コールセンターの恋人

脚本:中園ミホ ほか
チーフプロデューサー:黒田徹也
プロデューサー:奈良井正巳、樽井勝弘、壁谷梯之
演出:片山修、田村直己


第3話 母失踪!助け呼ぶ電話の声

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今日は給料日。明細を見る都倉は正社員のために、誰よりも
多い40万円の給料を貰う。その事で同僚達から冷ややかな目で
見られる。

通販では懐中電灯の"ヒカルくんDX"が販売される。
商品は人気シリーズの最新版で、これまでに度重なるモデル
チェンジを繰り返してきたもので9980円。しかしこれまでにも
何度も懐中電灯は取り上げられたこともあり、コールセンター
に注文の電話は一切無い。そこでアイスの独断の企画として
"買い換えキャンペーン"を繰り出す。商品も夫も新しい方が
良いとする軽快なトークに共感したのか、次の瞬間コールセン
ターに電話は鳴りっぱなし。

そんな中早くもヒカルくんに対するクレームの電話が鳴る。
買ったばかりなのにスイッチを入れても付かないというもの。
対応に出た都倉は一緒にマニュアルに沿って動作確認を頼むと
スイッチを入れた途端に電話口から警報音の様な音が聞こえて
くる。そして次の瞬間電池切れなのか切れてしまった。
それを聞いた響子は型版が古い物だとして、型版を知るために
住所や氏名を聞き出そうとする。しかし電話口の女性は何で
名乗らないといけないのかとして電話を切ってしまう。
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今回取り上げられたのは懐中電灯。

ドラマとしては相変わらず電話口で聞いた情報を頼りに、
型版を調べたり、購入者を特定していく辺りの段取りはとても
面白くできている。
更に今回は相手・村松妙子が認知症である事が判明したり、
何処か暗い倉庫に迷い込んだことを知り緊急を要するものだと
してドラマに緊迫感を与えた。

内容は面白かったが、強引な解釈が多く、それを無理矢理突き
通してしまう面も存在している。
何と言っても一番不可解なのは、妙子が居なくなったのを知った
娘夫婦はすぐに母親に電話すれば良いのに、それをせずに居る
という点。コールセンター側からは通じるのに、娘側から繋が
らない訳ないし、その辺はちょっと滑稽なこと。

また今回懐中電灯の電気を付けることが、ドラマに於いて全て
解決するという流れを作ってしまったが、彼女の居場所を
知らせる為の照明として使われるには、かなり強引な描き方
である。光一つをもって遠方にいる人があれは母親が発して
いる光だなどと思うわけはないはずで、その辺の顛末はかなり
幼稚に映る。光を見てアイスまでもが初心に戻る様な演出に
なっていたが、この辺のこじつけがもう少し上手くできている
とドラマとしては言うことがないんだけどね。

コールセンター側の立場というものが今回青山響子のセリフに
よって示された点は良くできている部分だ。
商品やマニュアルを保管してある倉庫の存在意義の中に、
まだ客が使っている可能性が有るウチは最後まで対応する義務
が有るという彼女の使命感。この辺は虚構だとしても、サポー
ト体制に対して顧客が望む理想が描かれていて、このチーム
の誠実さが見て取れる演出だった。

売る方にしては古い物を捨てて貰わねばならないという
買い換えの論理が提示され、物を大事にすべきとの論理の
間で上手く葛藤させている辺りも興味深い点だ。

コールセンター組
都倉渉 …… 小泉孝太郎 (若手社員)
青山響子 …… ミムラ ("クレームの女王"の異名)
酒巻謙一 …… 松重豊 (コールセンター長)
宇野勉 …… 安田顕 (お客様相談窓口係)
八田ゆみえ …… 中島ひろ子 (お客様相談窓口係)
近藤渚 …… 滝沢沙織 (東京にあこがれを持つイマドキの女性)
上原千夏 …… 山崎野々華 (ほめ殺しの千夏)
大村ミサキ …… 真下玲奈 (受注係)
小松なみ …… 福井仁美 (受注係)
中谷あさり …… 愛未 (受注係)
川辺勇次郎 …… 若林豪 (人生相談の達人)

本社組
金原舞 …… えれな (南極アイスのバックダンサー)
白井萌 …… はねゆり (南極アイスのバックダンサー)
奥村静香 …… 樋場早紀 (渉の恋人。本社の秘書課に勤務)
三上慶太 …… 中林大樹 (中島局長の部下で、通販部に所属)
明石涼介 …… 石井康太 (通販番組のアシスタント)
中島栄作 …… 柴俊夫 (渉の上司、メディア物販局長)
南極アイス …… 名取裕子 (テレビショッピング界のカリスマ)

村松妙子 …… 倍賞美津子 (コールセンターに不都合を訴える)
村松良美 …… 舟木幸 (妙子の娘)
村松浩介 …… 金山一彦 (良美の夫。酒屋を経営)
赤道カイロ …… 尾形沙耶香 (南極アイスの後任)

正木佐和、猪鼻真依、酒井麻吏、柴嶺亮、今冨映貴

評価:★★★★★☆☆☆☆☆ (5.0)

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