不毛地帯

原作……山崎豊子『不毛地帯』(新潮社刊)
脚本……橋部敦子
演出……澤田鎌作 / 平野眞 / 水田成英
プロデュース……長部聡介 / 清水一幸

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第10話 恋と野望

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李錫源の助けでフォーク社から委任状を受け取った壹岐正は、
李の招待で韓国に渡る。しかもその訪問はそれだけに留まらず
なんと韓国大統領と面会を果たす。

鮫島は里井を見掛けると、経済雑誌を見たことを告げ、近畿商
事の次期社長は里井ではないかとおだてる。彼はその際に
壹岐正のポストはどうするのか尋ね、彼はスタンドプレイが
得意なので厄介な存在になりそうですねと声を掛ける。

正は実家へと戻り直子と久しぶりに再会する。千里から手紙が
届いている事を聞き見てみると、彼女の陶芸展のお知らせだっ
た。直子と倫敦を巡って父親とは相変わらずで、孫の太にも
会いに来ないのだという。

壹岐正は里井の家を訪れ、フォークの件での行き違いの事を
謝罪する。ソウルには何のために行ったのかと聞かれ、大統領
に面会し、地下鉄の敷設200億円の仕事の話を受けたことを告
げると、里井は早速話を進めようと告げる。里井は壹岐正に
現在副社長の一丸が派閥争いに勢を出している事を告げられる
と、正は次期社長は里井である事を指示する。
一方会社では一丸に会う壹岐正は、彼が行う合繊プラントの
件を手回しすることで、二人に手土産を持ってきた形になる。
一丸から里井は君を関連会社に出すつもりだと聞かされる。

壹岐正は社長の大門に会うと、フォードの件で労われる。
大門に退陣の件を尋ねてみると、自分の花道を作ってから辞め
ると宣言する。

一方千代田自動車の小牧の元に記者の田原が接触する。
千代田の戦略が失敗して以来大きな動きがないことを疑問視
する田原。まさかフォードと提携の話があるのではないか?と
疑うが小牧は現実的な話ではないとして否定する。

千里の個展を見に行く壹岐正は、二年半ぶりに彼女と再会する。
運命的な結び付きを感じる二人。正は千里の作品を見て作風が
変わったことを指摘する。正がコートを着させてくれたことに
千里はその雰囲気に酔いしれながら、N.Yに行って変わった事
を指摘する。

そんな中、ジェネラルホテルで千代田自動車、第三銀行、
近畿商事の三者会談が行われる。しかし小牧はホテルにこの
会談を嗅ぎつけて記者の田原が来ていることを告げ、帝苑
ホテルに場所を変更するよう告げる。
そこでフォード社が提携に際して要求しているのは、出資比率
の50%と代表権役員の座を望んでいる事を告げられる。
しかし通産省は外資に関して、海外企業の進出には目を光らせ
ており、どの程度の出資が許されるのか不透明だという。
里井は山之内通商局長に会うからその辺を聞いておくと告げる。
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N.Yでフォードとの提携の枠組みを作った壹岐正は日本に帰国
する。
近畿商事内では俄に後継者争いが行われる中、正は千里と久し
ぶりの再会を果たす。

今回は後継者争いやフォードの契約に於ける社内でのイニシア
チブの争いを描きつつ、恋バナを中心とした流れだった。

もう少しすれ違いの恋愛話を引っ張っても面白いかなと思って
いたけど、これ以上千里を待たせるのもちょっと酷な話か。
壹岐正にしても白髪が見え始めて、もういい年って感じの雰囲気
だしね。

未だに正の心の中では妻は佳子だけだと思う中で、本音の所で
千里との関係を進めたいと思う気持ちも含まれるのではないか
という興味深い展開が用意された。

千里側にはありありと正との関係を進めたいとする意図と意思
が現れていたし、N.Yに行くとした彼女の決意と、それを受け
止めた正の気持ちの整合性をどのように図っていくのかが
ドラマとしての興味深いところか。
結局全ては千里が主導して恋バナを先導した感じで、タクシー
に乗せて帰らせようとする正の態度に業を煮やした彼女が
部屋に行きたいとしてアプローチを掛ける所は、必死さも見ら
れて緊迫感も有った。

ドラマとして意外にも目に付いたのは、正の息子がインドネシ
アに農業開発を行っているという事実。東南アジアとのパイプ
ラインでは黄乾臣と紅子という関係が存在するけど、後々
息子も何処かで絡んでくるものだと思っている。

壹岐正 …… 唐沢寿明 (参謀)
壹岐佳子 …… 和久井映見 (妻、市役所で働く)
壹岐直子 …… 多部未華子 (娘)
壹岐誠 …… 高橋平 (息子)
壹岐誠(青年期) …… 斎籐工

川又伊佐雄… 柳葉敏郎 (防衛庁・正の同期)
貝塚道生 … 段田安則 (防衛庁・官房長)
芦田国雄 … 古田新太 (防衛庁)

久松清蔵 …… 伊東四朗 (政財界)
田原秀雄 …… 阿部サダヲ (毎朝新聞)
浜中紅子 …… 天海祐希 (クラブ『ル・ボア』)
鮫島辰三 …… 遠藤憲一 (東京商事)

谷川正治 …… 橋爪功 (満州関東軍の幕僚 & 組織「朔風会」)
竹村勝 …… 中丸新将 (参謀副長)

秋津紀武 …… 中村敦夫 (中将、大陸鉄道司令官)
秋津清輝 …… 佐々木蔵之介 (兄、戦争後僧侶に)
秋津千里 …… 小雪 (娘、陶芸家)

大門一三 …… 原田芳雄 (近畿商事社長)
里井達也 …… 岸部一徳 (近畿商事・東京支社)
兵頭信一良 …… 竹野内豊 (近畿商事・東京支社)
松本晴彦 …… 斉木しげる (近畿商事・東京支社)
小出宏 …… 松重豊 (近畿商事東京支社航空機部)
海部要 …… 梶原善 (近畿商事・NY支社)
塙四郎 …… 袴田吉彦 (近畿商事・LA支社、航空機部)
八束功 …… 山崎樹範 (N.Y支社)
角田保 …… 篠井英介 (新業務本部長)
一丸松次郎 …… 山田明郷 (副社長)
スザンヌ …… エマ・ハワード (近畿商事・N.Y支社)

ナレーション …… 二又一成

叶 …… 品川徹 (陶芸家)
大川一郎 …… 佐々木敏 (政治家)(2話)
鮫島倫敦 …… 石田卓也 (息子)
丹阿弥泰夫 …… 加藤虎ノ介 (千里の見合い相手)

正岡 …… 森下哲夫 (近畿商事・繊維部)
一丸 …… 山田明郷 (近畿商事・総務部)
安蒜公一 …… 団時朗 (日東貿易)
黄乾臣 …… 石橋蓮司 (インドネシア・四大財閥)
竹中莞爾 …… 清水紘治 (国際ロビイスト)
タイピスト …… 高田聖子 (日東貿易)
小牧常務 …… 小野武彦 (千代田自動車)
村山専務 …… 田村亮 (千代田自動車・営業)
森社長 …… 大林丈史 (千代田自動車・社長)
大門藤子 …… 赤座美代子
里井勝枝 …… 江波杏子
プラット …… ニコラス・ペタス (フォード・アジア渉外担当)
李錫源 …… 榎木孝明 (韓国・光星物産の会長)
ヘイリー・フォーク …… アレキサンダー・バリ (フォード会長)
ハル江 …… 吉行和子 (N.Yの正の部屋の家政婦)
玉井 …… 浜田晃 (第三銀行・頭取)
崔大統領 …… 鶴田忍 (韓国大統領)

須永慶、青柳加代子、海島雪、天野勝弘、陣慶昭

ビクター・サボイ、マーク・テイラー、ジェームズ・マホン
ニールス・トルネーカー、マーク・トーリアン

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