗 (スナックのママ)

永島涼太、柳野幸成、山嵜聡弘、熊谷美香、宮坂あゆみ
神道寺こしお、飯口美穂、浅里昌吾

評価:★★★★★☆☆☆☆☆ (5.0)

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