不毛地帯

原作……山崎豊子『不毛地帯』(新潮社刊)
脚本……橋部敦子
演出……澤田鎌作 / 平野眞 / 水田成英
プロデュース……長部聡介 / 清水一幸

http://wwwz.fujitv.co.jp/fumouchitai/index.html


第2話 黒い頭脳戦

--------------------------------------------------------
日本の国防のために使われる戦闘機を利権に利用されるわけに
は行かないと考えた壹岐正は近畿商事の航空機部で働くことを
決意する。里井から松本部長を紹介され、元防衛庁の小出宏が
正の下に付くことになる。
グラント社から総理側にはG資金と呼ばれる資金の流れが有る
事。東京商事の鮫島が巧妙にその流れを誤魔化しており、実情
は分からないで居た。

そんな中、防衛庁の川又らがアメリカで戦闘機の性能を調査し
ラッキード社とグラント社の比較したデータを官房長の貝塚に
提出し、国防会議に提示されるのを待っているが、一向にグラ
ント社有利は変わらない。そこで川又は直訴し、実際に乗るのは
自衛官なので現場の声を反映して欲しいという。速力と上昇力
は明らかにラッキード社の戦闘機が上だとするが、貝塚はその
データを国防会議の場に持ち込むことをせずにいた。

里井と正は大門一三に現状を報告に行くために料亭を訪れると
そこには偶然、鮫島の姿があった。鮫島の耳には既に作戦参謀
の人材が入社したとの噂を聞いており、互いにフェアプレイで
行きましょうと告げる。
このままでは埒があかない。状況を変えるために反総理派で
発言力のある政治家・大川一郎に接触しようという事になる。
グラント側に不利なデータが出たことや、未だにグラントは
試作機の二機しか出来上がっていない事を告げて、協力してく
れる様訴える。国防会議の場で貝塚を喚問して欲しいと告げる。

そんな中、千里は陶芸家の叶先生の元に弟子入りする。
叶から陶芸新人展に出品してみればどうかと告げられる。

帰宅した正の自宅に毎朝新聞政治部の記者・田原秀雄がやって
くる。正が防衛庁のオファーを蹴ったことの意味を探っていた
が商社側からアプローチするためのものだったのかという。
旧軍人グループはラッキード社の戦闘機を圧しているのか?と
聞かれる。最近新聞社には怪文書が多く届き、壹岐正の名前が
良く出てくることを聞く。
--------------------------------------------------------

いよいよ商社マンとしてのキャリアをスタートさせる。
初めは軍人上がりゆえに何をして良いのか分からず、彼の持つ
知的な部分が発揮されなかったが、自分の得意分野で勝負する
事によって、随分と視野が広がり、柔軟性を持ち始めたと思う。

全ては国を守るという名目、大儀というものを得たこと
によって彼の行動は信念を頼りに加速していく。

長いスパンのドラマなので取りあえず展開に身を任せてみるのが
正しい見方だろう。

現在最も問題児として写っている防衛官房長の貝塚道生。
彼に苦汁を飲まされる川又が憤りを感じてズバリと指摘してい
たが、当面は彼の暴走を見守りつつ、何時の日か転覆して
立場が逆転していくのを待つばかりである。

ドラマとして興味深いのは、重要な役割を任せられているにも
関わらず核心部分を教えてもらえない小出宏という人物だ。
不気味な程ニコニコして満面の笑みを見せているところが実に
作為的で恐ろしい部分でもある。予告では反目に回りそうな
感じにも見えたが、その辺は壹岐正の人間性や協調性、軍隊
生活で培った人間関係の統括する術によって処理していくの
を期待したいところ。

ドラマとしては家族の存在は欠かせない物だ。
初回の中でも比重多く描かれていたが、家族の存在が正の中では
一つの心の拠り所になっていると思う。間違った道に進むとなれ
ば嫌でも家族の顔を思い出すだろうし、道に逸れないための
道しるべにもなってくれるのかもしれない。
今回は苦労や心配を掛けている妻にプレゼントを買ってくるなど
気の使いようが見られたり、クラブ『ル・ボア』に居るときに
も妻に連絡を取る主人公の姿があった。
女性関係に於いては堅物な男性像だけど、それにしては随分と
色っぽい女性陣が脇を固めているところが気になるところでも
有る。

二次防に於いては、相手の不正を暴いて有利な展開に持ち込むも
最後に信頼していた戦闘機自体に欠陥があるのではないかという
展開だった。この窮地をどう切り抜けていくのか。

驚いたのはコピー機が存在していたことと、鮫島の情報網の広さ
か。ライバル企業に巡らせているアイテナの感度の良さに敬服
させられるが、毎朝新聞にも繋がっているところが不気味だね。
田原秀雄という人物は壹岐正にとって味方になるのか敵になるの
かという点も今後の興味の一つ。

壹岐正  … 唐沢寿明 (参謀)
壹岐佳子 … 和久井映見 (妻、市役所で働く)
壹岐直子 … 多部未華子 (娘)
壹岐誠  … 高橋平 (息子)

川又伊佐雄… 柳葉敏郎 (防衛庁・正の同期)
貝塚道生 … 段田安則 (防衛庁・官房長)
芦田国雄 … 古田新太 (防衛庁)

久松清蔵 … 伊東四朗 (政財界)
田原秀雄 … 阿部サダヲ (毎朝新聞)
浜中紅子 … 天海祐希 (クラブ『ル・ボア』)
鮫島辰三 … 遠藤憲一 (東京商事)

谷川正治 … 橋爪功 (満州関東軍の幕僚 & 組織「朔風会」)
竹村勝  … 中丸新将 (参謀副長)

秋津紀武 … 中村敦夫 (中将、大陸鉄道司令官)
秋津清輝 … 佐々木蔵之介 (兄、戦争後僧侶に)
秋津千里 … 小雪 (娘、陶芸家)

大門一三 … 原田芳雄 (近畿商事社長)
里井達也 … 岸部一徳 (近畿商事・東京支社)
兵頭信一良… 竹野内豊 (近畿商事・東京支社)
松本晴彦 … 斉木しげる (近畿商事・東京支社)
小出宏 …  松重豊 (近畿商事東京支社航空機部)
海部要 …  梶原善 (近畿商事・NY支社)
塙四郎 …  袴田吉彦 (近畿商事・LA支社、航空機部)

ナレーション …… 二又一成

叶 …… 品川徹 (陶芸家)
大川一郎 …… 佐々木敏 (政治家)

亀石征一郎、隈部洋平

高柳葉子、佐野賢一、吉家章人、青木一、青柳加代子
大谷賢治郎、高橋仁可

評価:★★★★★☆☆☆☆☆ (5.0)

inserted by FC2 system