仁 -JIN-

脚本/森下佳子
演出/平川雄一朗、山室大輔、川嶋龍太郎
プロデュース/石丸彰彦、津留正明

http://www.tbs.co.jp/jin2009/


第2話 命を救う事の悲劇

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仁は現代の世界で有った謎の男が坂本龍馬で有ったのでは無い
かと考える。目の前の男が龍馬だと知ると、思わず歴史を知る
仁は乙女さんという姉が居るのではないか?と聞いてしまう。

そんな中、江戸の町にコロリの恐怖が再び訪れる。かつて10
万人以上が亡くなった悲劇の再来かとして西洋医学研究所でも
緒方と伊東玄朴は対策のために語り合う。緒方が作成した
"虎狼痢治準"を配布すべきではないのかと。

一方千葉道場に身を寄せる坂本龍馬は、志士たちと共に国を
守るために何をすべきかで語り合う。麟太郎(勝海舟)を討つ事
こそ国のためだとする稲葉たちは、彼の首を取ろうと結論づけ
る。

翌日咲は仁に色々と尋ねる。消毒に関すること。毒とはどうい
うものなのかということ。彼女は仁のことを手伝うと言い出し、
先生の持つ知識が広まれば沢山の人が助かると告げる。
しかしそれを聞いていた母・栄は仁に医学の道へは進めないで
欲しいと頼む。

仁はかつて恋人の未来とバタフライエフェクトについて語り合
った事を思い出す。ここで医療行為を行い続けると歴史を変え
てしまうことになるのかも知れない。死ぬはずの人を生かす
のは運命を変えることだとして、ここではなるべく存在感を
消して、目立たぬよう生きるべきだと考える。

そんな中両国や浅草でもコロリが出始めたことを受けて緒方は
対策を求めて仁の元にやってくる。佐分利祐輔から、仁は見た
事もないような医術を駆使して病人を治した事を聞いたからだ
った。しかし仁はコロリについては何も知らない事。そして自
らに記憶が無い事を告げて諦めさせようとするが、仁の矛盾
した発言に信用できる人物なのか不審に思われる。
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初回の勢いそのままにとても面白い話だった。

現代用語と当時の言葉の違いについて一話目では比較的丁寧に
その違いを描いていたが、二話目に於いては邪魔くさい要素と
なったのか結構遠慮無しに言葉を発して、相手側にすんなりと
受け入れられていたりする。まぁこの辺の変換がないからこそ
ドラマは楽しめている部分も有るのだけどね。

今回はコロリについて。
確かに仁の存在は、黒船以上に怪しい。
藁にも縋りたい緒方の気持ちが態度となって現れているし、
逆に不審に思う気持ちも描かれている。
緒方こそ最高の医師だと思っている弟子達にとっては、仁の
存在程怪しい者はなく、警戒心を露わにするのも当然だったと
思う。

歴史を変えてしまうのではないかという主人公の疑問も分かる
が、まずは生き存える為に何をすべきかを考えるのが人間では
無いだろうか。

これまで人の命、患者の命に対してそれ程の情を持ったことが
無かったが、久しぶりにそんな感情を持ち始める仁。
社会や医療の分野に於いてハイテク化・近代化される事で一つ
一つの命の重みが希薄になっていたものが、この世界に於いて
は一つの命がとても大切なものに思えてくるところが不思議だ。
それだけ医師と患者の距離が近いという事もあるのかな。

特別なスキルを持った人物が救世主のように描かれ、人々の
信頼を得ていくという段取りは、このドラマの核となるもので
ドラマとしてもとても面白いと思う。

咲はやっぱり良いね。
医者が人を助けてはならない道理など有るのかと問いかける様。
母親にコロリの治療のために出て行けば勘当すると言われても
自分の信念を貫く様。
いつもはふんわりとしている綾瀬はるかだけど、そのギャップ
にはたまらないものがあるな。

南方仁 …… 大沢たかお (脳外科医)
野風・友永 未来 (2役) …… 中谷美紀 (植物状態)
橘咲 ……綾瀬はるか (橘家の長女)

橘恭太郎 …… 小出恵介 (咲の兄)
佐分利祐輔 …… 桐谷健太 (関西出身の若く優秀な医師)
山田純庵 …… 田口浩正 (西洋医学所の医師)
タエ …… 戸田菜穂 (枝豆や卵を売り)
喜市 …… 伊澤柾樹 (タエのひとり息子)
初音 …… 水沢エレナ (吉原・玉屋の若い花魁)
茜 …… 橋本真実 (茶屋の看板娘。)

緒方洪庵 …… 武田 鉄矢 (最高峰の蘭方医であり、西洋医学所の頭取)
新門辰五郎 …… 藤田まこと (火消し「を組」の親分)
夕霧 …… 高岡早紀 (野風の姐さん女郎、梅毒)
鈴屋彦三郎 …… 六平直政 (吉原の大見世・鈴屋の廓主)
橘栄 …… 麻生祐未 (咲と恭太郎の母で未亡人)
勝海舟 …… 小日向文世 (坂本龍馬の師)
坂本龍馬 …… 内野聖陽 (豪快で女好きな土佐出身の脱藩浪人)

千葉重太郎 …… 平山浩行 (龍馬の仲間)
伊東玄朴 …… 小林勝也 (西洋医学所取締り)

池田政典、斉木テツ、中江大樹、森山米次、高嶋宏行、松川真也
吉永秀平、瀬戸将哉、佐野元哉、大久保英一、菊池一浩
青木和代、神本十兵衛

評価:★★★★★★★☆☆☆ (7.0)

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