不毛地帯

原作……山崎豊子『不毛地帯』(新潮社刊)
脚本……橋部敦子
演出……澤田鎌作 / 平野眞 / 水田成英
プロデュース……長部聡介 / 清水一幸

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第14話 百億の賭け

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イランで石油鉱区の国際入札が行われるという情報を掴んだ
兵頭。もしもその鉱区がサルベスタン鉱区ならば、埋蔵量は
投資に見あう以上のものが有るという。壹岐正にそれを告げる
と、やるからには後戻りは出来無いと言われ覚悟は有るのか?
との問いかけにやりたい旨を伝えた兵頭。

昭和45年イランのテヘランに飛ぶ兵頭は、現地職員の東山と
打ち合わせし、ナシリィと接触しようとする。

その頃壹岐正は大門の許可を得ようとして部屋を訪れる。
石油開発には200億円の投資が必要だが、当たれば一千億円の
利益が見込めることを告げる。リスクが高いとして難色を示す
大門に対して、石油公社が50%の資金を援助してくれる事を告げ
許可を得る事になる。
すぐに壹岐正はその話を関東電力の永井に接触し交渉を始める。

一方イラン石油公社で原油販売部長のナシリィと接触するも、
鉱区の場所は教えてもらえない。情報をもらえるまで通うしか
無いのか?もしかすると部長レベルでは鉱区の場所を教えてもら
っていないのかもしれないという。ドクター・キアに
アポを取るのが正確だとして接触を試みる。しかし接触できず。
兵頭の動きを正体不明の怪しげなブローカーが監視しており、
自分を通せばドクター・キアに逢わせるという。しかし無視す
る。取りあえず王族であるバグネジャドとアポを取り紹介状
を書いてくれないかと説得する。しかしここでも足元を見られ
て高額の情報料を要求される。

再び怪しげなブローカーから電話がなる。公示までは時間が
無いとしてもしも取引したけれどグレーの車で行くので指定した
場所に立っていろという。兵頭は様子を見るために車の中で
待機しているが、警察に事情徴収を受けている間にプローカー
はやってきてはすぐに立ち去ってしまう。

壹岐正は国際ロビイストの竹中莞爾の元を訪ねて、攻略法を
尋ねる。

兵頭の元にブローカーから連絡が入り、もうあなた方には
秘密警察が密着することになるので鉱区を手に入れる事は不可
能であろうと言われ取引は無くなる。落ち込んでいる兵頭の
元に壹岐正から連絡があり、パリに居るアグデッサラーム・
ハバシュと逢うよう告げられる。パリ支局の早乙女と会い、
面会の手筈を付けて貰うが、来客中で逢えないと言われてしまう。
早乙女は金を搾り取る作戦だとして交渉が容易ではない事を
知る。そんな中、パリに滞在している紅子と偶然鉢合わせする。
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イランでの鉱区の情報を得るために走り回る壹岐正と兵頭。
くじけずにトライしていく内に、勝利の女神とも言える紅子と
の再会があり、見事道筋を立ててくれるが、いざ投資の段階で
またしても鮫島の工作によって苦汁を飲まされる。
果たして起死回生の策はあるのか?

とても面白い展開ではあるのだが、壹岐正がやっぱり策士らしい
事を何もしていない所が気になる。
貝塚道生の怪しさは昔からで、それに対して何の策も執らず
ただ黙っている所は何なのかと問いたい。
鮫島らが出てきた際に、再逆転のために政治家を援軍に引き入れ
て交渉を有利に運ぶかと思いきや、単に事実を受け入れるだけ
しかなく、鮫島や他の商社の動きを一切把握していない所に
なんとなく能力の限界を見た気がする。

もちろんこれは後の展開の前振りで逆転するか、或いは散々ネタ
フリされているように、石油関連の難しさを知らしめる物で、
鉱区からは一切原油が出なかったとするオチも考えられなくも
ないのだが、それにしてはやや脚本として妙味に欠ける。

これだけ苦労した鉱区の情報を鮫島もあっさりと知り得ていた
事で、壹岐正ら近畿商事の有能さを描く魅力としても欠けている
物がある。

仕事の話と私生活の話のバランスはそれなりに良く取られて
いると思う。仕事上ではライバルの鮫島さえも臆する壹岐正の
実行力・決断力が、恋愛に於いては全くそれらしき影が無く、
未だにグダグダした流れを引きずるところはある意味滑稽だ。

子供にとっては母親は独りしか居ないとする圧力も面白いもの
だし、そんな圧力以上に引かれ合っているものがあるとする
ならばそれはそれで興味深いもの。

ただどちらの展開もなかなか光明が見えない息苦しさを感じる
話だった事は間違いない。

壹岐正 …… 唐沢寿明 (参謀)
壹岐佳子 …… 和久井映見 (妻、市役所で働く)
壹岐直子 …… 多部未華子 (娘)
壹岐誠 …… 高橋平 (息子)
壹岐誠(青年期) …… 斎籐工

川又伊佐雄… 柳葉敏郎 (防衛庁・正の同期)
貝塚道生 … 段田安則 (防衛庁・官房長 ->石油公社)
芦田国雄 … 古田新太 (防衛庁)

久松清蔵 …… 伊東四朗 (政財界)
田原秀雄 …… 阿部サダヲ (毎朝新聞)
浜中紅子 …… 天海祐希 (クラブ『ル・ボア』)
鮫島辰三 …… 遠藤憲一 (東京商事)

谷川正治 …… 橋爪功 (満州関東軍の幕僚 & 組織「朔風会」)
竹村勝 …… 中丸新将 (参謀副長)

秋津紀武 …… 中村敦夫 (中将、大陸鉄道司令官)
秋津清輝 …… 佐々木蔵之介 (兄、戦争後僧侶に)
秋津千里 …… 小雪 (娘、陶芸家)

大門一三 …… 原田芳雄 (近畿商事社長)
里井達也 …… 岸部一徳 (近畿商事・東京支社)
兵頭信一良 …… 竹野内豊 (近畿商事・東京支社)
松本晴彦 …… 斉木しげる (近畿商事・東京支社)
小出宏 …… 松重豊 (近畿商事東京支社航空機部)
海部要 …… 梶原善 (近畿商事・NY支社)
塙四郎 …… 袴田吉彦 (近畿商事・LA支社、航空機部)
八束功 …… 山崎樹範 (N.Y支社)
角田保 …… 篠井英介 (新業務本部長)
一丸松次郎 …… 山田明郷 (副社長)
スザンヌ …… エマ・ハワード (近畿商事・N.Y支社)

ナレーション …… 二又一成

叶 …… 品川徹 (陶芸家)
大川一郎 …… 佐々木敏 (政治家)(2話)
鮫島倫敦 …… 石田卓也 (息子)
丹阿弥泰夫 …… 加藤虎ノ介 (千里の見合い相手)

正岡 …… 森下哲夫 (近畿商事・繊維部)
一丸 …… 山田明郷 (近畿商事・総務部)
安蒜公一 …… 団時朗 (日東貿易)
黄乾臣 …… 石橋蓮司 (インドネシア・四大財閥)
竹中莞爾 …… 清水紘治 (国際ロビイスト)
タイピスト …… 高田聖子 (日東貿易)
大門藤子 …… 赤座美代子
里井勝枝 …… 江波杏子 (妻)
李錫源 …… 榎木孝明 (韓国・光星物産の会長)
ハル江 …… 吉行和子 (N.Yの正の部屋の家政婦)
玉井 …… 浜田晃 (第三銀行・頭取)
崔大統領 …… 鶴田忍 (韓国大統領)
大田 …… 佐渡稔
ジョージ岡 …… 下條アトム
田淵 …… 江守徹 (自由党議員、次期総理と呼び声高し)
鮫島玲子 …… キムラ緑子 (様)

東山 …… 小市慢太郎 (近畿商事・テヘラン支社)
早乙女 …… 池田鉄洋 (近畿商事・パリ支社)
神尾 …… 名高達男 (五菱物産)
有田 …… 大門正明 (五井物産)
永井 …… 潮哲也 (関東電力)

ルベル、シブリ・アフマット、ファーケル・マンスール
アシュクブス・ラヒミ、アンディー・キャバン、井上浩
リカヤ・スズナー、木川淳一、ユセフ・ボラハン

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