ありふれた奇跡

脚本/山田太一
演出/田島大輔、谷村政樹

http://wwwz.fujitv.co.jp/arifureta-kiseki/index.html


第8話


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加奈は藤本の職場まで赴き、翔太との関係を相談。
養子・里親制度のパンフレットを持ってきてもらった彼に
余所の子をもらってお腹を痛めず幸せになっても良いのだろう
か?父親はその事でどう思うかと問う。
重夫は朋也に女装して面会する。ここの所二人が逢っている
様子も見せず息子が落ち込んでいるのを気にしての行動だった。
何故不躾に二人の付き合いを否定したのか。翔太の方が子供が
産めない体であるからだと聞かされ驚く。重夫は四郎にも朝
その事実を告げるが、自分は話すだけ話して仕事に行こうとす
る重夫の行動を非難する四郎。
朋也の話だと、加奈の部屋に養子・里親のパンフレットが有っ
た事や、子供が要らないと言った翔太の行動を見て、彼が子種
が無いと想像したものであるが、それ以上の確信は何一つ
無かった。四郎は父親として重夫が息子に聞くべきだと言う。
その頃翔太は仕事の現場にいた。
昼飯を買う頃に母・律子が重夫に頼まれ翔太に接触する。
律子は息子に病院に行って調べたことがあるのかを問う。無い
という返事にそれ以上のことは聞かずにすぐに立ち去っていく。
それを受けて重夫は加奈に電話し、スナック妙で逢うことに
なる。
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ドラマは本人達の気持ちは余所に周りの人たちが二人の関係を
あれこれ模索し結論を出していくという話だった。

これまでの中城家の無礼に対して、田崎家の反撃が始まった
という展開。

何も知らないのに勝手に想像しては翔太のことを傷つけて来た
人たちへの反撃と見るとそれなりに気分も晴れやかに見ること
が出来るのかも知れないが、内容はとてもデリケートな事だし、
結婚に対して反対する気持ちも全く分からない感情ではない
所を見るとやはりスッキリとした感情が生まれてこないのが
正直なところ。

何時、どんな時、加奈が事実を公表するのかがドラマとしての
興味の示すところ。有る意味ではこの件で翔太の立場が悪く
なるほどにドラマとしては盛り上がるし、話した後のリアクシ
ョンがドラマとしての最大の面白さを描いた場面でもある。

冒頭の藤本に語る辺りのシーンで猫の件を絡ませた辺りは
それなりにやりたい意図は察するのだが、やや効果的には薄く
無駄な感じにも見える。

前半は翔太が無精子症ではないのかと疑う展開になり、父親
たちが容易に息子に尋ねられない辺りの展開がとてもよく
描かれた。これを母親に聞かせにいくという所が面白い所だし
必要以上に詮索しない態度に好感が持てる。

結婚を意識した間柄ならは、加奈が重夫と有ったり、
静江が四郎に有ったりするのも自然なのかな。
シチュエーションとしてはとても面白いわけで、この組み合わせ
次第で色んな興味深さが存在するところが良く描けている。

結局三度目の診察でも加奈は産めないと分かった。
ここでこの事実がひっくり返ると展開の安易さを感じてシラ
けるけど、流石それはなくて良かった。

四郎が最後仕返しとばかりに静江に放つ言葉。
今のご時世だと孫の結婚にあれこれ口を挟むのはナンセンス
にも思えるけど、四郎が長々と語る自らの生い立ちがとても
効果的に使われ、自らの生きた証しを残したいとする気持ちも
全く分からない感情でもなかったところが良くできたところかな。

中城加奈(29) - 仲間由紀恵 (娘:業務用厨房機器販売)
中城桂(50) - 戸田恵子 (母:人形教室)
中城朋也(54) - 岸部一徳 (父:サラリーマン)
中城静江(76) - 八千草薫 (祖母)
田崎翔太(31) - 加瀬亮 (息子:左官)
田崎重夫(54) - 風間杜夫 (父:水道局勤務)
田崎四郎(77) - 井川比佐志 (祖父:左官)

藤本誠(50) - 陣内孝則 (妻・娘を火事で亡くす)
安藤律子(48)- キムラ緑子 (翔太の母。離婚)
神戸幸作(42) - 松重豊 (左官)
時枝春美(25) - 黒坂真美 (加奈の同僚)
妙 - 宮田早苗 (スナックのママ)
権藤(53) - 塩見三省 (警察官)

宮坂あゆみ、喜多道枝、山口詩史、山口みよ子、野元学二
住吉怜奈、みわ優子、海島雪、河本千明

評価:★★★★★☆☆☆☆☆ (5.0)

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