外事警察

原案:麻生幾
脚本:古沢良太
演出:吉村芳之、堀切園健太郎、梶原登城

http://www.nhk.or.jp/dodra/gaiji/


第1話 テロリスト潜入!

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国際テロリストを相手にした極秘捜査班・・外事警察。

3ヶ月前、住本健司と有賀正太郎は、CIAから送られてきた文章
に目を通す。そこにはコードネームFISHと呼ばれる爆破テロの
主犯が日本に居る可能性を示すものだった。
ちょうど国際会議が日本で有りそうなので、標的となりうる
のではないかと語り合う。またしてもCIAのガセの可能性も・・

豊島南署の松沢陽菜と久保田岳はこの日、婦女暴行事件の犯人
を追って巡回中に怪しげな中東風の人物を目撃する。
取りあえず職務質問を掛けようと陽菜は車から降りて近づくと
不意に彼女に近づき、道案内を頼む男性(金沢涼雅)が居た。
更に車にいた岳も住本健司に殴られその場に倒れる。

警視庁ではテロ対策の必要性を訴え、SATの訓練を内閣官房長
の松村久美の前で披露する。しかし久美はテロの恐怖に備える
というが、日本は標的に成り得ないとして彼女の説得に失敗
する。

陽菜はこの日辞令を受け、所轄から公安部の外事4課へと研修
という名目で参加することになる。係長の滝沢大聖から担当は
住本だと言われる。陽菜は指示を待っていると、住本から連絡
が入り早速外回りの仕事へと出向く。
すると住本たちが標的としている人物・ラモン・バルガスは
先日職務質問をしようとしていた人物であることに気がつく。
その時不自然に声を掛けてきた人物が外事4課の職員であった
事を知る。ラモンはFISHに繋がる有力な人物。取りあえず
気づかれないように金沢と陽菜で尾行することになるが、
住本の指示はすぐに尾行から外れろという指示だった。それ
以降、五十嵐彩音、久野秀真、大友遥人、森永卓也、金沢涼雅
らが交互にラモンを追跡し、詳細に購入した物などを報告する。

署に戻り互いに報告を行う。陽菜はすぐに尾行を外された理由を
住本に尋ねると、お前の尾行は警察官の尾行の仕方だと言われる。
外事で求められるのは、存在を知られない事だという。陽菜は
今日バルガスが接触した人物達の基礎調査を行えと告げられる。
一日の任務が終わると、陽菜は所轄の仲間である久保田と食事
しそこで愚痴をこぼす。どうせ外事なんてCIAの雑用処理だろう
という。

翌日、バルガスが車で男と接触し、その人物と喫茶店"峰"で
逢う事を知る。外事の工作員は二人をマークする。接触した
相手とは谷村博だった。住本は陽菜から基礎調査した結果を
尋ねるも陽菜の情報は使い物にならなかった。他の工作員が
詳細に調べており、谷村は精密機器メーカーの経営者で、主に
ガス探知機で知られる企業だという。更に爆発物検知器も開発
している事から、バルガスの目当てはこれだと判明する。
住本はフェリーに乗り込み、ニケ渡辺からバルガスと彼に接触
する外国人の調査を依頼。しかし敵は大きすぎるとして難色を
示す。
そんな中、谷村には過去会社の製品でガス爆発事故を起こして
いる事を知り、それ以来会社の経営が悪化していること。負債
は3000万円有ることが分かる。そして事故の被害者遺族の佐田
由紀子に定期的に金を送っている事が分かる。
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特定の市民を守る警察官ではなく、国家を犯罪から守る外事
警察。そんな組織に飛び込んだ所轄の警察官・松沢陽菜は、
大儀のために一介の市民を犠牲にしていく様な組織にどんな
思いをしていくのか。

高性能な機械を使って証拠を集め、捜査を煮詰めていく様な
ものではなく、あくまで人が動き、組織としての規律を遵守
しながらもチームワークによって目標物を捕らえていく。

日本を転覆させようとするテロ組織が果たして存在するのか。

キャスティングがバッチリはまっている感じの内容で、初回は
一介の警察官とはどのように違うのかを描き出す内容だった。
目の前で起ころうとしている自殺を静観しなければならない
辛さ。そして家族が崩壊していく現場を予期しながらも、未然に
犯罪を防止することのできない辛い状況に飛び込んだ松沢陽菜。

所轄の刑事・久保田岳と徐々に温度差を感じていく辺りの
演出はとても面白く描かれているし、シナリオ自体もよく考察
しているなという印象を受ける。

政治家が国家テロに対して無関心を装おう中、警視庁が国とは
独立したような形で国を守るために奔走する。
近年日本版CIA設立がうたわれている中でのタイムリーなネタ
と言っても良いのかも知れないね。

外交特権に守られている要人をどの程度拘束し、捜査権を行使
できるのかに於いてもとても興味深い内容だった。

ドラマでは情報の入手経路などは詳細に描かれるものがなかっ
たが、やはり一番求められているのは情報で、今回ターゲット
となる谷村博にしてもラモン・バルガスにしても、瞬時に彼らの
家族構成やら過去の経歴などが求められたし、そこから犯罪との
接点を上手く結びつけるものだった。

長年の捜査で能力を開発してきた捜査官の一人・五十嵐彩音が
辞めて新しい捜査官の松沢陽菜が就任する。
ここにいると心が荒むわとしていたけれど、今回の内容を見れば
確かにその意味が伝わるような内容だった。

人の弱味につけ込んで不幸を利用するのが我々の仕事だという
住本。そんな彼にも信用できない部分が有るようだし、過去も
存在してきそうだ。
初回なので伏線が沢山張り巡らされて何が何やら分からない状況
だったが、徐々にその辺の流れもまとまっていくことだろう。
このNHKの21時台のドラマはこういう警察もののドラマを色々と
突き詰めていって欲しいね。

住本健司 …… 渡部篤郎 (警視庁公安部外事4課主任)
下村愛子 …… 石田ゆり子 (おしどり夫婦と評判の理容店の妻)
松沢陽菜 …… 尾野真千子 (所轄から突然外事4課)
倉田俊貴 …… 遠藤憲一 (警備企画課理事官)
村松久美 …… 余貴美子 (内閣官房長)
有賀正太郎 …… 石橋凌 (警視庁警備局長)

金沢涼雅 …… 北見敏之 (外事4課)
大友遥人 …… 山本浩司 (外事4課)
森永卓也 …… 滝藤賢一 (外事4課)
五十嵐彩音 …… 片岡礼子 (外事4課・今回で引退?)
滝沢大聖 …… 斎籐歩 (係長)

久保田岳 …… 平岳大 (豊島南署)
住本絵美 …… 奥貫薫 (健司の妻)
住本由樹 …… 稲垣鈴夏 (健司の娘)
住本栄司 …… 堀部圭亮 (元外事1課・殉職)
ニケ渡辺 …… ルドルフ・マッカラン (情報協力者)
幼少時代の住本健司 …… 北村匠海

谷村博 …… 田口トモロヲ (50歳・精密機器メーカー・谷村TEC)
ラモン・バルガス …… エディ・サイトウ (ゴルビア大使館・書記官)
佐田由紀子 …… 吉田羊 (ガス爆発事故の遺族)
相馬裕輔 …… 陰山泰 (怪しいファンド)
ジェリオ・ロッシ …… チェホ・イムレ
バーの外国人 …… ロア・アラン
塚口良子 …… 村上寿子 (婦警)

村瀬香奈、後藤公太、山中敦史、羽柴真希
矢代奨馬、中平快人

評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

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