不毛地帯

原作……山崎豊子『不毛地帯』(新潮社刊)
脚本……橋部敦子
演出……澤田鎌作 / 平野眞 / 水田成英
プロデュース……長部聡介 / 清水一幸

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第17話 暗号と密約

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紅子の協力も有って、サルベスタン鉱区の入札価格を知るドク
ター・フォルジとの面会を取り付けることに成功するが、彼は
面会場所をモスクワに設定する。壹岐正は激しい拒絶感を示し
ながらも兵頭と共にモスクワに渡ることになる。

壹岐正はホテルに到着する部屋中を調べ上げて盗聴器が無いか
探る。一度電話が鳴りそれを受け取るが会話もなく切れてしま
う。兵頭の所にも同様の電話が有ったことを告げると、壹岐正
は恐らく空港からホテルに直行したかどうか調べるための行動
の様だと語る。

ドクター・ペトロシャンの屋敷で逢うことになる。

その頃同時に入札のために日本の経済界の協力を経て、イラン
国王に働きかけていた東京商事の鮫島。イランへの経済協力へ
の経済ミッションは成功し、マスコミでも日本公社グループが
入札に優位に立っている事を報道される。しかし鮫島は、近畿
商事が一切行動を起こしていないことを不気味に感じていた。
イラン常駐の石油部長が消えている事を知り益々不安になる。

その頃谷川は直子の元にお裾分けのリンゴを持って訪問する。
直子は父親が反対を押しきりモスクワに渡ったことを告げると
その事は聞いていると谷川。モスクワ抑留の件は既に20年前の
事で、自分の仲間も抑留後に4人がモスクワの地を踏んだが
いずれも無事に帰還した事を告げて彼女を安心させる。

ドクター・ペトロシャンの屋敷でフォルジが来るまでの間、
兵頭は自分が手に入れたフォルジの経歴を壹岐正に語る。
フォルジはイスサファハンの地で一族を殺された過去があること
を知る。

鮫島はホテルの清掃婦に高額のチップを与える変わりに、兵頭
の泊まっている部屋を見せて欲しいと頼む。兵頭の部屋を捜索
すると戸棚のスキマに一枚のメモが残されていた。筆圧を調べて
見るとそこにはCCCPと書かれていた。
すぐに鮫島は直子に電話し、意図的に壹岐正に大変な事態が
起こっていることを告げると、直子はモスクワに行っていること
をあっさりと話してしまう。

いざ壹岐正はフォルジと面会する。
すると壹岐正は初対面の相手に、出来ればイスサファルの地で
逢いたかった事を告げる。相手を不快にさせる壹岐正だが、
それだけ私にとってもモスクワの地が大変なもので、どんな気
持ちでここに来たのか分かるだろうと訴える。
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決死の思いでモスクワに渡る壹岐正と兵頭。
果たして無事情報を入手して鉱区の権利を勝ち取ることが出来る
のか。

イマイチ細部については良く解らない展開だった。
経済ミッションの件はいつの間にか忘れられた存在にしかならず、
フォルジが要求した戦闘機の件も言葉だけでさらりと処理された。
詰めの段階で、鮫島らは残りの5分に上限額を提示したのに
何故近畿商事はそれを知ることができたのか。
金額のマジックがどうも簡単なようで伝わりづらく、その辺の
駆け引きに於ける壹岐正の頭脳戦が見られなかった所は残念。

ただ壹岐正に関しては、フォルジとのファーストインプレッシ
ョンで上手く存在感を発揮できたところが全てなのかも知れない。

人脈を最大限に発揮するのが壹岐正ならば、姑息な手段を執り
続けるのが鮫島だ。
ただこの人物、最終的には破滅すれば良いのにと思うほど
憎たらしい気がせず何処か愛着のある悪キャラで、寧ろ貝塚
失脚の方が展開的には爽快感を感じるものだった。

もう一人の不気味キャラクターである小出宏が意外と思わせ
ぶりな存在だけで肩透かしに終わった感があるところも残念だ。
壹岐正に対するこの人の心情がイマイチ掴みづらい。


壹岐正 …… 唐沢寿明 (参謀)
壹岐佳子 …… 和久井映見 (妻、市役所で働く)
壹岐直子 …… 多部未華子 (娘)
壹岐誠 …… 高橋平 (息子)
壹岐誠(青年期) …… 斎籐工

川又伊佐雄… 柳葉敏郎 (防衛庁・正の同期)
貝塚道生 … 段田安則 (防衛庁・官房長 ->石油公社)
芦田国雄 … 古田新太 (防衛庁)

久松清蔵 …… 伊東四朗 (政財界)
田原秀雄 …… 阿部サダヲ (毎朝新聞)
浜中紅子 …… 天海祐希 (クラブ『ル・ボア』)
鮫島辰三 …… 遠藤憲一 (東京商事)

谷川正治 …… 橋爪功 (満州関東軍の幕僚 & 組織「朔風会」)
竹村勝 …… 中丸新将 (参謀副長)

秋津紀武 …… 中村敦夫 (中将、大陸鉄道司令官)
秋津清輝 …… 佐々木蔵之介 (兄、戦争後僧侶に)
秋津千里 …… 小雪 (娘、陶芸家)

大門一三 …… 原田芳雄 (近畿商事社長)
里井達也 …… 岸部一徳 (近畿商事・東京支社)
兵頭信一良 …… 竹野内豊 (近畿商事・東京支社)
松本晴彦 …… 斉木しげる (近畿商事・東京支社)
小出宏 …… 松重豊 (近畿商事東京支社航空機部)
海部要 …… 梶原善 (近畿商事・NY支社)
塙四郎 …… 袴田吉彦 (近畿商事・LA支社、航空機部)
八束功 …… 山崎樹範 (N.Y支社)
角田保 …… 篠井英介 (新業務本部長)
一丸松次郎 …… 山田明郷 (副社長)
スザンヌ …… エマ・ハワード (近畿商事・N.Y支社)
武藤 …… 中原丈雄 (鉄鋼部)

ナレーション …… 二又一成

叶 …… 品川徹 (陶芸家)
大川一郎 …… 佐々木敏 (政治家)(2話)
鮫島倫敦 …… 石田卓也 (息子)
丹阿弥泰夫 …… 加藤虎ノ介 (千里の見合い相手)

正岡 …… 森下哲夫 (近畿商事・繊維部)
一丸 …… 山田明郷 (近畿商事・総務部)
安蒜公一 …… 団時朗 (日東貿易)
黄乾臣 …… 石橋蓮司 (インドネシア・四大財閥)
竹中莞爾 …… 清水紘治 (国際ロビイスト)
タイピスト …… 高田聖子 (日東貿易)
大門藤子 …… 赤座美代子
里井勝枝 …… 江波杏子 (妻)
李錫源 …… 榎木孝明 (韓国・光星物産の会長)
ハル江 …… 吉行和子 (N.Yの正の部屋の家政婦)
玉井 …… 浜田晃 (第三銀行・頭取)
崔大統領 …… 鶴田忍 (韓国大統領)
大田 …… 佐渡稔
ジョージ岡 …… 下條アトム
田淵 …… 江守徹 (自由党議員、次期総理と呼び声高し)
鮫島玲子 …… キムラ緑子 (妻)

東山 …… 小市慢太郎 (近畿商事・テヘラン支社)
早乙女 …… 池田鉄洋 (近畿商事・パリ支社)
神尾 …… 名高達男 (五菱物産)
有田 …… 大門正明 (五井物産)
永井 …… 潮哲也 (関東電力)
林田正道 …… 梅野泰靖 (総会屋)
ドクター・フォルシ …… アルフレッド・ベナベント

山井綱雄、リチャード・ウィルソン、アハマド・アリ
ディアナ・アルファロ、大野慶太、マルティン、外園大
カリム・キアニ、コーチ・カルダン、ダリル・マジド
松田貴盛


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