官僚たちの夏

脚本 - 橋本裕志
演出 - 平野俊一、大岡進、松田礼人
プロデューサー - 伊佐野英樹、真木明

http://www.tbs.co.jp/kanryou09/


第1話 昭和三十年の夢

--------------------------------------------------------
日本は終戦から10年で驚異的な復興を見せた。それは数値とし
て現れGDPは世界第2位へと押し居る。しかしまだ敗戦から
10年後の世界は道路の舗装率は5%に満たず、トヨタ車一台は
100万円した。年収20万円の時代。

昭和30年(1955年)春。通商産業省の"国民車構想"がマスコミに
よってリークされる。勿論正式な発表ではなかったが、自動車
課長の風越信吾が意図的にデスクの上に無造作に置いた計画書
を新聞記者・西丸賢治が先走ったもの。
中小企業振興課課長の鮎川光太郎は、"風越はいつも10年先を
見越している"と感心する。

風越は町工場を周り、自動車製作を行うアケボノ自動車を訪れ
る。国民車構想の指針である"4人乗りの車で時速100kmを出す
事が出来て10万キロ乗っても修理いらずの車"。しかもそれを
25万円で販売し、一家に一台持てる国にしたいと社長の朝原太一
に訴えかけるが、現実離れした条件に難色を示す。産業の成長
の為には道路整備と自動車産業は不可欠。車には4万個の部品
が使われているので、それを作る中小企業も同時に育成される
という。
社長の朝原は無理だと告げるが、後日、日向毅ら社員達の熱意
に押されて霞ヶ関の通産省に、精一杯取り組むことを約束する。
--------------------------------------------------------

昭和の高度成長期。
どの様な過程を経て日本は国民総生産第2位の国になったのか。
10年後を見誤らずに国内産業を率いてきた通産省の役人達の
姿を描いたドラマ。

まさか昭和のドラマが放映されるとは思わなかった。
でも大抵昭和のドラマが描かれるとこの手の外圧に立ち向かう
産業物語になるね。決して悪くはないのだが、ドラマとしては
展開が有る程度予測できてしまうところが有るので不利と言え
ば不利な内容かもしれない。

今回は産業の分野を取り上げられているが過去には金融の側
から取り上げたドラマが有った。このドラマの中でも、産業界
は金融界のご機嫌取りに奔走しつつも産業の発展のために
死力を尽くしていくことになりそうだ。

しかしこの手のドラマはやはりTBSかNHKだなと一瞬で思わせる
程、上手く当時の街並みが表現されている。
「華麗なる一族」でも街並みの再現だけで一瞬にして見る者を
引きつけていたがとても上手い。
これが魅力的だと感じる人は、昭和を生きてきた人に限られる
のかもしれないので、今の時代で受けるかどうかは未知数だが、
こういうのをドラマ規模で作るチャレンジ精神は見事だと思う。

色々と時代性を反映している。
特に通産省の官僚の始めての女性採用というところは、近代化
の幕開けという感じがするし、年功序列のルールを打ち破る型
破りの男性の中に先見の明を持つカリスマ性が上手く描かれて
いる。

「華麗なる一族」では産業以外にも一族としての絆や友人関係
が軸となっていたが、このドラマでは果たして成長物語以外に
も魅せる内容があるのかな。

取りあえず現在は高みの見物をしている政治家・池内信人の
動向が気になる。

風越信吾 …… 佐藤浩市 (42歳・自動車課課長)
庭野貴久 …… 堺雅人 (36歳・鉱山局石油課課長補佐)
鮎川光太郎 …… 高橋克実 (39歳・中小企業振興課課長)
西丸賢治 …… 佐野史郎 (40歳・東京経済新聞記者)
丸尾要 …… 西村雅彦 (45歳・重工業局局長)
牧順三 …… 杉本哲太 (39歳・特許庁総務課課長)
山本真 …… 吹石一恵 (22歳・新人官僚)
御影大樹 …… 田中圭 (26歳・大臣官房秘書)
風越道子 …… 床嶋佳子 (37歳・妻)
風越貴子 …… 村川絵梨 (16歳・娘)
片山泰介 …… 高橋克典 (34歳・通商局為替課課長補佐)
玉木博文 …… 船越英一郎 (42歳・通商政策課課長)
池内信人 …… 北大路欣也 (55歳・民自党幹事長)
朝原太一 …… 蟹江敬三 (58歳・アケボノ自動車社長)

日向毅 …… 加藤虎ノ介 (アケボノ自動車)
前園繁 …… 国広富之 (事務次官)
朝原弥生 …… 市毛良枝 (太一の妻)

渡辺航、太田美恵、崎山凜、掛内誠、田中洋之助、新堀創世
柳田努、渡辺穣、安住紳一郎(アナ)、山下賢治、藏内秀樹
腰高卓也、梶山修、Ian Moore、Dennis Gunn

評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

inserted by FC2 system