不毛地帯

原作……山崎豊子『不毛地帯』(新潮社刊)
脚本……橋部敦子
演出……澤田鎌作 / 平野眞 / 水田成英
プロデュース……長部聡介 / 清水一幸

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第16話 地獄からの招待状

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イランのサルベスタン鉱区の入札の件で日本石油公社から不当
な扱いを受けた壹岐正率いる近畿商事は外資の独立系オリオン
・オイルと手を組み、田淵幹事長に根回しし、そして里井の
事を社外へと追い出した。

寝ていた壹岐正の元に角田から電話が鳴り、急いで新聞を見て
欲しいという。新聞には国益に反した行動だと書かれていた。
毎朝新聞でその記事を書いたのは田原ではなかった。編集長は
田原がかかないから別人に書かせたという。国賊ネタ。田原は
真実が分かったときに書くことを告げる。

近畿商事でもこの件を受けて頭を抱える。壹岐正は石油公社
グループの圧力で入札を諦めさせる事が目的だろうという。
しかし貝塚たちは、佐橋総理の顔に泥を塗った限りこれだけでは
終わらないと踏んでいた。

その頃イランでは、東山と兵頭は入札価格について話し合いが
行われていた。幾らの値が付くのか。国王の動きを探るしかな
く今のところ情報は無いに等しかった。必ず国王の近くには
口添えする側近が居るはず。キーマンとなるべき人物を捜せと
言明する。

そんな中、近畿商事では取引先が外資と組むならば契約を取り
消すという電話がひっきりなしに掛かってきていた。政友党の
長野議員も近畿商事の行動に非難を表明する。

直子はそんな社会の世論を聞いて父親に大丈夫かと尋ねる。
何も間違ったことはしていないと壹岐正は強く答える。
壹岐正の前に突然小出がやってきて心配できたという。全ての
取引先を失うかも知れない状況。今の内に石油公社にわびを入
れて戻った方が良いのではないかと告げられる。仲介してくれ
る人が居るとして、総会屋の林田正道の事を口にする。必要
無いという壹岐正に対して、それならば大門に話すとすると
仕方なく逢うことになる。
林田は国家のことを誰よりも考える人が何故こんな行動に出る
のかと尋ねる。しかし壹岐正は国益のことを考えての行動だと
いう。力にならせてくれないかという林田の申し出に対して、
我々は信念に沿った行動を取っているので必要ないという。
それを聞いていた小出は林田を怒らせることは総理を怒らせる
のも同意だとするが、あくまで信念を貫く態度を見せる。

そんな中、更に近畿商事に対する圧力が増してくる。
融資に対して国際金融局が渋り初め、大蔵省も認可しないかも
しれないという。更に近畿商事が輸入品しているものに対して
国税局や通産局が次々と圧力を掛けてきたのである。壹岐正は
すぐに田淵に面会を求めるもスイスへ会議に出張していて
逢えずにいた。

大門はそんな政府の対応に激怒。里井は去り際に壹岐正の暴走
が招いた結果だと告げ、今に貴方のことも追い出すと告げる。
社長のこと、会社のことを一番に考えていたのが誰なのか分かる
だろうとの事だった。
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石油公社の貝塚道生と鮫島辰三らが手を組んだことで、不当に
追いやられる近畿商事。独自に入札を求めて奔走するも、
官民マスコミが一体となり近畿商事潰しの圧力をかけてくる。
唯一の光明さえも壹岐正にとっては酷なものだった。

ドラマとしてはそれなりに面白く見ているが、壹岐正の葛藤と
いうのが殆ど省略されており、一番盛り上がるべき心情に触れる
所をいっきりぶった切られた感じ。
何故ドラマとして一番の肝になる所をあっさりとした流れで
片づけてしまったのだろうか。

抑留された心の傷はこうもあっさりと兵頭に気持ちをぶつけた
だけで消化されるべきものなのだろうか。

相変わらず人脈を伝っての解決法探しでは有るが、周りにいる
人物を効率的に使うのが参謀だった壹岐正の骨頂なのだろう。
今回光明を見出すために、韓国の大統領とイランの王妃を経由
してようやくたどり着いたという事で、その辺は壹岐正の大物
っぷりが出ているのかも知れない。
総会屋の存在が少々適当すぎる所で、小出に対してももう少し
面白い衝突があると良かったと思うが、この辺の楽しみ
は後に取っておくべきものか。

何にせよソ連に渡らねばドラマは生まれてこない。
苦労して手に入れたものはモスクワに行かないと手に入れられ
ないとの事で、無事帰ってこられるのか。

壹岐正 …… 唐沢寿明 (参謀)
壹岐佳子 …… 和久井映見 (妻、市役所で働く)
壹岐直子 …… 多部未華子 (娘)
壹岐誠 …… 高橋平 (息子)
壹岐誠(青年期) …… 斎籐工

川又伊佐雄… 柳葉敏郎 (防衛庁・正の同期)
貝塚道生 … 段田安則 (防衛庁・官房長 ->石油公社)
芦田国雄 … 古田新太 (防衛庁)

久松清蔵 …… 伊東四朗 (政財界)
田原秀雄 …… 阿部サダヲ (毎朝新聞)
浜中紅子 …… 天海祐希 (クラブ『ル・ボア』)
鮫島辰三 …… 遠藤憲一 (東京商事)

谷川正治 …… 橋爪功 (満州関東軍の幕僚 & 組織「朔風会」)
竹村勝 …… 中丸新将 (参謀副長)

秋津紀武 …… 中村敦夫 (中将、大陸鉄道司令官)
秋津清輝 …… 佐々木蔵之介 (兄、戦争後僧侶に)
秋津千里 …… 小雪 (娘、陶芸家)

大門一三 …… 原田芳雄 (近畿商事社長)
里井達也 …… 岸部一徳 (近畿商事・東京支社)
兵頭信一良 …… 竹野内豊 (近畿商事・東京支社)
松本晴彦 …… 斉木しげる (近畿商事・東京支社)
小出宏 …… 松重豊 (近畿商事東京支社航空機部)
海部要 …… 梶原善 (近畿商事・NY支社)
塙四郎 …… 袴田吉彦 (近畿商事・LA支社、航空機部)
八束功 …… 山崎樹範 (N.Y支社)
角田保 …… 篠井英介 (新業務本部長)
一丸松次郎 …… 山田明郷 (副社長)
スザンヌ …… エマ・ハワード (近畿商事・N.Y支社)
武藤 …… 中原丈雄 (鉄鋼部)

ナレーション …… 二又一成

叶 …… 品川徹 (陶芸家)
大川一郎 …… 佐々木敏 (政治家)(2話)
鮫島倫敦 …… 石田卓也 (息子)
丹阿弥泰夫 …… 加藤虎ノ介 (千里の見合い相手)

正岡 …… 森下哲夫 (近畿商事・繊維部)
一丸 …… 山田明郷 (近畿商事・総務部)
安蒜公一 …… 団時朗 (日東貿易)
黄乾臣 …… 石橋蓮司 (インドネシア・四大財閥)
竹中莞爾 …… 清水紘治 (国際ロビイスト)
タイピスト …… 高田聖子 (日東貿易)
大門藤子 …… 赤座美代子
里井勝枝 …… 江波杏子 (妻)
李錫源 …… 榎木孝明 (韓国・光星物産の会長)
ハル江 …… 吉行和子 (N.Yの正の部屋の家政婦)
玉井 …… 浜田晃 (第三銀行・頭取)
崔大統領 …… 鶴田忍 (韓国大統領)
大田 …… 佐渡稔
ジョージ岡 …… 下條アトム
田淵 …… 江守徹 (自由党議員、次期総理と呼び声高し)
鮫島玲子 …… キムラ緑子 (様)

東山 …… 小市慢太郎 (近畿商事・テヘラン支社)
早乙女 …… 池田鉄洋 (近畿商事・パリ支社)
神尾 …… 名高達男 (五菱物産)
有田 …… 大門正明 (五井物産)
永井 …… 潮哲也 (関東電力)
林田正道 …… 梅野泰靖 (総会屋)

児玉頼信、リチャード・ウィルソン、アハマド・アリ、木川淳一
松田貴盛、カリム・キアニ、笠松伴助、コーチ・カルダン
アリアナ・チェパック、松元真一郎、桜庭亮平、陣慶昭


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