不毛地帯

原作……山崎豊子『不毛地帯』(新潮社刊)
脚本……橋部敦子
演出……澤田鎌作 / 平野眞 / 水田成英
プロデュース……長部聡介 / 清水一幸

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第6話 決戦

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第三次中東戦争が勃発した時に備えて、色々と準備を進める中
今後必ず必要になる東南アジアの権力者・黄から頼まれた戦標
船確保に奔走する。黄から兵頭に手配できるか確認の電話が
有り、必ず揃えると告げる。船舶部の岸部長にお願いするが、
タンカー委員会は必ずしも戦争になるとは考えていない事を
受けて、常務本部の戦略に疑問を投げかける。
近畿商事が未だ実行出来ずに居るところを東京商事の鮫島が
黄に接触し、自分たちが揃えるとした事で、黄は兵頭にキャン
セルの申し出をしてくる。兵頭は必ずコチラの方で手配するの
で翌日の午前中まで返事を待って欲しいと頼む。

壹岐正は副社長の里井の元に行き、東京商事が横取りしようと
している現実を訴え、船舶部を動かして欲しい事を頼む。
里井はウチの会社はあくまで繊維がメインで船舶の確保に長け
ている訳ではないことを告げる。正は自分たちの方で確保する
ので一隻40万ドル以下で確保出来そうならば決裁する確約が
欲しい事を告げる。里井はそれを了承するが、翌日突然大阪の
支店に出張してしまう。

壹岐正は一人日東貿易の安蒜公一の元を訪れ、1隻35万ドル
程度で5隻戦標船を手配してくれるよう頼む。すると彼は
イスラエル産のオレンジを3年間輸入する事を条件に、アメリ
カ大手のオーシャンラインに手配することを約束する。

しかしその決定に噛みついたのは近畿商事の食品部の山本だった。
里井は業務本部の身勝手な振る舞いが社内で批判の的になって
いる事を社長の大門に報告する。全ての決定を業務本部が取り
仕切る為に他の部署では自主性が損なわれて士気が失われている
というのである。
そんな中、国際ロビイストの竹中莞爾が大門に会いに来て、
中東産の農作物の輸入を更に求めてくるのだった。

壹岐正が帰宅すると見慣れない車が止まっていた。
娘の直子がまたしても宿敵鮫島の息子・倫敦に車で送ってきて
もらっていたのである。直子や倫敦に注意するが、親同士が
ライバル企業だからと言って子供が逢う事を禁止するのはおか
しいとして、正の言い付けを守ろうとする気配はなかった。
そんな壹岐正の元に兵頭から電話が鳴る。戦標船の件が白紙
になったというのである。里井から事情を聞こうとするも、
彼は大阪に出張しており連絡が取れない。里井という大きな
壁を実感することになる壹岐正だった。
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第三次中東戦争が起こることを見越して、色々と準備に追われる
商社の面々。果たして正確な分析力を得て、利益を得るのは
誰なのか。

前回自分の感想の中にも書いた
>>イスラエの軍隊が強いのか、それとも中東側の兵力が強いのか。
>>壹岐正は軍事力で劣るとされるイスラエルが勝つことを予期して
>>おり、この辺の分析力で東京商事との違いを見せて欲しいところ
>>だ。

この辺の展開が用意された格好だった。

前半部に於ける戦標船関連の話に関しては、壹岐正に反発する
ものたちの存在を浮かび上がらせ、敵はライバル企業だけでなく
身近にも居るという展開を用意する。
この一件で黄氏に恩を売ることが出来なかった近畿商事は、
その後に於いてどんな影響が訪れるのか。簡単にスルーされて
しまうエピソードかも知れないが、一応は伏線として存在した
ことになる。

ドラマとしては分析力が如何に企業の利益を左右するのか描いた
話であり、"買い"と"売り"の両極端を進んでいく両者の対決には
分かりやすいだけの結末が用意されていた。

遠藤憲一さんの買いまくれの号令は、あまりに暴走していて
コメディにしか見えないところが笑えた。

しかし壹岐正の分析力は、経済に於ける分析力ではなく、軍事
兵力に対するものなので、相変わらず軍事衝突でも起こらない
限り彼の能力が効果的に発揮されるのかどうか、不安な要素も
存在する。
上に立つ者として、軍事の現場でも経済の現場でも共通するもの
というのは存在するだろうし、その辺を上手く導き出せるのかが
このドラマのポイントなんだろうね。

今後気になるのは正と千里の関係か。
妻も子も居る中で不倫したりするのだろうか。

壹岐正  … 唐沢寿明 (参謀)
壹岐佳子 … 和久井映見 (妻、市役所で働く)
壹岐直子 … 多部未華子 (娘)
壹岐誠  … 高橋平 (息子)

川又伊佐雄… 柳葉敏郎 (防衛庁・正の同期)
貝塚道生 … 段田安則 (防衛庁・官房長)
芦田国雄 … 古田新太 (防衛庁)

久松清蔵 … 伊東四朗 (政財界)
田原秀雄 … 阿部サダヲ (毎朝新聞)
浜中紅子 … 天海祐希 (クラブ『ル・ボア』)
鮫島辰三 … 遠藤憲一 (東京商事)

谷川正治 … 橋爪功 (満州関東軍の幕僚 & 組織「朔風会」)
竹村勝  … 中丸新将 (参謀副長)

秋津紀武 … 中村敦夫 (中将、大陸鉄道司令官)
秋津清輝 … 佐々木蔵之介 (兄、戦争後僧侶に)
秋津千里 … 小雪 (娘、陶芸家)

大門一三 … 原田芳雄 (近畿商事社長)
里井達也 … 岸部一徳 (近畿商事・東京支社)
兵頭信一良… 竹野内豊 (近畿商事・東京支社)
松本晴彦 … 斉木しげる (近畿商事・東京支社)
小出宏 …  松重豊 (近畿商事東京支社航空機部)
海部要 …  梶原善 (近畿商事・NY支社)
塙四郎 …  袴田吉彦 (近畿商事・LA支社、航空機部)(1話)

ナレーション …… 二又一成

叶 …… 品川徹 (陶芸家)
大川一郎 …… 佐々木敏 (政治家)(2話)
鮫島倫敦 …… 石田卓也 (息子)
丹阿弥泰夫 …… 加藤虎ノ介 (千里の見合い相手)

正岡 …… 森下哲夫 (近畿商事・繊維部)
一丸 …… 山田明郷 (近畿商事・総務部)
安蒜公一 …… 団時朗 (日東貿易)
黄乾臣 …… 石橋蓮司 (インドネシア・四大財閥)
竹中莞爾 …… 清水紘治 (国際ロビイスト)
タイピスト …… 高田聖子 (日東貿易)

岸博之、大高洋夫、中根徹、信太昌之、古川慎、山崎哲史
築山万有美、川崎賢一、輝咲亘希、前川正行、たれやなぎ
丸山裕征、岡安泰樹、吉家章人、加治木均、竹井亮介
青木一、上ノ茗真二、横塚真之介、堤匡孝、上田勝臣
伊藤晃一、塚越孝(アナ)、土屋史子、桜庭亮平(アナ)

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