仁 -JIN-

脚本/森下佳子
演出/平川雄一朗、山室大輔、川嶋龍太郎
プロデュース/石丸彰彦、津留正明

http://www.tbs.co.jp/jin2009/


第8話 歴史の針が変わる

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仁のやる事に全幅の信頼を寄せてサポートしてくれていた
緒方洪庵が亡くなった。仁は自分がやるべき事を模索し辿り
着いたのは"堂友仁"という病院を作った事だった。
先ずやるべき事は、これまでのペニシリンよりも30倍の効果が
有るペニシリンを作る事だった。

ペニシリン製造のスポンサーでも濱口にもこの事実を伝える。
和紙を使ってより純度の高いペニシリンを作る方法。しかし
それを作るには400両ほど小判が必要だという。仁は言いづら
そうに出資を求めるが、以前ペニシリンを作る際に出資した
300両では多くの人数を助ける事が出来たという。これまでは
緒方洪庵のたっての願いという事で出資をしてきたが、貴方の
器がどれ程のものなのか見せて欲しいと言われる。
器の証明にはどんな事をすれば伝わるのか、頭を抱える中で、
母・栄が父親の形見の器が無くなった事を告げる。恭太郎が
持ち出し売ったという。目の悪い者にメガネを与えたためだと
説明する。

そんな中、坂本龍馬は海軍塾設立の為に5千両を借りてきた事を
知る。仁はそれを聞いて自分には金策は出来無いというと、
勝海舟は人には天分が有るので出来無くても良いのではないか
という。龍馬に助けて貰うべきだとするが、仁は自分でなんと
かすることが器の証明に繋がると考えていた。一連の会話を
聞いていた恭太郎の様子がおかしい事に気がつく。

龍馬は吉原の花魁・野風に会いたいとしてみんなで足を運ぶ。
すると野風から診て欲しい患者が居るという。それは玉屋の
初音だった。彼女は客の子を中条流で堕ろしたところ、体調が
悪くなったという。恐らくそれは敗血症で、全身が過剰に炎症
を起こしている状態だと告げる。菌を倒すためにはペニシリン
が必要だとして投与する事になる。
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益々重宝されていくペニシリン。その効果を高めるためにより
純度の高いペニシリンを精製しようとするが、立ちはだかるの
は、それを作るための金だった。果たして仁はどのようにして
金を得ていくのか。

この時代の人はとにかく金にはシビアである。
澤村田之助が自分の貯めた小判を目の前にして、これは血や汗
や肉を削った結晶だとするが、楽して稼いでいるものなど殆ど
無く、誰もがこのセリフが当てはまってしまう様な時代性だろ
う。
細かい話をすればペニシリンを開発し患者に投与する事で
有る程度仁には資金と名声いうものが有るはず。対価として
それを受けとっていないのだとすれば、それだけで器の大きい奴
との証明が為されそうな話である。

さて今回の物語は自分には天分が無く、周りの人たちの活躍と
比較して劣等感を抱き始めた恭太郎を男にする話だった。
こんな凄い人たちに囲まれれば確かにそんな気持ちを抱くのも
仕方がない。特に武士としてのプライドが高いほどに、感じる
思いがありそうだ。

今自分に出来る事を精一杯やる事こそが必要な事だとどうすれば
伝わっていくのか。

吉原の女郎のために今できる事の全てをやり始める恭太郎。

最初澤村田之助はどういう意図で金を持ってきたのか分からな
かった。あれだけ恭太郎を足蹴にしていた奴だし、金に対する
執着心もそれなりに持っていた。ただ田之助の偉いところは、
薬の名前で名声を得なくても芸の道で名を馳せる事が出来ると
した辺りか。

人は一人では生きていけないという現代劇でもよく使われる
テーマを歴史劇の中でも描いて見せた。実際には現代以上に
他人を必要としている世界だろうけどね。

それにしても最後の写真ってどう変化が有ったのだろうか。
一歩後退してしまったみたいだけど、何が悪かったのだろうか。

南方仁 …… 大沢たかお (脳外科医)
野風・友永 未来 (2役) …… 中谷美紀 (植物状態)
橘咲 ……綾瀬はるか (橘家の長女)

橘恭太郎 …… 小出恵介 (咲の兄)
佐分利祐輔 …… 桐谷健太 (関西出身の若く優秀な医師)
山田純庵 …… 田口浩正 (西洋医学所の医師)
タエ …… 戸田菜穂 (枝豆や卵を売り)
喜市 …… 伊澤柾樹 (タエのひとり息子)
初音 …… 水沢エレナ (吉原・玉屋の若い花魁)
茜 …… 橋本真実 (茶屋の看板娘。)

緒方洪庵 …… 武田 鉄矢 (最高峰の蘭方医であり、西洋医学所の頭

取)
新門辰五郎 …… 藤田まこと (火消し「を組」の親分)
夕霧 …… 高岡早紀 (野風の姐さん女郎、梅毒)
鈴屋彦三郎 …… 六平直政 (吉原の大見世・鈴屋の廓主)
橘栄 …… 麻生祐未 (咲と恭太郎の母で未亡人)
勝海舟 …… 小日向文世 (坂本龍馬の師)
坂本龍馬 …… 内野聖陽 (豪快で女好きな土佐出身の脱藩浪人)

松本良順 …… 奥田達士 (西洋医学所)
伊東玄朴 …… 小林勝也 (西洋医学所)
福田玄孝 …… 佐藤二朗 (漢方治療館)
濱口儀兵衛 …… 石丸謙二郎 (ヤマサ醤油)
澤村田之助 …… 吉沢悠 (歌舞伎役者・女形)

大久保鷹、斉木テツ、花王おさむ、中江大樹

評価:★★★★★★★☆☆☆ (7.0)

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