不毛地帯

原作……山崎豊子『不毛地帯』(新潮社刊)
脚本……橋部敦子
演出……澤田鎌作 / 平野眞 / 水田成英
プロデュース……長部聡介 / 清水一幸

http://wwwz.fujitv.co.jp/fumouchitai/index.html


第11話 嫉妬に殺される男

--------------------------------------------------------
昭和45年、千代田自動車とフォーク自動車の提携話の件で、
里井は突然角田と共にこの提携話を白紙に戻すと言う。千代田
の条件は25%以下、しかしフォークが求める出資比率は33.4%以
上。このままだと不可能であり、改めて全く新しい合弁会社を
設立すべきだという。出資比率は50%対50%。千代田はフォーク
に逃げられれば潰れる。その為選択筋は無いという。
我々のすべきことは両社を結びつける事であるという里井。

正はその晩夢を見る。
パーティーの席で妻・佳子が里井から正の出世欲についてツネ
たものだった。

翌日、フォークのデトロイト社に行きアジア担当のプラットと
交渉を進める。初めは正の主張する案を提示するが、フォーク
側はこれ以上は一切妥協するつもりは無いという。そこで新た
に里井の案を告げると彼らは興味を示す。今ならば新しい合弁
企業に対する法的な規制が無いことを告げ、取りあえず月5千
台、資本30億円程度の企業をスタートさせようという。工場用
地には千代田の使っていない工場跡地があり、販売ルートの
確保や技術者は手配できる事を告げる。するとフォークは千代田
に調査団を派遣し、経理や技術を調べる事を告げ交渉は一歩
前進するのだった。

里井は自らの案の成果を素直に喜ぶが、正は不安を訴える。
すると里井は激怒し、正の出世欲をツネて来るのだった。
しかしそれと同時に里井はその場に倒れてしまう。
里井は角田を呼べというが正は救急車を呼び病院に運ぶ。
診断は狭心症だった。心臓病の権威であるフリードバーグ医師
と現在浪速大学病院の医師で研修に来ている大田医師が対応に
当たってくれる。里井は寝ていれば治るとするが、発作を甘く
見てはいけないと告げられ、海外出張を控え、仕事量は今の
半分、副社長のポストも降りるべきだと告げられる。
--------------------------------------------------------

新年を跨いでの放送と言うことで、展開としてはそれ程大胆な
動きは無いような話だった。

正と千里の関係に於いても別段動きはなく、塙四郎を経由して
正との恋愛成就が難しい事を示唆する所は、この恋の先行きが
暗そうな感じを演出していた。

ドラマでは壹岐正の存在感により、里井達也が過剰に反応する
展開が用意された。壹岐正の虚像に踊らされる里井の必死な
状況が描かれたわけだけど、正が見た夢の中でも出世欲につい
て言及していることから、里井だけでなく、正側にもそんな
欲求が存在し、里井の事を意識しているという事なのだろうか。

今回は来週以降の前振り感が強かった。
フォードが送り込もうとしている5人の調査団。1人が失踪
しているが、一体何をしようとしているのか。

そして里井が無理して働くことで、壹岐正とぶつかるところも
なく自然消滅しそうなところがドラマとしては呆気なくも
写る。

角田が里井から離れて何らかの単独の行動を起こしそうだし、
一丸も里井に弱味が存在すれば攻勢を強めてくるだろう。

気になったのはハル江さんの行動か。
この時代の価値観からすると、生涯を奥さんの為だけに捧げる
生き方を求める事情は存在するのかも知れないが、お手伝いの
人からそれを訴えかけられるというのはちょっと違うような
気もする。
正と千里は恋愛を発展させるのですかね。

壹岐正 …… 唐沢寿明 (参謀)
壹岐佳子 …… 和久井映見 (妻、市役所で働く)
壹岐直子 …… 多部未華子 (娘)
壹岐誠 …… 高橋平 (息子)
壹岐誠(青年期) …… 斎籐工

川又伊佐雄… 柳葉敏郎 (防衛庁・正の同期)
貝塚道生 … 段田安則 (防衛庁・官房長)
芦田国雄 … 古田新太 (防衛庁)

久松清蔵 …… 伊東四朗 (政財界)
田原秀雄 …… 阿部サダヲ (毎朝新聞)
浜中紅子 …… 天海祐希 (クラブ『ル・ボア』)
鮫島辰三 …… 遠藤憲一 (東京商事)

谷川正治 …… 橋爪功 (満州関東軍の幕僚 & 組織「朔風会」)
竹村勝 …… 中丸新将 (参謀副長)

秋津紀武 …… 中村敦夫 (中将、大陸鉄道司令官)
秋津清輝 …… 佐々木蔵之介 (兄、戦争後僧侶に)
秋津千里 …… 小雪 (娘、陶芸家)

大門一三 …… 原田芳雄 (近畿商事社長)
里井達也 …… 岸部一徳 (近畿商事・東京支社)
兵頭信一良 …… 竹野内豊 (近畿商事・東京支社)
松本晴彦 …… 斉木しげる (近畿商事・東京支社)
小出宏 …… 松重豊 (近畿商事東京支社航空機部)
海部要 …… 梶原善 (近畿商事・NY支社)
塙四郎 …… 袴田吉彦 (近畿商事・LA支社、航空機部)
八束功 …… 山崎樹範 (N.Y支社)
角田保 …… 篠井英介 (新業務本部長)
一丸松次郎 …… 山田明郷 (副社長)
スザンヌ …… エマ・ハワード (近畿商事・N.Y支社)

ナレーション …… 二又一成

叶 …… 品川徹 (陶芸家)
大川一郎 …… 佐々木敏 (政治家)(2話)
鮫島倫敦 …… 石田卓也 (息子)
丹阿弥泰夫 …… 加藤虎ノ介 (千里の見合い相手)

正岡 …… 森下哲夫 (近畿商事・繊維部)
一丸 …… 山田明郷 (近畿商事・総務部)
安蒜公一 …… 団時朗 (日東貿易)
黄乾臣 …… 石橋蓮司 (インドネシア・四大財閥)
竹中莞爾 …… 清水紘治 (国際ロビイスト)
タイピスト …… 高田聖子 (日東貿易)
小牧常務 …… 小野武彦 (千代田自動車)
村山専務 …… 田村亮 (千代田自動車・営業)
森社長 …… 大林丈史 (千代田自動車・社長)
大門藤子 …… 赤座美代子
里井勝枝 …… 江波杏子
プラット …… ニコラス・ペタス (フォード・アジア渉外担当)
李錫源 …… 榎木孝明 (韓国・光星物産の会長)
ヘイリー・フォーク …… アレキサンダー・バリ (フォード会長)
ハル江 …… 吉行和子 (N.Yの正の部屋の家政婦)
玉井 …… 浜田晃 (第三銀行・頭取)
崔大統領 …… 鶴田忍 (韓国大統領)
大田 …… 佐渡稔
ジョージ岡 …… 下條アトム
アーリックマン …… ブレット・コールマン
ラディ …… エリック・ボーシック
トーマス …… バリングトン・ウォールミリー
リッカー …… アレクサンダー・ラヴィカ
ウォーレン …… アミニ・クロッシュ

須永慶、伊藤佳奈子

ロニー・レーハン、サリー・コシナカ、ポール・ブライデン
オレクサンドラ・ベクラナ

評価:★★★★★☆☆☆☆☆ (5.0)

inserted by FC2 system