不毛地帯

原作……山崎豊子『不毛地帯』(新潮社刊)
脚本……橋部敦子
演出……澤田鎌作 / 平野眞 / 水田成英
プロデュース……長部聡介 / 清水一幸

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第13話 喰うか喰われるか

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次期総理と呼び声高い自由党の田淵から呼び出しを受ける
大門は壹岐正を引き連れて会いに行く。最近近畿商事は大手
商社の中で6社中3番目に高い増収増益を上げていることに驚か
れる。そんな田淵から俺を困らせるような行動をするなと言わ
れる。アーリックマンが先日会いに来て外資導入に関して探り
を入りにきたという。近畿商事が千代田とフォークの間に入っ
て合併を画策していることを指摘し、日本の自動車メーカーが
その様な事態になっているのに、自分の耳に届かない事を不満
に感じていた。通産省よりも党の幹事長に知らせるのが筋だと
いう。田淵がフォークと千代田の件に絡みたいと思っている
事は明らかだった。
しかし壹岐正はかえって田淵と顔を繋げた事に喜ぶ。

そんな中里井が仕事に復帰する。
すぐに壹岐正と面会する里井は、不見識な事をしたとして、
大門たちが電話一本で田淵と会ったことを非難する。
アーリックマンはオーストラリアには行かずに日本に滞在し、
鮫島と会っていたことを告げると、それは危機感を煽るやり方
だとして、里井は自分にはそんなやり方は通用しないと壹岐正
を一蹴する。事の認識が甘いと里井を非難すると、今日から
フォークとの件に関して壹岐正は一切関わるなと副社長命令を
発令する。
里井は早速フォードと最終的な打ち合わせのためにデトロイト
に飛ぶという。体調の悪さから色んな人が反対を示すが、里井
は壹岐正にだけは社長の座を渡さないとして強引に渡米する。

里井はプラットに逢うとフォード側から新たな提案を受ける。
それは出資比率は50対50ではなく、51対49にするというもの。
これ以外に妥協する意思はないと言われる。

そんな中、毎朝新聞のスクープが掲載される事になる。
いち早く早刷りを手に入れた近畿商事と千代田自動車の重役た
ちはその記事を見て愕然とする。なんとフォードが選んだのは
東和自動車との提携で、しかも出資比率はわずか20%程度だと
いう。
壹岐正は大門宛に送られてきたフォードからの手紙を渡す。
そこには千代田との交渉は打ちきりとの事が書かれていた。
その瞬間里井は倒れてしまう。

マスコミは鮫島を取り囲む。鮫島は部下達を引き連れ祝杯を
上げる。
里井は一命を取り留めるが、暫くは静養が必要で、復帰に際し
ても今までのような不規則な就労、海外出張は無理だとドクタ
ーストップが掛かる。
一連の契約提携について、プラットは千代田との取引を考えて
いたが、方向の転換はフォード会長の独断で決めたことを知る。
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千代田とフォークの間に割って入ってきた東京商事率いる東和
自動車。果たして勝敗の行方は?

ドラマとしては壹岐正が鮫島に惨敗する訳だが、実質的に会社
での地位は鮫島を上回る常務の座を手に入れるという展開が
描かれた。
とはいえ、フォークの一件は壹岐正は殆ど蚊帳の外に置かれて
しまい、結果的には彼が居ないとやっぱり勝てない事を示唆する。

壹岐正がフォークへの足掛かりを作って大詰めでその動きを
知った里井が自らの案で台頭してその座を奪う。そして契約を
取り逃がすという長いスパンで描かれた自動車を巡る話は、
会社に良い教訓を与えた。
誰が信用できる人物で誰が信用できない人物なのか。

大門も語っていたが、壹岐正を航空部から引き抜いたのは里井
で有っていつの間にか二人が対極的な関係にある。勿論壹岐正
にはそんな意図が無いにしても、彼の力が上に立つものを嫉妬
させ、日本社会では秩序を乱すものとして扱われる部分がある。
会社内で流れた壹岐正に対する怪文書は、一体誰の差し金なのか
という気がするが、焼け石に水って感じでもう壹岐正の実績を
覆すことは出来無いって感じだね。

さて今回は千里を巡って壹岐に於ける激しいやりとりが有った。
壹岐正と暫く消息不明だった息子の誠が時を経て和解へと向かっ
てするのかと思わせつつ未だに和解したものが無いことを描いた。
千里に関して今時の価値観ならば、父親には父親の人生がある
と割り切れるモノがあるだろうけど、この時代だとやっぱり
他の人と結ばれるのは難しいのかな。

壹岐正 …… 唐沢寿明 (参謀)
壹岐佳子 …… 和久井映見 (妻、市役所で働く)
壹岐直子 …… 多部未華子 (娘)
壹岐誠 …… 高橋平 (息子)
壹岐誠(青年期) …… 斎籐工

川又伊佐雄… 柳葉敏郎 (防衛庁・正の同期)
貝塚道生 … 段田安則 (防衛庁・官房長)
芦田国雄 … 古田新太 (防衛庁)

久松清蔵 …… 伊東四朗 (政財界)
田原秀雄 …… 阿部サダヲ (毎朝新聞)
浜中紅子 …… 天海祐希 (クラブ『ル・ボア』)
鮫島辰三 …… 遠藤憲一 (東京商事)

谷川正治 …… 橋爪功 (満州関東軍の幕僚 & 組織「朔風会」)
竹村勝 …… 中丸新将 (参謀副長)

秋津紀武 …… 中村敦夫 (中将、大陸鉄道司令官)
秋津清輝 …… 佐々木蔵之介 (兄、戦争後僧侶に)
秋津千里 …… 小雪 (娘、陶芸家)

大門一三 …… 原田芳雄 (近畿商事社長)
里井達也 …… 岸部一徳 (近畿商事・東京支社)
兵頭信一良 …… 竹野内豊 (近畿商事・東京支社)
松本晴彦 …… 斉木しげる (近畿商事・東京支社)
小出宏 …… 松重豊 (近畿商事東京支社航空機部)
海部要 …… 梶原善 (近畿商事・NY支社)
塙四郎 …… 袴田吉彦 (近畿商事・LA支社、航空機部)
八束功 …… 山崎樹範 (N.Y支社)
角田保 …… 篠井英介 (新業務本部長)
一丸松次郎 …… 山田明郷 (副社長)
スザンヌ …… エマ・ハワード (近畿商事・N.Y支社)

ナレーション …… 二又一成

叶 …… 品川徹 (陶芸家)
大川一郎 …… 佐々木敏 (政治家)(2話)
鮫島倫敦 …… 石田卓也 (息子)
丹阿弥泰夫 …… 加藤虎ノ介 (千里の見合い相手)

正岡 …… 森下哲夫 (近畿商事・繊維部)
一丸 …… 山田明郷 (近畿商事・総務部)
安蒜公一 …… 団時朗 (日東貿易)
黄乾臣 …… 石橋蓮司 (インドネシア・四大財閥)
竹中莞爾 …… 清水紘治 (国際ロビイスト)
タイピスト …… 高田聖子 (日東貿易)
小牧常務 …… 小野武彦 (千代田自動車)
村山専務 …… 田村亮 (千代田自動車・営業)
森社長 …… 大林丈史 (千代田自動車・社長)
大門藤子 …… 赤座美代子
里井勝枝 …… 江波杏子 (妻)
プラット …… ニコラス・ペタス (フォード・アジア渉外担当)
李錫源 …… 榎木孝明 (韓国・光星物産の会長)
ヘイリー・フォーク …… アレキサンダー・バリ (フォード会長)
ハル江 …… 吉行和子 (N.Yの正の部屋の家政婦)
玉井 …… 浜田晃 (第三銀行・頭取)
崔大統領 …… 鶴田忍 (韓国大統領)
大田 …… 佐渡稔
ジョージ岡 …… 下條アトム
田淵 …… 江守徹 (自由党議員、次期総理と呼び声高し)
鮫島玲子 …… キムラ緑子 (様)
アーリックマン …… ブレット・コールマン
ラディ …… エリック・ボーシック
トーマス …… バリングトン・ウォールミリー
リッカー …… アレクサンダー・ラヴィカ
ウォーレン …… アミニ・クロッシュ

森下哲夫、岐部公好、浅沼晋平、藤田宗久、野仲イサオ
池田道枝、中村まこと、木川淳一、光岡湧太郎、磯部修一
清水厚男、芝崎昇、上谷健一、吉家章人、陣慶昭

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