官僚たちの夏

脚本 - 橋本裕志
演出 - 平野俊一、大岡進、松田礼人
プロデューサー - 伊佐野英樹、真木明

http://www.tbs.co.jp/kanryou09/


第2話 テレビの時代

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昭和31年(1956年)秋、東京タワーが二年後に完成するメドが
ついた。その頃にはテレビが一家に一台の時代が来るという
風越。洗濯機や冷蔵庫など家庭に普及するに従い家電メーカー
が乱立してくる。その為テレビの本格普及のために通産省と
しては参入させるメーカーを30社程度に絞ることを宣言する。
その選考のためにメーカーに求められる物とは、大量生産出来
る事、販売力、そして修理出来るだけの体制が整っている事
だった。まずは競争よりも協力が求められる時期だと風越は
思う。

重工業局では、参入させる企業の30社をリストアップする。
集まってきた電気会社の社長達はそのリストを見て一喜一憂
する。小宮山電気は見事30社に残ったが、大沢無線は落選する。
大沢無線では既に帝都銀行の後ろ盾の元で、テレビの開発に
勢力を傾けていた。社長の大沢和巳は庭野を呼びつけて工場を
見せるも考えは変わらず、業務転換を勧める。

そんな中テレビ開発普及協力会議が開かれる。
メーカーの代表者を呼び出し、年収20万円の日本では現在の
10数万するテレビは高すぎるために、14型のテレビで5万円台
のテレビの開発目標を掲げる。メーカーたちは先ずは贅沢税
に掛けられる税率30%をなんとかすべきだとして、大蔵省との
交渉を求める。
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車の業界に絞って昭和の激動の時代を描いていくのかと思った
けれど、ドラマではそこに固執せずに高度成長期の時代全体
を取り扱っていくような内容だった。

昭和の紹介VTRになる余り、案外あっさりとした要素も多く、
削ぎ落とされてスリムなドラマになっている。

ドラマとしては流れを見るだけで昭和が分かるために興味深い
事は確かだが、落ち着いて見る感じのドラマではないかな。
昭和の早い流れと同様にドラマをしっかりと見ていないと
各キャラクターたちの勢力図の流れを見落としてしまうかも
しれない。

今回はテレビ業界の話を描いた。
昭和の時代は常にアメリカからの外圧の影響がベースに有って、
そこから何が出来るのかを考えるようになっている。

有る程度、政府が指針を出して民間企業達を先導していくこと
は大切だが、過度に介入しすぎると弱者切り捨てのような状態
に陥り、不公平な世の中になってしまうかもしれない。
そういうバランスが難しい時期でも有る事が今回のエピソード
の中では伺える。

更に手探りの状態故に、先見性をメーカー自身に求めるのでは
なく、政府が発掘している時代というのも面白いかも知れない。
こういう時代こそ政治力が問われるもので、官僚としてもやり
ごたえのある時代だったのだろうね。

さてドラマとしては市民への家電普及がテーマとなっているが、
描かれているのは、官僚である風越家の事なので、どれだけ
一般的な家庭の姿を描いているのかは疑問が残るところ。
これだけ短期間に三種の神器を揃えられるのも官僚の家
ならではだろうね。

テレビの時代を通り越えてコンピュータ開発に勢力を傾けさせる。
とても都合の良い業務転換の話が見つかってよかったけど、
利益が出るまでは相当待たねばならなそうだな。

次回からは肩身の狭くなっていた国際派の官僚たちが台頭して
きそうだ。そして政治家・池内信人が幅を利かせてきそうな
感じ。紹介VTRを脱してドラマとしても熱くなっていきそうだ。

風越信吾 …… 佐藤浩市 (42歳・自動車課課長)
庭野貴久 …… 堺雅人 (36歳・鉱山局石油課課長補佐)
鮎川光太郎 …… 高橋克実 (39歳・中小企業振興課課長)
西丸賢治 …… 佐野史郎 (40歳・東京経済新聞記者)
丸尾要 …… 西村雅彦 (45歳・重工業局局長)
牧順三 …… 杉本哲太 (39歳・特許庁総務課課長)
山本真 …… 吹石一恵 (22歳・新人官僚)
御影大樹 …… 田中圭 (26歳・大臣官房秘書)
風越道子 …… 床嶋佳子 (37歳・妻)
風越貴子 …… 村川絵梨 (16歳・娘)
片山泰介 …… 高橋克典 (34歳・通商局為替課課長補佐)
玉木博文 …… 船越英一郎 (42歳・通商政策課課長)
池内信人 …… 北大路欣也 (55歳・民自党幹事長)

前園繁 …… 国広富之 (事務次官)
山岡一郎 …… 中原丈雄 (帝都銀行の頭取)
大沢和巳 …… 岡本信人
小宮山 …… 岩松了
安達 …… みのもんた
池内瑞江 …… 柏木由紀子
ナレーション …… 安住紳一郎(アナ)

寺田千穂、奥田達士、田宮五郎、山上賢治、沼崎悠、松永英晃
花形淳、住田洋、池田宜大、石川智徳

評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

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