仁 -JIN-

脚本/森下佳子
演出/平川雄一朗、山室大輔、川嶋龍太郎
プロデュース/石丸彰彦、津留正明

http://www.tbs.co.jp/jin2009/


第1話 時空を超えた愛と命の感動物語〜現代の脳外科医が激動
の幕末へ…歴史の針が今、動き出す!人は人でしか救えない!!

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当たり前だと思っていること、それを突然失ってしまったの
ならばどうするのか。

東都大付属病院の南方仁は腕の立つ脳外科医として有名だが、
恋人の未来の手術に失敗して以来、危険な手術は全て同僚の
杉田医師に任せていた。この日も患者の玉田がこれまでよくし
てくれた仁に手術をお願いするも、杉田に回してしまう。
研修医の野口はそれを見て、信頼されている南方先生が執刀
しないのかと詰め寄る。
野口は納得できないでいると、看護師の博美は南方と未来との
話を聞かせる。3年前から付き合っていた二人は結婚間近で
未来に脳幹部に腫瘍が見つかり、絶望的な症状だったが南方は
執刀すると言い出したという。未来本人も例え失敗しても礎と
なれるのであれば本望だという事で手術に踏み切り成功したか
に思えた。患部は取り去った後、動脈を傷つけ大量出血により
植物状態に至ったという。

そんな中公園で乱闘事件の有った患者の脳に腫瘍が見つかり
除去することになる。開頭してみると腫瘍だと思っていた所
に退治様奇形腫と呼ばれる胎児の姿があった。珍しい症例で
早速保管することになる。
刑事が患者の状況を聞きに来るが何一つ身分の分かるものが
無く何故襲われたのかさえも分からないという。看護師の
梅子に何かあったら伝えて欲しいと告げてその場を後にする。
そんな中、手術に執刀しようとしていない南方を気にして、
杉田は奇形腫の件で論文を書くよう薦める。そして机の中に
入っていたという未来と南方が写った手術前の写真を手渡さ
れる。

仁は最近頭痛に悩まされる事が多かった。
この日も時折頭を抱える状況が多かった。そんな中奇形腫を
見つけた患者が病室から居なくなる。
仁は非常階段を調べると彼が奇形腫を持って何処かに行こうと
していた。"戻るあの世界へ"。そう告げる患者に対してそれを
止めようとした仁は階段から転げ落ちてしまう。

気がついた仁は林の中にいた。あの患者が持ち逃げしようと
していた医療用のバッグが手元に落ちている。
人の声が聞こえるためにそちらに向かうと、武士と浪人が
斬り合う姿を見つける。武士は橘恭太郎だった。浪人が
仁の姿を見つけて斬りかかろうとした際助けるが、恭太郎も
頭部を傷つけられ致命傷を負う。駆けつけた水戸藩の武士
たちに恭太郎は自宅まで運ばせると、すぐに手術が必要だと
いう。脳から血を取り出すために用意したのは、大工道具と
沸騰した湯、そして着物をガーゼに見立てたものだった。
しかし医者だと言っても恭太郎の母・栄は信じようとはしない。
説明がなければ納得しないという栄。医者を語った人殺しでは
ないのかという栄に対して、なんとか理解を求める。
もし恭太郎を殺せば貴方を殺して自害するという栄に対して、
それを了承し変わりに何があっても取り乱さないよう釘を差す。
なんとか咲に手助けして貰い縫合を終えた。三日無事に過ごす
事が出来れば助かるだろうと告げるが、目が覚めるまでは信じ
られないという栄だった。
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ちょっと変わった感じのタイムスリップもの。
ドラマとしては単に昔の人を助けてヒーローになるというもの
ではなく、逆に道具や施設が無い状況下に置かれたときに自分
の未熟さを実感していくという良くできた内容だった。

私のように時代劇が苦手な人でも十分に耐えうるだけのドラマ
であり、俳優人の豪華さ、そして江戸の街並みの再現と一話目
にして引きつけられる要素が多数存在していた。

近年フュージョン系の時代劇が流行っている韓国ドラマだが
それに負けないだけの魅力を兼ね備えている。

何と言ってもドラマで目を見張るものと言えば、着物の持つ
艶やかさが上手く表現されており、町人の文化が面白い様
描かれる。僅か150年くらい前の出来事なのに、全く違う異国
な感じが逆に新鮮に映る。

時代劇が苦手な人にとって、独特の語り口が敷居を高く
しているが、現代人と融合するととても丁寧な感じで好感が
もてる。
当然ながら現代的感覚とのギャップがドラマを最も楽しく
している要素であり、江戸の人々にとってはまさに魔法にかか
った様な出来事の再現であろう。

坂本龍馬役を演じる内野聖陽の癖のある演技がまた興味を誘う
ものがあるが、勝海舟暗殺未遂の件をどういう解釈で描いて
いくのか。

未来を歴史を変える事への罪悪感と同時に頼りにされるであろう
医療技術をどう振る舞っていくのか。

問題は原始的な医療機器を使って何処まで腕を発揮できるのかも
興味深い。

また吉原の役割がどのように関わってくるのか。

そして何と言ってもあの奇形腫とそれを持つ患者の存在は何なの
かという事だね。

それにしても頭蓋骨に穴を開けるというのは当時の人でなくても
十分インパクトがあるもの。トンカチとノミでコツコツ目の前で
やられた日には止めない訳にはいかないだろうという感じ。

まぁ細かいところを言えばキリが無さそうなドラマだが、そういう
のを一つ一つ指摘していくのも有る意味面白いドラマなのかも
しれない。

南方仁 …… 大沢たかお (脳外科医)
野風・友永 未来 (2役) …… 中谷美紀 (植物状態)
橘咲 ……綾瀬はるか (橘家の長女)

橘恭太郎 …… 小出恵介 (咲の兄)
佐分利祐輔 …… 桐谷健太 (関西出身の若く優秀な医師)
山田純庵 …… 田口浩正 (西洋医学所の医師)
タエ …… 戸田菜穂 (枝豆や卵を売り)
喜市 …… 伊澤柾樹 (タエのひとり息子)
初音 …… 水沢エレナ (吉原・玉屋の若い花魁)
茜 …… 橋本真実 (茶屋の看板娘。)

緒方洪庵 …… 武田 鉄矢 (最高峰の蘭方医であり、西洋医学所の頭取)
新門辰五郎 …… 藤田まこと (火消し「を組」の親分)
夕霧 …… 高岡早紀 (野風の姐さん女郎、梅毒)
鈴屋彦三郎 …… 六平直政 (吉原の大見世・鈴屋の廓主)
橘栄 …… 麻生祐未 (咲と恭太郎の母で未亡人)
勝海舟 …… 小日向文世 (坂本龍馬の師)
坂本龍馬 …… 内野聖陽 (豪快で女好きな土佐出身の脱藩浪人)

野口元 …… 山本耕史 (研修医)
杉田 …… 戸次重幸 (脳外科医)
博美 …… 原千晶 (看護師)

平山浩行、斉木テツ、中江大樹、田窪一世、青木和代、吉野正弘
椎名泰三、児玉頼信、森喜行、藤本洋子、澤田誠志、松井工
松尾勝久、勝光徳、高田裕司、津田健次郎、菊池真之
神野崇、中村泰三、田中啓三、中田優子、偉藤厚次、内藤浩次
渡仲裕蔵、辻義人、八木瑛美莉、高瀬岬

評価:★★★★★★★★☆☆ (8.0)

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