不毛地帯

原作……山崎豊子『不毛地帯』(新潮社刊)
脚本……橋部敦子
演出……澤田鎌作 / 平野眞 / 水田成英
プロデュース……長部聡介 / 清水一幸

http://wwwz.fujitv.co.jp/fumouchitai/index.html


第18話 汚れた英雄

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サルベスタン鉱区の落札に成功する近畿商事は、日本石油公社
からの援助もあって掘削を開始する。
開始から3年8ヶ月後、壹岐正は副社長になり塙をアメリカから
呼び寄せて秘書にし、より大きな権限を持つようになる。
大門はなんとか会社での自分の立場を守ろうと、かつて開拓して
大儲けした綿花相場にのめり込む。
兵頭はエネルギー部門を統括するが、未だにサルベスタン鉱区
からは一滴も石油は出てこなかった。
4本目の井戸が開始されて暫く経つが、現地からテレックスが
届き、この4号井は危険だとの作業員の話を受けて仕方が無く
廃坑を決定することになる。兵頭はわざわざイランまで足を
運んだが全くの無駄骨。帰りの飛行機の中で、偶然Dr.フォルジ
と同じ機体に乗り合わせていた。彼は無線を傍受して近畿商事
が行っている掘削の現状を詳しく知っていた。5号井も必ず
開始し、それが失敗しても成功するまで掘り続けろと要求して
くる。

社内で石油事業に批難が高まっていた。
壹岐正は石油公社の新しい総裁・山下に支援の継続を願い出る
が、これ以上は無駄だと判断され支援の打ちきりを宣言される。

その頃社内では大門が綿花部門の伊原から株で26億を存在を
出していることを報告される。
壹岐正は緊急対策会議を招集して、石油事業に於ける資金捻出
の策を練るべきだと主張。しかし大門はオイルショック以前なら
ばまだしも、試掘だけで50億円の損失が出ている上、これ以上
は銭が持たないとしてギブアップを宣言される。5号井はデータ
上高い確率で石油が出ると告げ、かつての大門ならば5号井を
掘ると言ったはずだと告げると、お前こそ妙な国益論で金を
浪費していると告げられる。

イラン国王が石油開発の取り下げを許さない事を兵頭は告げる。
壹岐正は石油開発に於いては決して手を汚すまいと誓っていたが
今は手を汚してでも石油事業を継続しなければならないと悟る。

竹中に相談に行くと、政府からの働きかけを求めるべきで、
その為には関東電力側から頼んで貰うのが良いのではないかと
いう。イラン国王が石油開発の継続を強く望んでいることを
告げ、田淵にこの一件を有望だと話して欲しいと竹中に告げる。
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オイルショックによりあらゆる国内の指標が低下していく中で、
未だに大金をはたいて掘削権を得たサルベスタン鉱区は、何の
進展も見せずにいた。
それでもなんとか継続するために、壹岐正は汚いことはやらない
と誓った禁断の事に手を付けていく。

今回は全体的に右肩下がりの話なので、終始暗澹とするものが
有った。一つとして光明を見ることなく、経済・業績の失墜は
人間関係に於いてもギスギスしたものを産んでしまうという
悪循環が描かれる。

視聴者ならば最後は成功を掴むと思っている訳だけど、これで
最後まで失敗を繰り返していくとするならばある意味視聴者を
裏切る意外性で面白いかも知れない。

一発逆転には石油を掘り当てることにあるが、それを掘り当てて
しまうとやっぱりドラマだなと思わせるものも有り、人生が上手
く行きすぎる感じも受ける。

壹岐正の人生の師である谷川が亡くなった事で一つの時代の終
わりを感じさせるものだが、あんまり登場しなかったことも有っ
てあんまり寂しさを覚えるものでもなかったかな。

相変わらず千里が宙ぶらりんの所を行き来しているところは
結構違和感がある。というか壹岐正と大門ばかりが年を取って
いき、周りの人物はあんまり月日を感じさせない部分にこそ
違和感があるかも。

壹岐正の息子は何時かは効果的な所で出てくると思っていただけ
に、最後まで和解もせず、父親の生き方を否定したままだった
のかなと思うとちょっと切ない。


壹岐正 …… 唐沢寿明 (参謀)
壹岐佳子 …… 和久井映見 (妻、市役所で働く)
壹岐直子 …… 多部未華子 (娘)
壹岐誠 …… 高橋平 (息子)
壹岐誠(青年期) …… 斎籐工

川又伊佐雄… 柳葉敏郎 (防衛庁・正の同期)
貝塚道生 … 段田安則 (防衛庁・官房長 ->石油公社)
芦田国雄 … 古田新太 (防衛庁)

久松清蔵 …… 伊東四朗 (政財界)
田原秀雄 …… 阿部サダヲ (毎朝新聞)
浜中紅子 …… 天海祐希 (クラブ『ル・ボア』)
鮫島辰三 …… 遠藤憲一 (東京商事)

谷川正治 …… 橋爪功 (満州関東軍の幕僚 & 組織「朔風会」)
竹村勝 …… 中丸新将 (参謀副長)

秋津紀武 …… 中村敦夫 (中将、大陸鉄道司令官)
秋津清輝 …… 佐々木蔵之介 (兄、戦争後僧侶に)
秋津千里 …… 小雪 (娘、陶芸家)

大門一三 …… 原田芳雄 (近畿商事社長)
里井達也 …… 岸部一徳 (近畿商事・東京支社)
兵頭信一良 …… 竹野内豊 (近畿商事・東京支社)
松本晴彦 …… 斉木しげる (近畿商事・東京支社)
小出宏 …… 松重豊 (近畿商事東京支社航空機部)
海部要 …… 梶原善 (近畿商事・NY支社)
塙四郎 …… 袴田吉彦 (近畿商事・LA支社、航空機部)
八束功 …… 山崎樹範 (N.Y支社)
角田保 …… 篠井英介 (新業務本部長)
一丸松次郎 …… 山田明郷 (副社長)
スザンヌ …… エマ・ハワード (近畿商事・N.Y支社)
武藤 …… 中原丈雄 (鉄鋼部)

ナレーション …… 二又一成

叶 …… 品川徹 (陶芸家)
大川一郎 …… 佐々木敏 (政治家)(2話)
鮫島倫敦 …… 石田卓也 (息子)
丹阿弥泰夫 …… 加藤虎ノ介 (千里の見合い相手)

正岡 …… 森下哲夫 (近畿商事・繊維部)
一丸 …… 山田明郷 (近畿商事・総務部)
安蒜公一 …… 団時朗 (日東貿易)
黄乾臣 …… 石橋蓮司 (インドネシア・四大財閥)
竹中莞爾 …… 清水紘治 (国際ロビイスト)
タイピスト …… 高田聖子 (日東貿易)
大門藤子 …… 赤座美代子
里井勝枝 …… 江波杏子 (妻)
李錫源 …… 榎木孝明 (韓国・光星物産の会長)
ハル江 …… 吉行和子 (N.Yの正の部屋の家政婦)
玉井 …… 浜田晃 (第三銀行・頭取)
崔大統領 …… 鶴田忍 (韓国大統領)
大田 …… 佐渡稔
ジョージ岡 …… 下條アトム
田淵 …… 江守徹 (自由党議員、次期総理と呼び声高し)
鮫島玲子 …… キムラ緑子 (妻)

東山 …… 小市慢太郎 (近畿商事・テヘラン支社)
早乙女 …… 池田鉄洋 (近畿商事・パリ支社)
神尾 …… 名高達男 (五菱物産)
有田 …… 大門正明 (五井物産)
永井 …… 潮哲也 (関東電力)
林田正道 …… 梅野泰靖 (総会屋)
ドクター・フォルシ …… アルフレッド・ベナベント
山下 …… 矢島健一 (石油公社)

岸博之、池田道枝、中村まこと、古家章人、シェリアールカーン
笠松伴助、上ノ茗真二、シャフロウバイドウタエワ


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